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純白の姫  作者: こころ
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第5話

こんにちは!メノウです!今回はセリフが長かったりしますが、頑張ってください!(何を?)今回は、どんなお話か見てからお楽しみですよ~!では本編へどうぞ!

目の前はもやがかかっていて何も見えない。

「貴女は王様と契約をした。その契約は……」

どこからか、男の声が聞こえた。

最後の言葉は…何だったの?


目が覚め、太陽が出ていないことに気づく。

まだ、夜なんだ。

じっと牢屋の一番奥の小さな窓を見つめる。

月の光も何もない、真っ暗な夜。


「いつまで待たせる気なんだ」

突然、少し離れたところから男の声がした。

男の声なのによく透き通った声。

「ずっとだったんじゃないですか?眠り続ける姫のように」

「そん時は俺がキスでもしてやるよ」

「貴方はこの檻にどうやって入るつもりですか?」

そうだ。キスでもしようものなら、この檻に入らなくてはいけない。


「…面白いことを言う女だこと」

どっちが面白いんだ。絶対、貴方でしょうに。

「顔を見せてはくれ…なさそうだな」

予想通りだ。頭の回転が早い。

昨日の男とはまるで違う。


「そういえば、貴方にお話があるのは聞きましたか?」

「あぁ。仲間が心をよまれたとか何とか…」

何かを思い出しているような呆れているような声色。

ほんの少しだけ、明るくなってきた空。

オレンジのような黄色のような、はたまた赤紫のようなそんな色。


「心をよむ?そんなわけがないでしょう」

魔術師か占い師じゃなかったら心をよむなんてことはできない。

でも、私は魔術師とか占い師は信じない。信じれない。

「1つ質問していいか?」

「構いませんよ…大体は答えられるので」

「名前を教えろ」

即答ならぬ、即質って。

「サファイア・トルマリンです」


唇を噛みしめる。

調べているくせに…どうして聞くの?

どうせ顔は見えてないんだ。

惨めな顔は男には見えてないんだ。

そんな事、知る由もない男は、

「今夜、あんたを盗むけど覚悟は出来てる?」


とんでもないことを口にした。言うとは思ったけど。

「覚悟も何も私を盗めるとでも「思ってる」

さも、「当然だ」とでも言っているような口振り。

とても自信があるようだ。

「根拠とかなさそうですが」

「あんたの契約のことは知っている」

「根拠になりませんよ。そんなの」


「じゃぁ…約束をしよう」

朝日が小さな窓から差し込んでくる。

「あんたを絶対に盗んでやる」

この男はどれだけの自信が身体から溢れ出ているのだろうか?

「それは強制って言うんじゃ「へぇ…灰色か」


一瞬、わけが分からなかった。

「灰色」という言葉が分からなかったのか。

目の前の男の髪の色が私と正反対の色だったからなのか。

男の顔に見入っていたことで自分自身に驚いているのか。

でも、私でも分かったことがただ1つ。

目の前の男は口角を上げ、盛大にニヤついている。


だんだん、頭の中を整理していき1つ1つ理解していく。

まず、「灰色」という言葉。

これは、私の瞳の色を指しているのだろう。

私の瞳は白に近い灰色。

私の白い髪にはこのくらいが丁度良いらしい。

次に男の髪の色。私が純白なら男は漆黒だ。

そして、顔立ちがとても良い。


「貴方、本当に怪盗?」

「怪盗だよ。どうして聞くんだ?」

「……」

言おうか言うまいか、迷った末に…

「世にいう、格好いいの部類だからかしら?」

「部類」を強く言った。さぁ、どんな反応をするのかな?

「それはそれは。あんたに言われるなんて光栄だね」

「どうしてですか?」

もう、太陽が昇りきって私の髪を金色に輝かす。


「それは言わない…っとあんた、忘れてることはないか?」

話題を急に変えると男はあぐらをかくと右肘みぎひじを脚の上に乗せた。

「忘れていることなんてありました?」

「俺の名前だよ、名前」

そういえば…と思った。

「興味が無くてすっかり忘れていました」

すると、男は眉間に皺を寄せて不服そうにしている。


「格好いい顔が台無しですよ」

だって、本当に興味がなかったんだからしょうがない。

「…俺はオパール・ブラックだ」

口を尖らせ拗ねている男。

私は立ち上がる。

「では、昨日の真相をお話しします」

すると男は、拗ねていた状態から真剣な表情に変わった。


「なぜ怪盗と気づいたかについて。それは予告状です。予告状の最後に”ブレイブ”という名前に違和感を覚えたのです。まるで、暗号のようなこの名前に。それから、貴族達の話し声の中に”王子達が怪盗になった”。この言葉を聞いたときに気づいたのです。ブレイブは髪の色の名前ではないかと。実際、王子達は脱走し怪盗になった可能性が高いと新聞にも書いてありましたから。王子達の髪の色はレッド・イエロー・ブルー。しかし、少し引っかかりました。王子は3人なのになぜ、4文字なのかと。その時、貴方の言葉が教えてくれました」

「俺が?」

男は少し首を傾げながら微笑んでいる。

「えぇ、それが”王子達を逃がした怪盗がいる”。この言葉で矢を射ってきたのは王子の誰かではなく、リーダーにあたる怪盗ではないかと。そして、その怪盗の髪の色はブラックであることがこの時、推測できました」

「推測って事はまだ確信がなかったってことか?」

「そうです。しかし、昨日の偽物の兵隊が推測から確信へと変えてくれました。なぜならあの兵隊は王子だからです。これで、昨日の真相のお話は終わりです」


男は手を顎を包むようにして、何かを考え込んでいる。

もうすぐ、あの方が来る時刻だ。

「もう、いいでしょう。貴方方あなたがたが契約を知っていたとしても私を盗むことはできません。なぜなら私にその気がないからです。契約がなくなったとしても、私を盗むことは「できるさ」


男は真剣な表情でそう言った。

「あんたにその気がないならその気にさせりゃぁいい。ただ、それだけだろ?」

男は私の髪を一束取ると、その一束にキスをした。

いつの間にか、鉄格子の方に近づいていたらしい。

「それは…礼儀ですか?それとも、無意識ですか?」

「…礼儀だ。それじゃぁ、今日あんたを盗むから、絶対にな」

「期待はしませんが…私を盗めた時、貴方方は世界を敵に回すでしょう。そして…」


バンッ。扉を思い切り開けた時の大きな音が牢屋中に響く。

「サファイア!!お前というやつは何を言おうとした!!!!」

あの方の大声が私の身体を言葉の鎖で締め付ける。

「おい、お前!お前が例の怪盗だな?わしの奴隷を盗むなど、言語道断!!!!」

身体中が震える。その場にへたりと力なく座る。

お願いだから…もう、やめて。

「それを破ったら子供を目の前で殺されるとか?」


シンと静まった牢屋。

顔を上げると、男はあの方を睨んでいた。

「契約の内容を俺の口から話してやる。サファイア・トルマリンは一生、奴隷として生き、またエメラルド王に仕えること。もしも、逃げたり助けを求めたりすればサファイア・トルマリンの目の前で他の奴隷、子供を1人ずつ殺していく…こんなところだろ?」

「なっなぜ、お前は知っている!!」

あの方の顔は青ざめている。


「少し前に、この城で衛兵になりすましていた時に、偶然にも王の部屋に入ったことがあってな。そん時に紙を見つけてな。その紙が契約の紙だった。ただそれだけのことだけど?」

男は挑発的に言っていた。

あの方は青ざめるばかりだ。しかし、

「だからなんだと言うんだ!わしを脅して盗「いや?この女の悩みを今日の夜に吹っ飛ばすんだよ。あんたの目の前でな」

いきなり、この男は何を言い出すんだ?というような目で男を見るあの方。


「それじゃ。今日の夜、キャッツアイと純白の少女をいただくから!」

男はそう言い残し、あの方の横を通り過ぎた。

あの方の後ろで控えていた衛兵達も呆然と立っていたという。


第六話に続く

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