第2話
「では奴隷達を起こせ!分かったな?」
「はい、かしこまりました」
頭を下げるとあの方はどこかへ行ってしまった。
「お前…本当にこれでいいのか?」
さっきの衛兵が牢の鍵を開け、手錠を外す。
その代わりに足かせを付けられる。
「あの方が望んでいることです……」
足かせについた丸い鉄球はずっしりと重く、
牢から出るのは大変だ。
「ほら…みんな起きて」
牢の中のみんなに声を掛けていく。
「お兄ちゃん…ほら、起きなきゃ」
「分かってるよぉ…もうちょっとぉ」
みんな、まだ眠そうに目を擦っている。
「サファイアお姉ちゃん…今日もお仕事があるの?」
ピンク色の髪の女の子・コーラルが話しかけてきた。
「えぇ…でも、みんなにあんなことしてほしくないの」
頭を撫でると嬉しそうに受け入れてくれる。
「みんな起きたね…じゃぁ朝食を食べに行きましょう」
「は~い!!」
みんな笑顔で返事をした。
手を繋いでいくけど、私は笑えなかった。
楽しいはずなのに笑えなかった。
「いただきま~す!!」
みんなで朝食を食べる。
パンと目玉焼きを1つずつ。
「今日の目玉焼きは美味しいね…誰が作ったの?」
「俺俺~!!美味しいだろ!サファイア姉ちゃん!」
「とっても美味しい…塩を入れたの?」
「砂糖を入れてみた!」
「ちょっと~!また実験したの~」
「いいじゃねぇか!サファイア姉ちゃんが美味しいって言ってるんだから!」
「喧嘩はやめて…あの方が怒るわよ?」
するとみんなの手が止まった。
「ごめんなさい…サファイア姉ちゃん……」
「いいの…あの方には気づかれていないから、ほら食べよ?」
私が食べ始めるとみんなも静かに食べ始める。
「ごちそうさまでした~!!」
みんなでお皿を片づけた後、お城の掃除をし始める。
来客には挨拶もしながら、楽しそうに掃除をしていた。
端から見れば子供の召使いのようだが、
この子達は奴隷なのだ。
歯を食いしばりながら掃除をする私を誰も知らなかった。
第3話に続く