003.パニック継続中。
ちょっと待って!!
髪が長いってどういうコト?!
容姿まで変わってるって事?!
それとも三年たってるって事?!
記憶喪失か何かなの?!?!?!
そうだ、鏡!
鏡見てみよう!
座れるところを探して腰を下ろし、背負っていた布のショルダーバッグを漁り、鏡を探してみる。
無い…。
現代社会の恩恵を受けたようなブツは何一つ無かった。
入っていたのはなんだか良くわからない携帯用食物らしき種が1キロ程度。
薄い干し肉の板が10枚。
乾燥してある香草の袋が3袋。
大きな硬いカンパーニュのような丸いパンが三つ。
厳重に布でくるまれたワインの入ったビンが3本。
革袋に入った水が2リットル程度。
動物の毛で作られたヘアブラシと思しき物が1本。
50cmほどの皮紐が二、三本。
三色の麻で編まれた紐が2メートルぐらいある。
小さなナイフ。
火打ち石らしきもの。
雨よけとか防寒用らしき大きなフード付きの革のコート。
小瓶に入ったオリーブオイル。
袋に入った岩塩。
空き袋が二三枚。
ショルダーバッグの中身も「旅行中です、しかも現代じゃないです」と主張している。
しかしこれって結構重いわよね。
10キロ近くあるんじゃないかしら。
おかしいわ、そんなに重さ感じなかったわ。
自慢じゃないけど、肉体派でも体育会系でもなく、デスクワークが専門で、肉体労働は不得意ですの。
なのに10キロの重さが負担じゃないって、体のつくりも変わっているようね…。
そうだ、ガラス!
建物のガラスは?
と、周りを見回してみる。
ガラスのはまった民家は見当たらない。
やはり中世以前の文化なのかも知れない。
そもそも地球なの?
異世界とかだったらどうしよう。
…それならそれでゲームとかでありがちな、自動翻訳能力とか、すんごい魔法使えるとか逆ハーレムでイケメンに求愛されるとか、勇者として世界を救う使命とかあったりして。
いや、世界を救うなんてそんな大それた使命、地味にイヤです。
大体たった一人の人間が世界を救うなんて、ドンだけ傲慢なのよ。
世界が自分中心に回っていて、自分だけが特別で、選ばれた人間なんて思い上がりもいいところ。
世の中は7割がそんな人たちだって言うのはわかっているし、自分さえ良ければ良いと思ってる。
しかもその自覚さえしていない人が殆ど。
当然ながら私自身もそうでした。
振り返ると恥ずかしすぎて裸足で逃げたくなるけど、仕方が無い。
過去に迷惑をかけてきた人たち全てに土下座したい気持ちで一杯になるけど、誰しも多かれ少なかれそんな事はしてきたはず。
迷惑をかけずに生きてきたなんてありえないものね。
だから他人を責めるのはいけません。
スピリチュアル的な解釈によれば、自分に起こる出来事は全て自分の中にある問題を反映しているってコト。
そう。
家族との仲や会社での対人問題なんかも全部自分の問題を知らしめてくれる現象なのだ。
そう、今起こっている出来事は自分自身が原因なんだろうが…
現代じゃないってどういうことよーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
逆上収まらず。