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ゲマトリア  作者: 案羽間
1/3

音がする。

超能力モノ・SFホラー(予定)

 学校の帰り道、今日はかなり寄り道してしまった。


欲しいCDを探して、あちこち回ったあげく結局見つからず、最終的には携帯からダウンロードする事になった。


洋楽かぶれの自分、やっぱり、気に入った人のアルバムは、CDで持っていたいと思うのだが、、


最近はCD屋もめっきり少なくなって、たしかあそこに・・・なんて思って訪ねてみても、


いつのまにか別の店に変わっていたりする。



 夜の電車内、10時を過ぎると客足もまばらで、座る所には苦労しない。


社内は明るくて、反対に暗い外の景色は良く見えない。


僕は、電車やバスの中ではどちらかと言うと「シャカ男」の部類に入る。


いや、音漏れには気をつけているから大丈夫だと思うけれど、電車に乗ると目のやり場に困るし。


中釣りの広告をずっと眺めていても、つまらない記事ばかりだし、首が痛くなる。


結局、イヤホンをつけて、俯きながら半分寝たように過ごすのが正解だ・・・


と、いつの間にか結論して、そうなった。



イヤホンを着けて音楽を聴きながら、目を閉じていると、一瞬寝たようになってはっとする。


でも、同じアルバムを聞いていると、曲の進み具合でどれだけ時間が経ったかすぐ分かるようになったりする。


まあ、そんな頃になってくると、そのアルバムにはとっくに飽きているのだけれど・・


電車生活が長いと、こんなサイクルの繰り返しだ。



 今日は新譜も手に入れたし、これを聞きながら時間を潰そうと思ってた。


春の夜、エアコンの温度もなんだか中途半端で、火照るような、それでいて寒いような。


うたたねした時の感じ、そうだ、気がつくと僕は眠り込んでいた。


薄目をあける、耳からは聞いたことのない音楽が聞こえる。


「何曲目だろ?」


そう思って握っていた携帯を見ると、再生が止まっている。



あれ、イヤホンもいつの間にか外れて、腕に絡みついている。


音楽はまだ、耳元で聞こえる。


声は確かに好きなアーティストのものだし、聞いたことの無い曲。


おかしいな


思ったとたん、聞こえなくなった。


いつもの車内、夜の車内、客足もまばらで、時間は大丈夫かな、乗り過ごしていないかな・・


どきっとして車内を見渡す。


まだ大丈夫、うっすら見える景色で分かる。


少し遠くの席に女性客二人が見える、意識したとたん、二人の会話がまるで耳元で話しているように聞こえてくる。



「・・・でね、あの人がね」


「えー信じられない!」


「私がこういったらね!」


「ええー!!」



頭がキーンと、めまいのような感じになってきて、目を細めながら、耳を軽く塞ぐ、でも聞こえる。



あーうるさいっ。



思った途端、



「あーうるさいっ!!!」



車内に爆音で自分の声が響いた。


騒然とする車内、でも自分の口は動いていないし、声も自分の辺りから出たわけではない。


自分だとは思われていない・・・


またいつもの車内に戻った。


耳がおかしくなってしまった、それとも頭が? と思ったけれど、車内の客も確かに聞いて、驚いたような様子だし。


ぽかーんとしている間に、僕の降りる駅に到着した。




その夜から、おかしな夢を見るようになった、真っ暗な場所に、うっすらと緑に光る三角錐のようなものがみえる。




「壮士! ご飯食べるの!? 食べるなら早く下りてきて!」


1階から母さんの声がする。


「食べるよー!ちょっとまっててて! すぐ下りるから!」


答えるけれど、口は動かない。


腹話術のような感じでもなく、ただ、どこからか音を出すことが出来る、そう言う事だと理解した。


続く

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