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ゲマトリア  作者: 案羽間
3/3

邂逅

「見てたよ」


「今の、君でしょ?」


!?


見られた。


ばれた・・


この能力が人に知られるなんて、考えもしなかった。


思った途端、彼女から返事が返ってくる。



「そうなんだ?」



「ここ数ヶ月ないくらい驚いてるね。」


!!


心臓がバクバク鳴る、どうやってこの場を脱しよう・・?



「逃げられないよ、私、ドアの前にいるんだよ?」



!!!



考えた事に対して、彼女から返答が帰ってくる、頭が混乱して真っ白になる。


「聞こえるんだよ、私、人の思ってる事。」


・・・


「意味がわからないよ、どうゆうことだよ・・?」

「とぼけないで! 一緒だよ、君と、一緒・・」


そうゆうことか、似たようなことが出来る人が他にもいるのか、と少し納得した。


「会話楽なんだよね、これ、思ったことが分かるから、人の表情考えるより百倍楽だよ。」


「そんな事、か、簡単に、人に言っていいの?」

「君だけだよ!」


「まだ、君にだけ・・」


言葉を出し切らないうちに、即座に返答が帰ってくる、はたから聞いて会話になってるのか疑問に感じる。

「そんなこと考えないでいいの!!」


「私のことだけ考えて!!」



状況が変だけど、女の子にこんな事を言われたのは初めてだな・・

「もうっ!!」



走り寄ってきた彼女に頭を、パシン、と、どつかれる。


「わかった、わかりました・・」


完全に彼女のペースに嵌った。


まいったな、なんかおかしな事になったな、考えて、すぐ止めた、またポカっとやられそうだ。


「私ね、学校中の声を聞いて、同じような人がいないかずっと探してたの。」


「そしたら、君がいた。」


「最初は、変な事考えてる、気持ち悪い人だと思ったけど」


こら・・・

「ごめん、怒らないで。」


「こないだ、2年のヤンキーにいたずらしたでしょ? 下駄箱で、あの時、私もあの場所にいたんだよ。」


「それで、本物だって、わかったの。」


あの時か・・


生活指導の先生の声を再現した時、絶対にばれないと思っていたけど、自分の考えている事が、分かる人があの場所にいたら、話が変わってくる。


「でも、君は、私とは持ってるものが違うね、聞こえないもんね。」


「僕は・・」

「あ、嘘ついてもだめだよ、私聞こえるんだから、あなたの思った事。」


はい、正直に。


「僕は・・、そうだな、音が出せるんだ、他人の考えてる事が分かったりはしないよ。」


それから、彼女と屋上で立ち話をした、彼女も春頃から、おかしな能力に気づいたらしい。


「最初はね、ノイローゼだよ、頭がおかしくなったと思ったわ、だって目の前の人の声が、口も開いていないのに聞こえてくるんだもの。」


「私、勉強がんばってる方だし、ちょっとおかしくなったと思ったわよ。」


「学校にもしばらく来れなかった、だってあれだけの人の声がいっぺんに聞こえるんだよ、しかも年頃のガキの声だよ、聞いてられない・・・」


そういえばこの子、たしか成績も凄くが良かったような・・名前はたしか・・


日坂ひざか りんです、よろしくね。」


あ、やっぱりと思った、張り出される学年順位の常連だ。


「君は?」


「え?」


「名前!」


「・・・近江 壮士 (おうみ そうし) 3組だよ、学年一緒だよな。」


「お互い、自己紹介だね。」


「今は、大丈夫なのか?」


「うん」


さっきより、返答がゆっくりになった、彼女も少しは落ちついたんだろうか?


「途中からね、コントーロール出来るようになったんだ。」


「だから、今は大丈夫。」


「意識すれば、全く聞こえないようにする事も出来るし、特定の人の声だけ聞くこともできるようになったの。」


「かなり練習したんだよ。」


確かに、似ているけど違う。 彼女は自分の能力に随分思い悩んでいた様子だった。


自分も、もしこんな能力だったら、彼女のように辛い思いをしたかもしれない。


続く


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