馬鹿は誰?
受付嬢の後に、サムイさんと3人程部屋に入ってきた。
カイルさんが先に挨拶をしだした。
「ユラン商業ギルド 副ギルドマスター カイルと申します。ジューク様にはユランのギルドが下ろしております、石鹸をご所望とか?」
「……あっ、ああ。明日の朝までに100個用意するように、ここのギルドマスターに伝えた。」
「何でも、言い値で引き取っていただけると聞いておりますが、本当でしょうか?」
「っつ…ほ、本当だ!一つもかけることなく、100個だ!」
「かしこまりました。ただ、今売り出しの石鹸は在庫がございません。それはここのギルドマスターからも伝えているはずです。」
「ああ、聞いている。それでも100個用意せよと伝えておる」
ドヤ顔で言い切ったなー
「これから売りに出す予定の石鹸ならばございます。いかがなさいますか?こちらは今までの石鹸より遥かに優れたものです。それなりの値段になりますが?」
「たかが石鹸だろ!白ければ何でも良い!早く用意しろ!」
「かしこまりました。」
カイルさんが私に合図をくれた。
「私、この石鹸をギルドに下ろしている者にございます。今からこちらに石鹸を出させて頂きます。」
そう言って、アイテムボックスから石鹸を机の上に出した。
馬鹿王族は袋を手に石鹸を確認した。
「おおー、これが白い石鹸か!よし!これを貰い受ける!」
「…貰い受ける?購入の間違いでは?」
「はっ?お前俺を誰だと思っている?王族だぞ!」
「ええ、存じ上げております。石鹸を言い値で買い取ると、豪語した王族様ですね!しかも!在庫がない!納品は隣街!隣町からこの街まで2日!それをわかっていながら用意せよと、出来なければ税をあげる?片腹痛いは!そもそも石鹸ではなく、税の引き上げ目的なのでは?」
「なっ!…」
「そうでないと仰られるのなら、私は石鹸を明日の朝まで用意する様にと、ギルドより依頼されております。お支払いは王族様が言い値でと!無理をして用意をし、急いでスイカにやって来ました。通常なら新商品の石鹸は聖銅貨1枚。100個で聖銅貨100枚ですが、特急料金として、プラス聖銅貨50枚。締めて聖銅貨150枚となります。現金ニコニコ払いでお願いいたします。」
「………ゆ、許さん!許さん!我は王族だ!口答えは断じて許さない!この場で斬り殺してやる!」
「あらあら、駄々っ子の子供のようですねぇ」
「なっ!こやつっ!」
あらら、剣を抜いちゃたねぇ
えーと、馬鹿達の周りに檻を作る感じで…
「闇魔法、結界!」
「ガキン!」
結界に跳ね返されて、尻もちを着いている王族に、他の2人が駆け寄る。
ガラッと扉の開く音がすると…
「いい加減にしろ!お前はどこまで王族を穢すつもりだ!」
皇太子様でした。
「ミイナ、済まなかった」
私に頭をさげてきた!
「あぁ…兄上…どうしてここに……そんな、俺はちゃんと…」
「あぁ、ちゃんと眠りの呪いは発動していたさ」
「なっ!」
「ここに来る前に解除している。それよりも、此度の件はどういう事だ!呪いといい、石鹸といい、お前は何がしたかったのだ!」
「それは……トリスタンが……兄上より私が皇太子になるべきだと、税が上がれば俺に献上するからと…」
「なっ!ジューク様!」
「黙っていろ!トリスタン!」
皇太子殿下は従者よろしく隣にいたトリスタンを黙らせた。
「ジューク、お前はそれを信じたのか?」
「兄上……」
「残念だよ。お前は変わってしまった。あんなに真面目で、皇太子になった私を補佐になって助けてくれると…」
…ん?
元々ジュークは真面目だった?
補佐になると言った?
まるで別人じゃないか!
……
分からないものは!あれだ!
「鑑定!」
「ミイナ?」
ジューク 16歳
ミスティ王国 正妃第2子
状態 洗脳 (トリスタン)
「あーなるほどねー、カイルさんも鑑定してみてよ」
「そんな不敬なこと…」
「?…カイル、鑑定を許す」
「…はっ、鑑定…………状態が洗脳?…ジューク様は洗脳されている?」
「カイルさんもそう鑑定したんだね。それじゃあ、間違いないね!殿下、ジューク様はトリスタンに洗脳されてますよー」
「洗脳だと!…トリスタン!どういう事だ!」
「そ…それは…」
「あぁ!!足が!手が!…」
突然ジュークが取り乱した!
手足が動かなくなったらしい…
……そう言えば、呪い返しがあったなー、半日ずらす様にしたんだった!あれから半日たったんだねえ。
「ジューク?いったい…」
「呪い返しですよ!」
「呪い返し?」
「呪いは解除したら、術者に帰るものです、殿下の解除をした時に、呪い返しが半日ずらす感じで解除しましたから、今になって返ってきたのでしょ!ジューク様?が術者だとわかっていたので、話ができるように、手足が眠る様に変更しておきました!」
「………わかった、イヤ、わかってはいない!いないけど!とりあえずわかった事にする。」
カイルさんが横で、うんうん頷いて、皇太子殿下を憐れむ様に見ていた。
「コホン。ミイナ、洗脳は解けるか?」
「はぁ、解けるとは思いますが…解いた方が良いです?」
「出来たら頼む」
「わかりました」
聖魔法だよね。
洗脳が解けますように!
「洗脳解除!……からの鑑定!状態は……うん!洗脳は解除されました!」
「なっ!?そんな!」
トリスタンが狼狽てるよ、また洗脳されても困るからなー
魔法が使えなくなる様に!
「闇魔法!魔封じ!」
「ミイナ?」
「また洗脳されても困るでしょ!魔法が使えないようにしてみたよ!」
「それは助かる…」
なんか疲れた顔してるなぁ
「ジューク様、洗脳されていたなら、呪いもトリスタンが強要したんじゃ?」
「確かに…ジューク?話せるか?」
「兄上…私はトリスタンに洗脳されていました。意識は別のところにあり、やりたくない事を強制的にやらされていました。何度も、兄上に助けを求めようとしましたが、トリスタンが常に傍にいて出来ませんでした。申し訳ありません。」
「ジューク…、お前が変わってしまったのでないなら良いのだ。全てはトリスタンお前が!」
皇太子殿下が激おこです!
「殿下、ジューク様の呪いを解きましょうか?」
「出来るのか?」
「多分大丈夫だと思います!」
「た、頼む!」
「はーい。…聖魔法の呪い解除!からのその呪いをトリスタンへ移動!」
ジューク様から出た、黒いモヤがバシュっとトリスタン目掛けて飛んで行きました!
「「「なっ!」」」
殿下、ジューク様、カイルさん
そしてトリスタンは
「あぁ…あぁ…て手が、あ足が…」
そう言いながら倒れました。
「ジューク、大丈夫か?」
「は、はい。動きます。大丈夫です!」
「良かった!本当に良かった!」
兄弟愛ですねー
あー…でもちょっと待って!
王族なジューク様が洗脳されていた。洗脳解除されたから、石鹸はいらない?
えー、ここまで頑張って、支払い無し!?
うわぁー!
私はトリスタンを見て殺意が湧くのであった!
この馬鹿のせいで!
今日1日の私の頑張りを返せー!




