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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第4楽章

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第27話 老豚との会話

応接室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


不意にドアが開いた。

部屋に入ってきた人物を見て、

僕は一瞬ドキッとした。


宮崎だった。


老いてなお浅ましい欲望を覗かせる

この豚は僕の姿をみとめると

「おう、1人か」

と手を挙げた。

「は、はい・・」

僕は動揺を悟られないように

努めて平静を装った。

「部屋には戻ってないのか?」

「は、はい・・。

 大した荷物はないので」

僕は足元の小さなトートバッグを引き寄せた。

それからそっと額の汗を拭った。

「まあ、隣の部屋に死体があるんじゃ

 気味が悪いわな。

 わっはっは」

宮崎は大袈裟に笑った。

それは僕の目にはどこか芝居じみて映った。

宮崎は僕の対面のソファーに

ドスンと腰を下ろした。

「鈴木くんだったな。

 お前さんはどう思う?」

そう言って宮崎はやや前のめりになった。

「・・どう、とは?」

僕はあえて宮崎の質問の意図がわからない

という風を装った。

「・・誰があの男を殺したと思う?」

宮崎の目が僕を真っ直ぐに見つめていた。


その時、ふと思った。


宮崎以外にも

郷田を殺す機会があった人間はいた。

郷田の死体を発見した

六条、平原、菅野の3人だ。

第一発見者を疑うのは捜査の鉄則でもある。

宮崎は3人の誰かが殺した可能性を

考えているのではないか。

しかし。

他の2人の目を盗んで殺すことが可能なのか、

そこに頭を悩ませているのかもしれない。


「・・わかりません」

僕は宮崎から目をそらした。

「心配せんでも

 儂はお前さんが犯人とは思っとらん」

何の前置きもなく宮崎はそう言った。

「わっはっは。

 お前さんはここに一番最後に到着した。

 お前さんが言った通り、

 応接室に来る前に2階に上がって

 あの男を殺すことは可能だ。

 だが、お前さんには

 封筒を盗み見る機会はなかった。

 ゲームを知る前のお前さんが

 あの男を殺す理由はない」

意外と論理的な宮崎の思考に僕は少々驚いた。

老豚もまだまだ脳は衰えていないということか。

「そして当然、

 車椅子の彼女も【犯人】ではあり得ない」

そう言うと老豚はニタァと口を広げた。

「やはり状況から考えて

 儂は死体を発見した3人と

 建物内を散策していた西岡、

 この4人の中に【犯人】がいると睨んでおる」

宮崎はそう付け足すと「わっはっは」と笑った。

まるで豚がブヒブヒと鳴いているようだった。

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