第93話 報酬
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「結局。
菅野さんが一番賢かった。
そうなるのかな・・。
どちらにしても。
彼女は牢屋の中だ。
これ以上悲劇が起こることはない。
あとはゲームが終わるのを待とう。
僕達は生き残ったんだ」
僕はカップに残ったハーブティーを
飲み干してから大きく深呼吸をした。
「本当に・・そうでしょうか?」
その時。
千雪がぽつりと呟いた。
彼女は膝の上のティーカップを
両手でギュッと握り締めていた。
「もし。
鈴木さんの推理が正しいのなら、
このまま菅野さんが
大人しくしているとは思えません」
「それは・・どういう意味だい?」
「報酬のことを覚えていますか?
3人生存の場合、1人当たり5000万円。
2人生存の場合、1人当たり1億円。
その差は2倍です・・」
「まさか・・」
「もし。
菅野さんが報酬に執着しているとしたら。
3人生存という結末には
満足しないのではないでしょうか?」
そう言って千雪は僕を真っ直ぐに見つめた。
少女の表情に僕は言いようのない不安を覚えた。
それでも僕は無理に笑顔を作った。
「・・大丈夫。
何も心配することはないさ。
今更彼女には何もできないよ」
「それならいいのですが・・」
千雪がぎこちなく微笑んだ。




