第3話過去の前触れ
キーンコーンカーンコーンとチャイムがなりこちらに背をむけていた教師が振り返る
「よし今日はここまで、各自ちゃんと予習しとくように」と言い残すと教師は教科書をまとめて教室から出ていってしまう。それと同時に教室中が一気に騒がしくなる、先程の授業の予習の話をしている者もいれば、今日どこに遊びに行くかの話をしている者もいる、普段ならここまで騒がしくないのだが今日は教師陣の緊急会議があるらしく午前授業で帰れることになったのだ。
午後を丸々自由に行動できるのは高校生にとってはなかなかないことだから喜ぶのもよく分かる。
そんなことを考えながらぼんやりしていた、正直午後の予定を全く決めていなかったからどうするか悩んでもいる、まぁとりあえず学校からは出るけど特にやることないし居ても仕方ないから等と考えていたら隣から名前を呼ばれていることに気付く。
「おーい大空~?起きてる~?」
「俺は目を開けて寝る習慣はないんだがな」
言いながら案外集中して考え事をしていたなと思いながら隣を見ると1人のクラスメイトが立っていた。
「名前呼んでんのに反応しないお前が悪い!」と俺を指差しているこいつは守野達也〈もりの たつや〉こいつとは入学した時に声をかけられそれから仲良くなった、まぁ友達って言うか悪友の方がしっくりくるんだよな
「で、なんか用か?」
「相変わらず冷たいな~お前、まぁいいやこの後予定あるか?」
「特に何も決めてない」
「なら学食行こうぜ」
「なんで学食なんだよ、授業無いんだしファミレスでもいいだろ」
「俺もそう思ったんだけど、ほら今日全学年午前終わりだろ絶対ファミレスなんて行ったら混んでそうじゃん、けどわざわざ学校に残って学食に行くやつは少ないと思ってよ」
「確かに一理あるな」
「だろ、さぁそうと決まったら早く行こうぜ」
「はいはい」
ため息を吐きながら先に歩き出していた守野の後を追う
「そうだ、大空は職員会議開かれた理由聞いたか?」
「理由?成績付けるためって聞いたぞ」
「違うらしいんだよ、俺も人から聞いたからあんま詳しいことはわかんねーんだけど、ここ最近校内で変なやつから声かけられてるらしいんだよ」
「女子と話したいやつとかそんなオチだろ?」
この手の話はよくあることで別に驚くことではない、大概の話のオチはストーカーやカップルの別れ話がもつれて彼女の後をつけ回すとかいつものよくある話だと思い話の続きを聞く
「今回は男子も声かけられてるっぽいんだよ、もう15人は声かけられてるらしいし」
「15人も接触してるのによく警察騒ぎにならなかったな」
「別に何かされるわけじゃないかららしい、質問はされるみたいだけど」
「質問?」
「【天を殺すものはお前か】」その言葉を聞いた瞬間龍神は過去の忌まわしい記憶が蘇る。
《天を殺すものはお前ではない……、天を殺し境界線に立つのは我々だ》
「っ!」
嫌なことを思い出した……、出来れば2度と思い出したくない記憶。俺にとって一番の……
「大空?どうした?」
「いや……、なんでもない」
「そうか」
思わず笑ってしまう。こんなとき守野は優しいと思う、いつも今聞かなくていいことは聞いてこない、だからこそ守野とは友達でいられる気がする。
けど、もし噂が本当なら奴がいることになる、俺がずっと探し続けていた奴がすぐそこにいる、絶対に会ってやる。
そして2人は学食へと向かっていく
次回は戦闘シーンに入ります。