第94話 類は友を呼ぶ 4時30分
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
僕は空になったカップを
手の中で持て余していた。
千雪の言葉が
喉に刺さった魚の小骨のように
違和感という名の不快感を煽っていた。
僕は表向きは平静を装っていたが、
実のところ
頭の中は目まぐるしく回転していた。
このままゲームが終われば
僕達はそれぞれ5000万円を受け取る。
しかし。
1人減ればその報酬は1人当たり1億円。
千雪の言う通り
牢屋の中のあの狡猾な娼婦が
何かを企んでいるとしたらそれは何か。
躊躇いもなく六条と宮崎を殺したあの女が
考えそうなこと・・。
あの娼婦は然したる抵抗もなく牢屋に入った。
それは
単に自らの安全を
確保するためだと思っていたが。
その時。
応接室の柱時計が
ボーンと4時30分を告げた。
その瞬間。
僕は菅野の狙いに気付いた。
あの女は牢屋の中で
ただゲームが終わるのを待っているのだ。
もし。
このままゲームが終われば
僕達はそれぞれ5000万円を受け取る。
その後で僕と千雪を殺せば。
あの娼婦は1億5000万円を手にできる。
現状。
考え得る最大の報酬。
あの狡猾な娼婦は最後に
一番美味しいところを持っていくつもりなのだ。
誰が生き残ろうが関係ない。
ゲームが終わった後で生き残った人間を殺し
報酬を奪い取るだけの簡単なお仕事。
毒婦め。
・・だが。
それはこっちとしても同じこと。
『類は友を呼ぶ』
「ふふっ」
つい笑みがこぼれた。
千雪が不思議そうに僕を見ていた。
僕は慌てて表情を引き締めた。
やはり。
女は従順なのがいい。




