二次会です
お客さんもあらかた帰り、新郎新婦のご家族も宿屋に帰りました。テーブルや椅子を片付け、お手伝いしてくれた人達に、お礼の料理とドリンクをギルドの一室に用意した。受付嬢の要望でウエディングケーキの残りも置いてある。
私はキャンピングカーに戻り、殿下達の近くに机と椅子を出し、料理とドリンクを置いていく。
ついでに殿下達の机の皿を片付け、料理を追加していく。
「飲み物は……」
「まだあったら出してくれるか?金は払わせる。」
「……ヴァレンタイン様、どのようなお酒が好みでしょうか?」
「キリッとして奥が深く、甘くない強い酒が良いな!」
「それではこちらはいかがでしょう。」
私は日本酒を出してみた。
一升瓶の上善如水を出した。
「非常に軽やかで、後味が潔く消えます。まるでお酒であることを忘れるような透明感です。」
私はコップにお酒を注ぎ、皆に配った。
ヴァレンタイン様は一口、口に含むと貴族のように……(実際貴族なんだけど)
「甘みも、しつこい香りも一切ない。ただ清らかに喉を通り、最後は風のように消えていく…… 」
「お気に召したようで何よりです。」
私は上善如水、久保田の千寿など何本か日本酒を置いた。
「ミイナ、この酒は?」
殿下がお酒の匂いを嗅ぎながら聞いてきた。
「私の故郷のお酒です。日本酒と言います。お米のお酒です。」
「米?」
「はい。白麦のことです。」
「白麦からこんな透明な綺麗な酒ができるのか……美しいなぁ」
「殿下、これからは二次会です。カイルさん、カリーナさん、ギルマス夫婦がこちらにおいでになります。」
「そうか、私達も一緒にいいのかな?」
「はい。このままここで、お飲みになってください。」
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皆が揃い、お酒を持ち上げる。
「カイルさん、カリーナさん、おめでとうございます!お二人らしい、明るく素敵な家庭を築いていかれることを心から願っています。ここからは無礼講です。張り切って呑んで食べてください。カンパーイ!」
乾杯してから、ヴァレンタイン様に捕まっています。
「ミイナ!日本酒とは凄いな!」
先程から日本酒を片手に、褒めたたえながら飲んでいる。
「喜んでいただけて良かったです」
私は顔を引き攣らせながら答える。
カリーナさんはギルマスの奥様と話し込んで、カイルさんは殿下とビールを飲んでいる。
ギルマスはお付の人達と焼酎を飲んでいる。
なんで私はヴァレンタイン様のお守りをしているのかしら……
殿下を見ると目をそらされるし、カイルさんは絶対にこちらを見ない。
「ミイナ、この酒は売って貰えるか?」
「構いませんよ。」
「酒が無くなったら、このユランにくれば売ってくれるのか?」
「私はあちこち旅に出ているので、時期を教えてくれれば、ユランに戻りますよ」
「……」
何やら考え出したヴァレンタイン様を置いて、わたしはカリーナさんの所へ逃げた。
それからはいつもの飲み会が繰り広げられた。
みんな呑んで食べて、結局はキャンピングカーに泊まっていった。
もちろん次の日は、揃って二日酔いでした。




