第108話 嫌な予感 鈴木太?の視点 6時30分
応接室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「・・本当に。
もう【犯人】はいないのでしょうか?」
何の前触れもなく車椅子の処女がそう呟いた。
「今更何を言い出すのかと思えば。
【探偵】の数字はA。
【市民】の数字は2から7まで。
そして。
六条の『クラブの8』は偽物で
彼女が引いたカードは『スペードの8』だ。
つまり。
【犯人】は六条。
そう推理したのは君だよ?」
「・・ですが。
ルールには・・。
【犯人】が1人とは書かれていませんでした」
「う・・ん・・?」
彼女の発言の意味がわからず僕は首を捻った。
その時。
応接室の柱時計が
ボーンと6時30分を告げた。
僕は柱時計の方へ目を向けた。
視界が微かに歪んでいた。
軽く頭を振ってから
車椅子の処女へ視線を戻した。
歪んだ視界の中で
彼女の表情がぼやけて見えた。
僕は何度か目を瞬かせた。
「まだわかりませんか?」
処女が天使のような声で囁いた。
「ルールには・・
”すべてのカードの数字は連続している。
同じ役職のカードについても同様である”
そう書かれていました」
処女が今更のようにルールを復唱した。
「それが・・どうしたというんだい?」
「ふふふ」
処女が控えめに笑った。
その笑い声を聞きながら
僕は心臓の鼓動が
早くなっていることに気付いた。
同時に嫌な予感がした。




