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第2話  迷宮探索その1

この世界にこんな言葉絶対ないだろってものでも

異世界言語➞日本語

に直してる感じなので気にしないでください_(_^_)_

「はぁ」


 ダリルは絶賛迷子であった。

 今は昼前であったため、迷宮に向かうような人は見られず、逆に昼を買いに来る人が多く道を阻まれていた。仕方のないことだとは分かっているが、ため息を抑えることができなかった。


「チリンチリン」


 ダリルが溜息を吐きながらも前に向かって進んでいると後ろの方からベルのような音が聞こえた。


「ん?」


 いったい何だろうと思いながら後ろを振り向くと、大きく丈夫そうな馬車がこちらに向かってきていた。周りの人達がその馬車を避けようと左右の道に逸れたのを見て、ダリルも慌てて横にずれた。馬車はどうやら奴隷商人のものらしく、後ろに鉄格子が見えた。少々中からよく分からない魔力が漂ってきて気分を害したものの、迷宮都市だししかたがないかと割り切り、おとなしく馬車が通り過ぎるのを待った。








「やっと着いた…」


結局あれから一時間程経ってからようやくダリルは迷宮の入口に立つことが出来た。そして入口の前に立っていた職員に先程貰ったカードを渡すと首飾りのようなものを渡された。その首飾りに魔力が感じられたのでこれは何だろうかと疑問に思っていると職員から説明が入った。


「もしも危険だと思った時この部分を押してください。依頼を受けている探求者が助けに行くので。」


「分かりました。この部分を押せばいいんですね。ちなみに、どのように作っているのでしょうか?」


 ダリルは今まで魔道具というものを見たことがなかった。そのため、つい好奇心を抑えきれず、このような質問をしてしまった。

 しかし、


「申し訳ございません。これはギルドの初期からあるものらしく、現在作ることが出来ません。なのでお教えすることは不可能でございます。」


このように到底満足できる答えではなかった。ダリルはやはり隠されているかと内心で溜息をしながら気分を入れ替えるために一つ息を吐いた。そして自分にも隠したいことはあるじゃないかと自分に言い聞かせてそれ以上に追求したいという気持ちをいさめた。


「いえ、つい気になって変な質問をしてしまっただけなので気にしないで下さい。それより、もう中に入っても大丈夫ですか?」


 ダリルはきっぱりとした性格だったので、だめだと分かったらすぐに諦める。しかし、その職員は少し以外そうな表情を見せた。何が以外だったのか少し気になったが、まあたいしたことではないだろうと流すことにした。


「ええどうぞ。どうぞ気を付けて。」


 最後にそう言って職員は道を開けてくれた。ダリルは首飾りをしっかりとつけたことを確認してから開けてくれた道を進んでいった。









 中に入ってみるとそこは洞窟の中だった。いや、実際は違うのだろうがそのようにしか思えない有様だったのだ。ごつごつした岩が天井や壁を覆い、地面は小石が所々に転がっていて走ると石につまずきそうだ。また、壁には松明らしきものが一定間隔で並んでおり、視界は確保されている。だがそれも最低限であるため、とても安全に探索できるとはいいがたかった。


「仕方がない、魔法を使うか。」


 魔法とは、この世界に存在するもの全てに宿るものである魔力を使い、様々な現象を起こすものである。しかし、この世界において魔法は体系化されておらず、様々な形式を試しているのが現状である。そのために、魔法に関わる者たちの間でどの形式が最も良いのかで論争が起こっているほどである。一般的には、詠唱が長く、中に入っている言葉の意味が強力なほど、良いとされている。しかし、その魔法を使う魔法使いの力量が足りていないと、フィードバックと呼ばれる現象が起こり、危険な行為である。その為、やたらめったらに呪文詠唱をすればいいというものではない。これらのことから、魔法使いは戦うことに向いておらず、探究者の間では『お荷物』と呼ばれ、地位としては最底辺だった。が、何事にも例外というものは存在し、その例外と呼べる存在がこのダリルだった。


「我が目に見通せぬものなど存在せず《ダークビジョン》」


 ダリルの魔法はある程度詠唱が固定されている。しかし、これは決して魔法の種類が少ないということではない。例えば、先ほどの詠唱である『我が目に見通せぬものなど存在せず』というのはダリルが自らの目に対して魔法を使うときに詠唱をする。この詠唱による効果は一つだけではない。今回こそ『暗闇を見通す』という効果に限定して使ったが、ほかにも遠くを見ることもできれば、普通のヒューマンには見ることのできないものを見ることすら可能になる。つまり、この詠唱の利点とは一つの詠唱によって複数の魔法の使用が可能になるところだ。


「さて、行くか。」


 ダリルは自分の魔法が正常に発動されたことを確認してから迷宮の中を進み始めた。









「あれか…」


 先ほど魔法を使ったところからおよそ十分ほど進んだところでダリルは今回のターゲットであるゴブリンを三体発見した。どうやらまだこちらに気が付いていない様子だ。こちらから奇襲をかけられるという状況でありながらダリルに油断というものはない。それは油断というものが自分にとって最大の敵ともいえることを知っているからだ。


(まだあいつらはこちらに気が付いていない…が、詠唱を始めたらおそらくはこちらに向かってくるな…。さらにあまり大きな音を立てるとほかの場所にいる魔物まで引き寄せかねない。つまり求められるのは素早く使用ができ、静かに攻撃できるもの。だったら…)


「我に仇なす敵を斬り裂け《ウィンドカッター》」


 ダリルは二秒ほどで思考を戻し、先ほどとは違う詠唱を唱え、目標であるゴブリンの首を狙い魔法を放った。身体から魔力の抜ける感覚を味わいながら、結果を確認した。ダリルの放った魔法は見事ゴブリンの首を跳ね飛ばし、先ほどゴブリンがいた場所には小さな魔石三つが落ちていた。

 先ほどダリルが使った魔法は一般的に風魔法と呼ばれているものである。実際にはそのような種類分けなどは無意味であるのだが、世間では属性の種類は火、風、水、土、闇、光、無の七属性だと考えられており、その中でも適性があると考えられている。また、その適性に合わない魔法を覚えることは非常に効率の悪く、無意味なことだと考えられている。実際にはそんなことはなく、使いたい魔法をどれだけ深くイメージすることが出来るかによって決まるため、得意不得意の差はあれど、どの魔法もまんべんなく使えるようになる。その得意不得意の差は適性ではないか、と言われたならば、そうだと言わざるを得ないが。


「ん?おかしいな。いくらなんでも反応が鈍すぎるぞ。」


 ダリルは余りにもゴブリンの反応が鈍く、簡単に倒すことが出来ることに訝しんだ。この時ダリルは気が付いていなかったが、迷宮の魔物というものは生まれたばかりのものが多い。そのため、この迷宮の魔物は戦闘経験というものがないに等しい。そのため、この迷宮の外で生きている魔物よりも反応などが鈍くなっているため、今まで迷宮の外の魔物と戦ってきたダリルは簡単に倒すことが出来た。


「っと、こんなことは今考えることじゃないな。」


 ここが迷宮の中だということを思い出し、一旦考えていたことを棚上げし、落ちている魔石を回収した。そして、その魔石を確認しながら


「あと二体か。さっさと終わらせて宿を探さないとな…」


とつぶやいた。


 その後、十分ほどでゴブリンを発見すると先ほどと同じように倒すし、魔石を回収してからもと来た道を引き返した。





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