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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第7楽章

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第45話 魔女裁判

「・・なんてね、冗談よ」

菅野はおどけた調子でそう言うと

ペロッと舌を出した。

「・・いや。

 俺もその意見に賛成だな。

 『疑わしきは罰せよ』

 【市民】が生き残るには

 ある程度の犠牲はつきものだ」

驚くべきことに西岡が菅野の意見に賛同した。

「へぇ。

 坊やと意見が合うなんて意外ね」

菅野がニヤリと微笑んだ。

死神と娼婦が手を組んだのだ。

僕はなるべく音を立てないように

割れたグラスの破片を拾い集めた。

「・・わ、私は賛成できません!」

その時。

車椅子の堕天使が小声ながらも力強く断言した。

「六条さんが

 平原さんを殺した証拠はありません。

 『疑わしきは罰せず』

 は刑事裁判における大原則です。

 それに・・。

 もし六条さんが平原さんを殺したとしても、

 今の状況は普通ではありません。

 自分も殺されるかもしれないというこの状況で

 六条さんも正常な判断ができなかった

 と考えれば、

 これは『心神喪失』に該当します。

 凶悪な殺人事件を犯した者も

 『心神喪失』が認められれば

 刑事責任を免れます。

 それなら彼女にもその権利があって然るべき

 だと思いませんか?

 もしここで六条さんが罰せられるなら

 それはもう・・中世の魔女裁判と同じです」


遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「なるほど。

 有罪が2票に無罪が1票か。

 後の2人の意見はどうなんだ?」

西岡は佐藤の発言に過度な反応も見せずに

そのまま話を進めた。

「・・儂も。

 お嬢ちゃんに賛成だ。

 たとえそこの女があの婆さんを殺したとしても

 【市民】が確定している人間を殺すのは

 得策とは思えん。

 そして。

 それに関して思うことがある。

 今ここで【市民】と確定している者を

 殺すという思考は

 まさに【犯人】の思考じゃないか?

 何せ自分の手を汚さずに

 【市民】を一人消せるんだからのぅ」

意外だった。

てっきり宮崎は菅野や西岡の意見に

賛同するものと思っていたのだが。

あの怒りは演技だったのか。

「まるでアタシと坊やのどっちかが

 【犯人】とでも言いたげね」

菅野が皮肉を込めて宮崎を見た。

「そう捉えられたとすれば申し訳ない。

 儂はちょっとした一般論を

 述べただけなんだが。

 それよりこれで2対2だ。

 決定権は鈴木くん、君にある。

 どうする?」

「あ、え、えっと・・」

僕が口を開きかけたその時、

六条と目が合った。

薄幸の未亡人は

怯えながら何度も首を横に振っていた。

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