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 厄介な、そう感じていた。

 三日目の夕方になって目的の村にたどり着く事が出来た。

 道中位置が分からなくなるなどのハプニングはあった物の、結果的に目的地にたどり着く事が出来たのだからよしとしておく。

 だが問題は、私が不審者のように見られている事だ。

 こういった視線を浴びる事は何度かあった。

 傭兵という稼業は嫌われやすい。

 戦乱の種であり、下手をすればゲリラに捕らえられて祖国に対する人質にされることさえある。

 そんな存在は場所にもよりけりだが厄介毎の種としてみる人も相応にいた。


 だが問題は、私が女であり見知らぬ武装をしているという事にあるようだ。

 それも単独で旅をしているためあらぬ疑いをかけられているのだろう。


「チッ……」


 思わず舌打ちが漏れる。

 幸い周囲の人間には効かれていないようだが、それでも行儀のいい事ではない。


「お前さん、何物じゃ」


「しがない傭兵だ、訳も目的もなく旅をしている」


「ふんっ、我らはその様な怪しい物を受け入れるわけにはいかん」


「……だろうな。

だがそのようなけんか腰でいいのか。

私がお前たちを殺せる存在だとしたら……」


「その時は大人しく死を受け入れようぞ」


「……なるほど、そうか。

邪魔したな、この村には金輪際近寄らない、それでいいか」


「構わん」


 ようやく屋根と壁のある部屋で休める、そう思った矢先にこれだ。

 どうにか受け入れてもらえる街はないだろうか。

 今はまだ大丈夫だが本腰を入れて休める場所がほしい。


 仕方なく村を出て地図を広げる。

 ここから南下すると少し栄えた町があるようだ。

 ここに望みを託そう。


 距離としては夜通し歩き続けて明日の正午といったところだろう。

 さすがに夜間行動は控えたいので村が見えるギリギリの場所で野宿することにした。

 今晩はある意味で運が良かった。

 岩に腰かけた瞬間足元に一匹の蛇がいた。

 素早くナイフを引き抜いて頭に突き刺し、首に切れ込みを入れて皮をはぐ。

 血を抜いて肉をかじって腹を満たした。

 肉を食ったのはいつ以来だったか、生とはいえそれなりにうまい。

 本来なら火を通すべきなのだが残念ながら道具がないのでそれはできなかった。

 そう考えていた時、例の補給が来た。


 中身は英国の軍事レーション。

 最悪だ、私が一番嫌いな奴じゃないか。

 更に悲しい事に携帯用のガスコンロとガス、網などの簡単な調理器具が入っていた。

 くそ、蛇を焼けばよかった。

 他には胃腸薬と水が入っていたので、狙ってこいつをよこしたと見える。

 やはりあのスーツ男は性格が悪い。

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