第86話 六条を殺したのは・・
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「彼女の推理を裏付ける証拠もあるんだよ。
六条さんの胸には包丁が刺さっていた。
アレは君が厨房から拝借してきた物だ」
僕は車椅子探偵の助手として
千雪の推理を補足した。
「くっくっく。
残念ながら。
俺の持っている包丁はコレだ」
そう言って西岡が包丁を出した。
僕は咄嗟にカウンターの後ろに下がった。
「で、でも。
厨房には他にも多くの包丁がある。
今君が持っているその包丁は
六条さんを殺した後、
改めて取ってきたモノじゃないのかい?」
僕はやや怯みつつも反論した。
西岡が「くっくっく」と笑った。
「言っておくが。
あのおばさんを殺す機会は
あんたにもあったんだぜ?」
そう言うと西岡は僕の方に包丁の刃先を向けた。
「ぼ、僕は・・ずっと・・彼女と一緒にいたよ」
「それは正しくないな。
遊戯室の前で俺と別れたあんたは
俺が2階に消えるのを見届けてから
廊下を引き返した。
そしてあのおばさんを殺して
お嬢ちゃんの前に現れた。
違うか?」
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
美しき車椅子探偵が
カルーアミルクの入ったグラスを
静かに揺らしていた。
「・・お二人の言い分はわかりました。
その上で。
改めて西岡さんに
お聞きしたいことがあります」
少女はグラスに軽く口をつけた。
そして僅かに唇を湿らしてから
グラスをテーブルに置いた。
「西岡さん・・。
貴方は『少年A』ですね?」




