第67話 曖昧なルール
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「ちょっといいか?」
その時。
西岡が口を開いた。
「たしかルールでは
”牢屋を使えるのは一度きり”
だったよな?
だが鍵がある限り
何度でも使えることにならないか?」
「だ、だから、そ、それは・・。
儂らが順守すればいいだけのことだろう・・」
宮崎の返事は若干歯切れが悪かった。
「これは初めから感じていたんだが。
ゲームのために
徹底した環境を用意している割に、
随分とそのルールには
穴が多いとは思わないか?」
西岡は誰にともなくそう言った。
西岡の疑問は尤もだった。
ゲームには厳格なルールが必要だ。
しかし。
このゲームのルールは恐ろしく曖昧だった。
もし。
【犯人】が屈強な男で
牢屋に入ることを力づくで拒んだ場合、
【探偵】はどうやって
その権利を行使すればいいのか。
ならば。
その権利を【市民】に委ねたところで・・。
僕は躊躇いがちに口を開いた。
「宮崎さんが【探偵】であることに
異論はありませんが、
今の所、
菅野さんが【犯人】だと断定できる
決定的な証拠もありません」
「何が言いたいのかね、鈴木くん?」
宮崎がぎろりと僕の方を睨んだ。
「・・ここはもう一度、
投票しませんか?
菅野さんを牢屋に入れるか否か・・」
皆の視線が僕に集まった。
菅野は小さな溜息を吐いた。
宮崎は頬を膨らませてブヒブヒと唸っていた。
西岡は目を閉じて何かを考えているようだった。
千雪が僕の方を見て小さく頷いた。
「で、では。
菅野さんを牢屋に入れることに反対の方は?」
そう言いながら僕は手を挙げた。




