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005.子供を拾ってしまいました。

子供が苦しんでるのを目の前にして、見なかったということはさすがにできない。


いや、ここではもしかしたら成人なのかも知れないけど、日本ではまだ立派に子供。

日本でなら生意気盛りの中高生だけれど、自活の知識も仕事も少なく、保護者の必要な年齢だ。


16~7かと思ったけど、もっと若いのかしら。

私よりも一回り小さく華奢な感じ。


とりあえず側に座り、声を掛けてみる。

「大丈夫ですか?お水飲みますか?」

少しおびえていたが、私の言葉を聴くと目を合わせてうなずいたので、バッグから水の入った皮袋を取り出して水を飲ませた。

どうやら言葉は通じるらしい。


「お父さんとお母さんはこの町にいる?人を呼んで来ましょうか?」というと必死に首を振り、腕を掴んで縋るように目で訴えてきた。


「わ、わかった。とりあえず人は呼ばないから」というとほっとしたのか、草むらに仰向けに倒れた。


「怪我はある? どこか痛いところは無い?」

億劫そうに首を振って無言で答える。

「何かして欲しいことはある?」

躊躇った様子でこちらを見るのみで、何も言わない。


話せない?

声が出ないのかしら。

…それとも遠慮してる?

警戒…してるのかもしれない。

無理無いわ、見たことも無い人間だものね。

それにずいぶん衰弱してるし、無理に話させるのも可哀相だ。


「あなたに危害は加えない。  大丈夫よ。」

言うとほっとした様子で目を閉じて意識を失ってしまったので、私は途方にくれた。


どうしよう。

街中に連れて行くとこの子相当嫌がるかもしれない。

でもこんな所において置くなんてできないし。

実際問題この子を背負って長距離を移動するのだって私には無理そうだ。


街から結構離れているし、歩いて20分ぐらいは掛かる。

周りを見渡すと100mぐらい先に小屋らしき物が見える。

人が住めるような大きさではなく物置小屋なのかも知れないけど、とりあえずそこへ運ぼう。

あのぐらいの距離なら何とか運べるかもしれない。


荷物を背負ったまま子供をお姫様抱っこで抱きかかえた。



ヒロインがヒーロー。

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