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黒髪ショートカットの少女

私の知識不足のせいで実際の戦国時代とは異なった表現が沢山出てくるかと思います、、そこは戦国「風」異世界という事で大目に見て頂けたら嬉しいです・・。

 心臓の鼓動が異常なほど速くなっているのを感じながら、俺はゆっくりと開かれる襖を凝視していた。


「あれ? やっと起きた?」


 襖が完全に開かれる、正直俺は見たくはなかったが、こういう時嫌でも見てしまうものだ。

 そして俺は声の主をじっくりと観察する。

 声の主は俺の想像を良い意味で裏切るような格好をしていた。

 歳は俺と同じか少し下ぐらいだろうか、活発である事を象徴しているような黒髪黒目のショートカットの少女で、まるで昔の人が着るような明るい赤色の和風の帯を着ている。

 袖はなく丈は短すぎず長くもない、膝下ぐらいまでだろうか。

 とても豪華な着物とは言えないが、彼女はそれなりの雰囲気を醸し出していた。

 良く見たら中々の美人で、俺にかける無邪気な笑顔は俺には輝いて見えた。


「・・・・誰?」


 拉致犯にしては若すぎる、大体こんな純粋そうな子が拉致なんかする訳ないだろう、そんなことを思いつつ俺は少女に問いかける。


「私? 私の名前はリン、君は?」


 決して名前を聞いたつもりではなかったのだが、リンと名乗る少女の全く的はずれではあるが悪気のない回答は、俺に一時の安心を与えた。



「・・・・おーい?」


 しまった、彼女の可愛らしさに見とれていた、彼女の声で咄嗟に我に帰る。


「ご、ごめん。 俺は誠、二階堂誠」

「マコト? 良い名前だね!」


 テンプレ通りのお世辞を躊躇わずに使う少女に若干引きながら、山ほどある聞きたい事の中から、俺は一つを抜選し質問する。


「えっと・・・・ところでここは何処?」


「何処って? 私の家だけど?」


 彼女は何を聞いているんだ、と言いたげな表情でこちらを見つめてくる。

 違う、そうじゃない、会話が微妙に噛み合わない、俺が質問したかったのはもっと規模が大きい話であって、この部屋がこの少女の家の一室である事は容易に想定し得る事だ。

 そこがあまり良く分かっていない彼女は、あまり頭の回転が早い方ではないタイプなのだろうか。

 まあそれはそれでいいか、と少々面倒に感じながらも、求めていない回答を あ、そうなんだ。 という風に受け流し、俺は気を取り直して質問を続ける事にした。


「いやいや・・・・そういう事じゃなくって、ここは何県の何市で、何処なの?」


 俺が改めて質問すると、彼女は何故か困ったような顔をした、まるで俺の質問の意味を汲み取れていないように。

 今まで即答だった彼女も、少しの間が空き、今回ばかりは自信が無さそうに答えた。


「県とか市? っていうのは良くわからないけど、ここはクロガネ町って所だよ。」


 クロガネ町・・・・?勿論そんな地名は聞いたことがない、それに県名も分からないというのは奇怪だ。

 県名なんて超ど田舎に住んでいる人でも、小島に住んでいる人でも日本に住んでいる限り分かるはずだ。

 ではここは日本では無いのだろうか、と思っているとすぐさまその考えが間違っている事に気付いた。

 少し考えたら分かる事だ、そもそも彼女が日本語をはなしている時点でここは日本であることが断定している。

それに何よりクロガネ、という名前は和名である。

 しかしクロガネという名前を聞かれても、どういう所なのかは全く見当がつかない、俺はこの村の詳細な情報を聞こうか迷っていると、彼女はそんな俺を察したのか、俺が何故ここに居るのかという事の経緯を話し始める。


「クロガネって言われても分からないかな・・・・・私のお父さんが山で木を切ってる間に、マコトが森の中で倒れてるのを発見してね、心配したお父さんが、ここまで運んで来たってワケ。」


 いきなり過ぎる情報に、俺は頭をこんがらがせる、森の中で俺が倒れていた? 何故? といった疑問が俺の脳内を一杯にした。

そして俺は男に運ばれたのか・・・・という下らない気持ちとその事実に恥じらいを感じてしまう


「それで、なんで森の中で倒れてたの?」


 そんな事は俺が聞きたい、と叫びそうになるのを抑え、俺は少女に隠し切れないほど動揺する。


「分からない・・・俺は昨日いつものように自分の部屋で寝て、今日、いつものように自分の部屋で起きるはずなんだ・・」


 昨日の寝る前をしっかりと思い出しながら俺は答える、何故こんなことになったのか。


 そして、俺が最も辿り着きたくない答えに辿り着いてしまった、まさか、とは思っていた事ではあったが____


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