勇者帰れない。
私達は駐車場に着いて、キャンピングカーを出した。
これからBBQをやるのです!
キャンピングカーを出した瞬間、おにぎりを頬張っていた男性が、ポカンとしていました。
「……何故、キャンピングカー?」
「私のユニークスキルです。」
「ユニークスキル?」
「です。」
私はお腹が空いているので、話すのは後にして、BBQの準備に取り掛かる。
買ってきた貝を受け取り、大型BBQガスグリル 、机と椅子の設置、タープの設置をして下処理を行う。同時に、あら汁を作るべく魚の処理もしていく。
グリルにさざえやホタテを置き、おにぎりも柚子みそを付けて焼いていく。
どうせならと、玉子焼きも作っていく。
「ミイナ、何か手伝えることあるかい?」
ゼノさんが声をかけてくれた。
「んー……ゼノさん、飲みたいでしょ?なんかお酒出しといて!」
「おー!任せろ!」
ウキウキと机にお酒を出していました。そのお酒を見ながら、なんで日本酒!?と叫んでいたけど、まぁほっとこ!私はお腹が空いた!
料理を作り、出来上がりを机において実食です!
「さぁ、食べましょ!いただきます!」
「「「「「「いただきます」」」」」」
いただきますは伝わるのか…勇者隠す気がないな!
食べ初めは皆さんガツガツと食べていましたが、少し落ち着いたのか、ちらほら喋り始めました。
「私達もご相伴にあずかって申し訳ない。」
「いいんですよ。貝も買っていただきましたし!」
「この料理美味しいね!」
「この酒も飲んだことのない、美味しい酒じゃ!」
皆さん喜んでくれて何よりです。
「まだ、名前も言ってなかったな!俺の名前はゼノだ。S級の冒険者だ。よろしく。」
「私はミイナです。S級です。」
「私はリリアー、エルフよ。」
「私はフェルシア人族です。」
「俺はザハーク 龍族だ。」
「我はドリガン ドワーフじゃ」
「俺は ユウヤ 人族だ。」
違っていなければ、勇者一行だよね〜。ゼノさんは分かっていないみたいだけど……ユウヤさんの視線が痛いのよね〜。ずっと何かを聞きたそうにしているものね。
聞いてみるか〜。
「えーっと…勇者一行様方はどうしてここに?」
「「「「「(ガタッ!!)なんでバレた?」」」」」
「えっ!?勇者一行?」
ゼノさん…やっぱり気付いていなかったのね……
私は指折り話していく。
「ひとつ、醤油と味噌を故郷の調味料と言う人は、この世界にはいないのではないかと。ふたつ、箸を出して使いこなせるのは日本人特有。まぁ、中国や韓国も使うけど。三つ、第一ユウヤって勇者の名前でしょ!」
「ミイナ、でも勇者ほ随分昔の人で、エルフやドワーフ等は寿命が長いが、人族は短いだろう!もう死んでいてもおかしくないぞ。それに勇者のように強くなるようにと、子供にユウヤと名付ける人は多くいるぞ。」
「ゼノさん、私のステータス覚えてる?」
「ステータス?……あっ、ハイヒューマンか?」
「そう。レベル50以上になると、種族が変わる。だから魔王を倒した勇者も、ただのヒューマンではなくなった。」
「……その通りだよ。俺はハイヒューマンだ。魔王を倒す前に既にレベル50以上で、ハイヒューマンだったのさ。そしたらこんなに長生きさ!」
勇者は観念したかのように言い切った。
「えっ!?えっ!」
ゼノさん少し壊れた模様です。
「この世界に召喚されて魔王を倒した後、俺は米を探して旅に出た。幸い友人に恵まれ、今でもこうして旅をしている。俺とフェルシアの年齢がバレるといけないから、ひとつの場所に長居は出来なくてな。米と調味料を探して、あっちに行ったりこっちに行ったりとしてきた。あと、帰る方法も探していた。」
「帰る方法…」
「俺がこの世界に来たのは、21歳の時だ。西暦2000年だった。」
寂しそうに語るゆうやさんを、仲間達が心配そうに見ている。
その時アイテムボックスに変化があった。覗いてみると、神様からの手紙があった。
「……えぇーこんな時に?マジかぁー。」
周りが不思議そうにこちらを見ている。
私は手紙を出して読み始めた。
「勇者 湯沢裕也様。異世界に召喚され、魔王を倒してくれて深く感謝する。私は君が生まれ育った地球の神だ。召喚を防げず 申し訳なかった。今、君の状況を澪奈ごしに確認出来た。大変申し訳ないのだが、地球に戻す事は出来ぬ。召喚時に君が地球にいた事を、消去する魔法が使われた。それによって、こちらの家族、親類、友人、知人は君の事を覚えてはいない。申し訳ない。出来るなら、そちらで楽しく暮らして欲しい。」
「それは……」
「地球の神様からの手紙です。」
「そうか。もう戻れないんだな。それにみんな俺の事を覚えていないのか……」
「ユウヤ……」
「ごめっ、ごめん。みんなを連れ回して、こんな結果に……」
「いいのだ。ユウヤに責任はない。我たちが勝手に付いて来たんだ。それに楽しかったではないか!」ドリガン
「そうだよ!帰れないのなら、今までと一緒に、また旅をすればいいじゃん!」リリアー
「そうだな。まだまだ、修行が出来るな!」ザハーク
「私の祖国が大変申し訳ありませんでした。」フェルシア
「みんな……ありがとう。フェルシアは謝らないで。大丈夫だから。澪奈さんありがとう。帰れない事が分かっただけでも十分さ。」
「神様から追伸がありました。私にある魔法を授けたので、好きな魔法を貰うと良い!だそうです。」
「何それ!何それ!」
「カット&ペーストだそうです。」
神鑑定をしてみると
「私が創造魔法で創った魔法を、誰かに与えることが出来るみたいですね。」
「チートすぎ……」
「デスよね〜。創造魔法も相当ヤバいのに、ここに来てカット&ペーストって……私チートすぎるよう…」
「ミイナ大丈夫?」
ゼノさんが背中をさすってくれる。
「大丈夫じゃないけど大丈夫。」
「大丈夫ではなさそうだな。でも、ミイナの事は俺が守るから!」
「ゼノさん……ありがとう。」
「澪奈さんはどうしてこの世界に来たんだ?」
「神様が寝ぼけて〜青龍のしっぽ踏んで〜驚いた青龍が雷落として〜私にドカン!そして今ここ!」
「……小説みたいな話ってあるんだなー」
「裕也さんも人の事言えませんからね!」
「…確かに!」
私達は笑いながら、ご飯を食べました。
彼は笑えてる。大丈夫。
何かを確認するように、これから先の事を願って…。




