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008.そういえば私はヒーラーだった。

寝ている子供の顔をまじまじと見る。


さっきは汚れていたし、体をぬぐうことが優先だったので特にじっくりと見ることも無かったけど、綺麗な子よね。

どうにも人種が不明なんだけど、白人ぽい顔立ちで、髪はゆるくウェーブの掛かったアッシュブロンドっていうか灰色がかったくすんだ金色。

縋ってきた目は割とはっきりした緑色だった。

肌色は日に焼けているのか薄めの褐色だったけど、お尻までそうだったので多分白人ではないんだろう。


そして股間には立派なブツぶら下がっていた。

うん、女の子を一杯泣かせそうな男になりそうよね。


衰弱して痩せているだけで私と背は同じくらいだろうし、お肉がついたらずいぶん立派な体になりそうだ。

どれだけ掛かるかわからないけど、今はまだ成長期だろうしね~。


普通だったら1ヶ月くらい回復に掛かるだろうけど、そんなにここにいられるかわからないし、これから冬だしちょっと色々何とかしないと。

助けたはいいけど、今後の身の振り方とか考えないといけない。


両親はいないようだし、放り出すこともできないし。

とにかくこの子が回復するのが先だ。



こんなに何でもありの魔法が使えるなら、もともとのスキルであるヒーリングがパワーアップしてるかもしれない。


気功というのは内気功と外気功があって、内気功というのは自分の身の内にある気を高めるのが普通。

いわば自分の生命力を高めて上手く循環させるのが目的。

これしかできない人は他人に気を与えてはならない。

自分の生命力を人に与えることになるからだ。


昔神社で会った人に聞いた話で、気功をやっているグループの人達に誘われたことがあるけど、どんどん死んでいくので怖くなって縁を切ったと言ってたっけ。

普通の内気功でヒーリングを沢山の人にしたら死ぬわ、そりゃ。


私の使えるヒーリングは外気功といわれるもの。

現実世界では「レイキ」といわれている。

海外の方がレイキは有名でアメリカの病院の一部やイギリスなどでは代替療法として使われており、保険も利くらしい。


外気功というのは、例えればドラ〇ンボール元気玉のように、全ての根源からエネルギーを分けてもらい人に流すだけ。

つまり私の役割はパイプ。


このパイプも中身が汚れていれば(病気や弱っていたり、毒素が溜まっていたりなど)エネルギーはパイプを浄化する為にクライアントに流れる量が少なくなる。

だから健康で丈夫でないとヒーリングの力が弱くなる。


健康だったら気が一杯流れるかというと、現代の日本では食品に添加物が恐ろしいほど大量に入っている。

一年で普通の日本人が摂取する添加物の量は3~4㎏だそうだ。


食品添加物というのは表示の義務がある。


コンビニおにぎりにPH調整剤という物が必ず入っているが、いわば毒物。

長持ちさせる為に入れるものなので防腐剤と変わらない。

発色を良くする食用黄色4号という物があるが、これは大量に摂取すると発がん性があり、実は石炭から抽出したタールより作られている。


化粧品などに配合されているミネラルオイル、鉱物油などの記載があるのは全て石油だ。


アレルギーなどの原因はこの添加物が原因といわれているが、添加物を取り除くとすぐに腐るので大手の食品会社は安く大量に販売する為にこの添加物を使っている。

国としてある程度の基準はあるが、以前はもっと酷かった。


TVCMで有名な石鹸で、アレルギーを発症して裁判沙汰になっている物があるが、あれは加水分解した小麦を使っている為に起こった症状である。


食品にも普通に使われるものだけれど、分子量が小さい1000以下のものを使うのが普通。

何故あの石鹸がアレルギーを起こしたかというと危険ゾーンとされる50000〜60000の分子量の加水分解コムギを使用したためであるらしい。

分子量を大きくすると体に危険が大きくなるようだ。


加水分解というのは何かというと、酵素や塩酸などを使って細かく分解すること。

殆ど塩酸を使っているといっていい。

胃液は成分的に塩酸だから大丈夫だといわれているけれど、自分の体が作り出したものと違って科学的に生成した物が体に合うわけがない。


私はそういう知識を地道に学びながら自分の食生活には非常に気を使ってきたわけです。


食は全ての基本。

命の源なのよ!!



ということでこの世界では食品添加物なんかは使わなそうだし(いや、毒物と知らずに使っていることもあるかもしれないけど)効きは良さそうなのでヒーリングをしてみた。


結界を張って場をエネルギーで浄化する。


結界を張るのは、鑑定歴50年の大御所占い師に「お前は巨大化したウルトラマンだから」といわれるほどエネルギーが駄々漏れだったせい。

普通にヒーリングすると半径3Mぐらいは普通に気が膨らむらしく「良くない物が目をつけるから隠しなさい」といわれて普段から結界を張るようにしていた。


頭から肩、胸、お腹、足の付け根、膝、足首、つま先まで順々に手を当てて気を流していく。

1箇所に付き10分程度だけれど軽く2時間は掛かった気がする。


胸の辺りが非常に冷たくて、流しても流しても温まらなかった。


気を送るとたいてい体温が上がり、血の巡りが良くなる。

体の悪い箇所はなかなか温まらない。

酷い病気の場合は、一度や二度気を送ったところで全く温まらなかった。


でもこの冷たさには覚えがある。

心に傷を負った人特有の冷たさだ。


こんなぼろぼろの状態で、ろくにご飯も食べていないようだし…

どんな目にあったんだろう…

まだ子供だというのに痛ましい。



気を取り直して、全身に気を流した後に再度胸に気を流すことにする。


手を当てると悲しみが伝わってくる。


行き倒れた人がマザーテレサに救いの手を差し伸べられた。

「何故私を助けてくれるのですか」そう問うと

「あなたを愛しているから」と答えたマザーテレサの言葉が脳裏に浮かぶ。


ヒーリングは愛。

幸せであって欲しい。

元気であって欲しいという、ただそれだけの願い。


普段からそんな気持ちはわかないけれど、ヒーリングの時は誰に対しても幸せであるように、笑顔になれるように心から祈りながら行う。


私は怒ったり八つ当たりしたりなど普通にするし、自分が人並みはずれて心が綺麗などとは欠片も思わないが、ヒーリングの時だけは自分の中が愛で満たされる。


人の醜いと思うところは自分の醜いところ。

他人は自分を映す鏡。


だから、人を憎むのは意味がない。

怒りを覚えるのは当たり前のことだけれど、それに魂を奪われてはならない。


どうかこの子が元気になりますように。

幸せでありますように。

愛と祝福がいつもこの子とともにありますように。


そう願いながら胸に手を当てて気を流していると、子供の全身がほんのりピンク色のもやに包まれたような気がした。

なんとなく胸の中心が黒くよどんでいたようなイメージだったが、それがどんどん消えてなくなった。


占い師というのは、ある程度霊能力がないとできない。

私は「見えるタイプの霊能力者」ではなく、そんな気がするという「わかるタイプの霊能力者」。

多分見えてはいるのだろうけど、「見たくない」気持ちが強いので感覚として感じるようだ。


本来霊能力者とは、霊気(レイキ)を使える能力者という意味だったが、いつからか巷では見えざるものを見る人がそういわれるようになったそうだ。


今回はいつもよりはっきりしているというか、うっすらとだけど見えてるようだ、とぼんやり思っていると子供が目をあけた。



ヒロインは男の裸にだってひるみませんわ。

だっておばさんだもの。

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