第95話 伝言ゲーム
「キュキュキュキュ」
どこかで鳥が啼いていた。
月明かりが中庭全体を照らしていた。
無機質なコンクリートの立方体の前に
宮崎の死体が転がっていた。
頑丈な鉄製の扉の前で
僕は大きく深呼吸をした。
それから。
僕は腰に手を当てて背中の包丁を確認した。
遊戯室に置いてきた拳銃はすでに弾切れだった。
元々2発しか弾が込められていなかったのだ。
その辺りにも主催者の嫌らしさが垣間見えた。
僕はポケットから鍵を取り出して
鍵穴に差し込んだ。
カチリと音がした。
ゆっくりと扉を引いた。
建物の中は真っ暗だった。
「・・か、菅野さん?」
僕は暗闇に向かって呼びかけた。
返事は無かった。
僕は一歩だけ中に足を踏み入れた。
「動かないで・・」
微かに湿った空気の中、
すぐ横から乾いた声がした。
同時に首筋に冷やりとした殺気を感じた。
僕は視線だけをゆっくり左に向けた。
銀色に光る刃が見えた。
「ぼ、僕です。
す、鈴木です・・」
僕はゆっくりと両手を挙げた。
「あら?
てっきり童貞の坊やが
アタシを殺しに来たのかと思ったけど。
どうやら。
アタシのメッセージは正しく伝わったようね」
「は、はい。
そ、それよりも。
ま、まずは・・。
こ、この物騒なモノをどけてくれませんか?」
「あははは。
ゴメンゴメン」
菅野の高笑いが風と共に外へ抜けた。
僕は彼女に気付かれないように
そっと息を吐き出した。
そして。
僕は菅野に彼女が牢屋に入ってから
これまでの状況を順を追って説明した。
六条が殺されたこと。
西岡を僕が殺したこと。
そして。
千雪を殺したことも。




