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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第10楽章

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第65話 宮崎の推理②

遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「・・馬鹿みたい」

ふいに菅野がポツリと口を開いた。

「そもそも。

 アタシが【犯人】なら

 【市民】じゃなくて【探偵】を騙るわよ」

「何だと?」

宮崎が微かに首を傾げた。

「だってそうでしょ?

 騙りに釣られて本物が現れた場合、

 その本物を殺しちゃえば一石二鳥なんだから。

 一挙両得。

 えーっと他には・・

 海老で鯛を釣る?

 整形と豊胸で男を騙す?

 最後のはちょっと違うかしら」

菅野はさらりとそう答えると、

「あははは」と笑った。

そんな彼女を見て僕はブルっと体を震わせた。

「だ・か・ら。

 呆けた爺の貧相な発想で

 アタシを【犯人】と決めつけないで!

 って言ってるの」

そして菅野は髪をかき上げると

「テキーラベースの強いヤツ」

と吐き捨ててから宮崎をキッと睨み付けた。

娼婦の鋭い視線に

老豚がブヒブヒと鼻を鳴らした。


遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「根拠はある。

 お前さんは

 頑なに【犯人】探しを拒否してたよなぁ?

 そして散々【探偵】を

 炙り出しにかかっていた。

 さらに。

 そこの小僧に便乗して【探偵】と【市民】の

 対立構造を作った。

 だが。

 決定的な理由は・・食後の会話だ。

 あの時。

 小僧とした会話を覚えてるか?」

そして宮崎は西岡の方を指差した。

西岡は大きく頭を振ると肩を竦めた。

「小僧は

 『【探偵】は殺された2人のどちらかだった』

 そう言ったんだ」

「・・だから?

 それが何だっていうのよ?」

菅野が口に手を当てて欠伸を噛み殺した。

「その後、

 お前さんは

 『そんなに都合よく【探偵】が

  ”死んでくれる”かしら?』

 そう言ったんだ」

対する宮崎はそう言って口元を歪めた。

一瞬の静寂の後、

「プッ、アハハハハッ!

 あっはっはっは」

菅野が噴き出した。

「だから?

 それが何なのよ?」

「・・わからないのか?

 お前さんは無意識のうちに

 願望を口にしてたんだよ。

 そしてそれは

 極めて【犯人】寄りの発言だったんだ」

宮崎の言葉に続いて

西岡と千雪の視線が菅野に注がれた。


遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


僕は菅野の前にショットグラスを置いた。

「お待たせしました。

 『ショットガン』になります」

菅野はグラスを手に取ると軽く口をつけた。

「ハイハイ。

 結局、証拠はないわけね。

 『極めて【犯人】寄りの発言』ですって?

 アンタこそ呆けてるの?

 アタシ達【市民】にとって

 【探偵】は【犯人】と同じように敵なのよ!

 アタシのことを【犯人】呼ばわりするなら

 アタシが2人を殺したという

 証拠を見せなさいよ」

それから一気にグラスを呷るとさらに続けた。

「そもそも。

 お婆ちゃんを毒殺した

 最重要容疑者のあのオバサンが

 郷田も殺したんじゃないの?

 車椅子の子猫ちゃんもそう推理してたでしょ?

 何せあのオバサンは

 郷田の死体の第一発見者でもあるんだから」

「どうやら誤解をしているようだな。

 儂らが探しているのは

 このゲームの【犯人】であって

 殺人犯じゃないんだ」

宮崎のその言葉は

遊戯室にふたたび静寂をもたらした。

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