表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第9楽章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/114

第55話 『鈴木太』という人物

「は、は、ははは。

 な、何を言ってるんだい?

 そもそも『鈴木』の姓は

 佐藤に次いで2番目に多い苗字だよ?

 それに『太』という名前だって珍しくはない」

そこまで話した時、

僕は自分の声が

微かに震えていることに気付いて、

一度口を閉じた。


遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


車椅子の堕天使は僕の作ったカクテルを

ゆっくりと飲むとふたたび微笑んだ。

その瞬間、

僕の脳裏にある疑惑が生まれた。

彼女は本当は歩けるのではないか。

この車椅子は演技ではないか?

もし演技なら・・。

僕は彼女に気付かれないよう

チラリと視線を動かして

ビリヤード台の上の拳銃を確認した。

この位置からあそこまで。

カウンターを回り込んで走った場合、

恐らく僕が勝つ。

・・いや。

そこまで考えて僕は思い直した。

招待客はここへ来て初めて

ゲームについて知らされたのだ。

ならば。

車椅子という演技をする必要はどこにもない。

僕はそっと息を吐き出した。


「・・そうですよね。

 そんなわけないですよね。

 こんなことになってとても怖くて・・。

 ごめんなさい。

 変なことを聞いて」

少女が小さく頭を下げた。

「き、気にしなくていいよ。

 こんな状況で

 冷静でいられる人間なんていないよ。

 兎に角。

 その『鈴木太』という人物は

 僕とは同姓同名の別人だと思うよ」

僕は努めて冷静に返した。

それから空のグラスに

新たなジンジャーエールを

注いでゴクゴクと流し込んだ。

やけに喉が渇いていた。

「そうですね。

 それに太さんは私と同い年ですもの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ