第53話 そして2人だけになった 0時
本当にこれでいいのだろうか。
微かな不安が僕の心に影を落としていた。
遊戯室の柱時計が
ボーンボーンと0時を告げた。
西岡は背伸びをすると
「とりあえず。
話は終わったな。
俺は一度部屋に戻るぜ」
と言って部屋を出ていった。
ドアを閉める時に
「そこのおばさんと
拳銃の管理はしっかり頼むぜ」
と念を押すことも忘れなかった。
僕の視線は自然とビリヤード台の上の
禍々しい物を捉えた。
「じゃ、アタシ達も行きましょうか」
菅野はカウンターから立ち上がると
壁際で小さく蹲っている六条に呼びかけた。
「2階に上がるのも面倒だし、
アタシの部屋の隣が空いたから
そこでいいわよね」
そして六条を立たせると、
その背中を乱暴に押した。
六条は「い、痛いです・・」
と顔をしかめつつも素直に従った。
菅野はドアの所で一度立ち止まると
こちらを振り向いた。
そして
「厨房から包丁を1本借りていくわ。
誰とは言わないけど、
アタシを殺しに来るときは覚悟してね」
と宣言して部屋を出ていった。
「最近の若い女は皆あんなに気が強いのか」
宮崎が呆れたように煙を吐き出した。
「どうしますか?」
僕は宮崎と佐藤の表情を窺った。
宮崎が大きな欠伸をして立ち上がった。
「儂も部屋に戻ってシャワーを浴びるとするか。
鈴木くん、
くれぐれも拳銃の管理は頼んだぞ」
そう言い残して部屋から出ていった。
そして2人だけになった。




