第4話 過去との戦い 前編
長らく大変お待たせいたしました。
最新話をやっと投稿出来ました。
今回は前・中・後編で進めていきます。
(投稿が遅くなった理由は後ほど)
【境界線はどこにある? 境界線に立つ者は世界から何を与えられる?】
数年前‥‥‥、いつも通りだった家が今は見渡す限りの焼け野原、木と石の焼けた臭い、辺りは焦土と焼けた石達の瓦礫の山が広がっていた。
それなのに俺の今いるベッドだけがいつもと変わらない風景をしていた、さっきまでいつもと変わらないはずなのに家がなくなっている事に頭が理解出来ずにいる。
意味がわからなかった、いきなり家がなくなった事をすぐ理解しろと言う方が無理だしまだ夢を見ているんじゃないのかと思うが現実に起きていることなんだと思い知らされる。
「小僧」
「!?」
後ろから声をかけられ驚いて振り返るとそこには黒いコートにフードを目深に被った見知らぬ男が立っていた。
「お前・・・、誰だ?」
「そんなことを聞いて答えが返ってくると思ってるのか小僧」
「そんなことは関係ない、無理矢理聞き出せばいいだけの話だ」
ベッドから降りて足元に落ちていた木の棒を拾って男に向かって構えを取る。
「ほぅ? お前この家の人間だったのか」
「それがどうした」
言い終わるのと同時に一歩で男の懐に飛び込み、居合を放つ、しかし、ギリギリまで接近して居合切りを放ったにも関わらず男は、さも当たり前のように軽々と受け止めてみせる。
「なっ!?」
「いい腕だな、だがまだ発展途上だろ? 俺に剣を向けるには未熟すぎる」
「え?」
龍神は一撃で決めるつもりで男の懐に飛び込んだ結果が簡単に受け止められてしまった。
男は龍神を引き寄せると腹に正拳突きを受けた龍神は吹き飛ぶ、突然のことに咄嗟にガードをすることも受け身を取ることも出来ず吹き飛ばされた勢いのまま瓦礫の山に激突する。
「がっ…!」
受け身を取れなかったのもあり、より強いダメージを受けてしまい龍神は血反吐を吐く。
「ほぅ、あれで気絶しないとは、なかなか丈夫じゃないか」
「テメェ…!」
「ガキの割には丈夫に鍛えられてるな、小僧お前この家の継承者か、答えろ」
「っ! そんな事答える必要はない!」
「強情なのはいいが自分が今どんな状況なのか理解して言ってるんだろうな?」
「理解してるさ、お前を倒して警察に突き出す」
龍神は立ち上がってまた構えを取る、男は一瞬驚いた顔をしたが不敵な笑みに変わる。
「いいぞ、後悔はするなよ? ”冥界の門”」
最後に聞いた言葉はそんな言葉だった、その先は何も覚えてない、自分に何が起こったのかわからない、ただ分かるのは俺は全てをあの男に奪われてしまった…。
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「龍神、今度の大会は当然出るんだろ?」
「ん? 大会?」
つい昔の事を思い出してしまい考えに没頭していて声をかけられるまで気がつかない程深く昔を思い出していた。
「おいおい、しっかりしろよ剣道部員だろ?」
「部に名前があるだけでただの幽霊部員だよ」
「その発言を部長の前で言ってこいよ、絶対泣くぞ」
「俺は入っただけだからいいんだよ、元々笹野が無理矢理入部届を勝手に出しただけだ、今まで大会に出てほしいって言われてないし出る気もない」
「夏々ちゃんかー、剣道ってことはそうかなとは思ってたけど本当に夏々ちゃんが関わってるとはな~」
「俺は部活なんて入る気なかったのに笹野が勝手に入部届出してたんだから行く理由はない」
守野はやれやれといった感じに溜息を漏らしていたが龍神には目の前にいる親友にはいつも感謝している、必要な時には必ずいて、必要な時に話を聞いてくれるよき友だと龍神は思う。
龍神が守野と出会ったのは中学3年の時、龍神は教室で一人窓の外を眺めていたら声をかけてきたのが守野だった、それ以来、守野と学校で話すようになり気がつけば、お互い気の許せる親友になっていた.
あの事件が起きてから初めて出来た友達だったから嬉しかったのを覚えている、我ながら友達が欲しかったんだと思えてしまう自分がいる。
「なぁ、ちょっと気になることあるんだけど聞いていいか?」
「なんだよ、改まって」
「お前って夏々ちゃんと付き合ってんの?」
「はぁ? 何言ってんだよ笹野は幼馴染みってだけだ」
「マジで? 校内じゃ二人が付き合ってるっ認識になってんだぞ」
「誰が流したデマだよ、そんな事実はない、大体笹野には誰かはわからないが好きなやつがいるらしいしな」
「夏々ちゃんのファンクラブの奴等が聞いたら騒ぎ出すぞ~」
そんな馬鹿な話をしながらこんな毎日を共に過ごせるやつがいて、楽しくいられる事は守野のお陰だと思っているんだがきっと俺は何もしてないって言うんだろうと思う。
それからしばらく話をしてお互い学食を後にする、そのまま帰ろうかと考えたが笹野の事を思い出し、部室棟に足を向ける。
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「笹野~、まだ残ってるか?」
部室棟まで着いて中にいるであろう笹野に声をかけたが中からは返事がなく、誰もいないことは分かっているのに誰かいるような気がして立ち去ることができなかった。
自分でもなんでこんなに気になるのか分からなかった、けれど、中を確かめなればならない気がした、だから俺はそっと部室棟の扉を開ける。
中は流石と言うべきか綺麗に隅々まで掃除が行き届いていて神聖な剣道場の雰囲気が懐かしくて心地よく感じられた、けれど、その中に人がいた、全身を黒のコートを着ていてフードをすっぽりと被っていた。
それよりも目の前にいるやつよりもソイツの足元に寝ている笹野を見た瞬間、自分の中で殺意が膨れ上がり爆発する。
「笹野に何しやがった!」
感情のままに走り出し、途中に落ちていた竹刀を拾い、そのままの勢いで突きを放つ、しかし、十分勢いをつけて放った突きは左の横ステップで避けられてしまう
俺はコートのやつが距離を取ったのを横目で確認して笹野を抱えて部室棟の出口に向かおうと方向転換した、だが、その目の前にコートの男が佇んでいた。
「なっ!?」
「……」
目の前にいることに驚いて動きを止めてしまう、そして、不思議なまでに状況があの忌まわしい事件と同じなことに違和感を感じてしまう、龍神はまるであの時の再現を体験をしているような感覚に戸惑っていた。
「ん?お前…、あの時の小僧か」
「え?」
「なんだ、忘れたのか?俺の事、そんなに印象にない顔してるとは思わないがな」
そう言ってフードを外した、そいつの顔を見て俺は絶句した、何故なら数年振りに見るあの時の男が目に前に立っていた、言葉が出ない、頭の中は初めてこの男と対峙した時の記憶が蘇る、その時間にして数秒が我慢の限界だった。
「お前はっ…!」
「やっと思い出したか、しかしまさか生きていたとは思わなかったな、どうやってあそこから生き延びた?」
「なんだと?」
「あの時殺したはずなんだがな、心臓を引き抜いて死ぬのを確認までしたんだけどな」
こいつは何を言ってるんだ、心臓を引き抜いただって?なら、なぜ俺は生きてる、そこで俺は自分の胸に大きな傷があることを思い出す。
あの事件の負った傷の治療をしていた時、自分の胸の心臓の辺りに何かをやられたような跡があってその傷だけは最初から塞がっていたのを主治医に言われた事を思い出す。
「どうやら思い当たる節があるらしいな、さて、答えてもらおうか、何故お前は生きてる」
「答える必要はない、俺が生きたいから生きてるだけだ」
「そうか、ならもう一度殺してやるよ」
いきなり男の姿が見えなくなった、龍神は首の後ろの辺りから殺気を感じ、とっさに前かがみになる、その後に刃物が通る音が聞こえてくる、そのまま前に転がって男から距離を取る。
「ほぅ、避けたか、いい勘がいいな」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
そんなやり取りをしているが正直内心焦っていた、たった一回の交差しただけでお互いの実力が分かってしまった、一瞬逃げようか迷ったが笹野を見て、その考えを否定した、立ち上がり男に問いかける。
「アンタは引き下がりたくない時はあるか?」
「過去にはあったが今はないな、何故今そんな事聞く?」
「俺にとって今がその時だからだ」
俺は落ちた竹刀を拾って構えを取る、逃げても良かったのかもしれないが、笹野を見てその考えは無くなった、だって俺は笹野に約束したんだ、俺が守ってやるって決めたから。
何より俺はコイツに聞きたいことが山ほどある、だから逃げることはしない、勝てない相手なのは分かってる、それでも引き下がりたくない、コイツには、あの事件のやられた借りを返したいと思っていた所だ。
「ほぉ? なるほどな、なら、今度は確実に殺してやるよ」
男は口元をつり上げて不敵に笑う、それに対して龍神は驚くほど落ち着いていた、さっきまでの動揺はなく、目の前の男にだけ集中することができる、きっと今の彼を笹野夏々が見たら思うだろう、大空龍神が戻ってきたと。
そして、彼等を見ているかのように一本の刀が怪しく輝きを放っていた。
まず投稿が遅くなりすみません。
理由としては、引っ越し、新しく仕事を始めた、専門学校の始まり、等が重なり二か月以上期間が空いてしまいました・・・。
ホントにすいません、頑張ってペース上げて行くのでよろしくお願いします。
余談ですが、希望していた専門学校、アミューズメントメディア総合学院様に入学をすることが出来ました、学科はノベルス学科を専攻しています。
まだまだ初心者ですが、いい作品にしたいと思っていますので何卒暖かく見守っていただければ幸いです。