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004

そちらへ向かった。


走りはしない。静寂を脅かさぬよう、ゆっくりと歩いた。この世界に、俺が弱っていると悟らせないために。


確かに俺は無防備だった。だが、もはや恐怖や動揺で目が眩むことはない。


岩の根元にある穴に近づく。目を閉じ、暗闇に慣れさせようと意識を集中させた。


中は涼しかったが、爽やかとは言えない。土と、湿った石と、古びた苔の匂いが鼻孔を焼いた。一歩進むごとに、ブーツの下の小石が針のように鋭く足の裏を刺すのを感じる。木々の間の狭い隙間から空は見えていたが、その光はみるみるうちに溶けていく。


鼻をひくつかせた。獣の痕跡は確かにあるだろうが、残された匂いはひどく薄い。森は捕食者の住処かもしれないが、今はどこか無関心な空気を漂わせている。


他の隠れ家を探す時間も、気力もなかった。


そういえば、食料になるものは何も見つけていなかったことを思い出す。


「まあ、初めてじゃない。一日くらい食わなくても死にはしない」


そう思った。胃は固く、しかし慣れ親しんだ結び目のように収縮し、時折肋骨の下で痙攣しては痛んだが、すべては許容範囲内だった。


それよりも遥かに苦痛だったのは、喉の渇きだった。


ねっとりとして、まるで喉に分厚い埃を流し込まれたかのような渇き。粘膜に執拗に張り付く、乾いた薄い膜。飲み込むことも、拭い去ることもできない。


ざらついた乾いた舌でひび割れた唇を舐めると、血と塩の味がした。思考を制御するため、深く息を吸い、そして吐いた。心の中にはもはや恐怖も焦りもない。ただ、単純明快な任務があるだけだ。


――この夜を生き延びるための準備を整える。


力を一滴たりとも無駄にしないよう、一つ一つの動作を抑えながら、ゆっくりと、慎重に立ち上がった。そして周囲を検分し始める。


この隠れ家は、一般的な意味での洞窟とは言えなかった。むしろ、地面に突き刺さった巨大な岩と、その上に覆いかぶさる絡み合った根で固められた土の層との間にある、広い暗闇の裂け目といった方が正しい。


空洞は奥に三メートルほどしかなく、天井が低いため、這うか横になるしかなかった。だが、奇妙なことに、それこそが防御になっていた。入り口が一つなら、出口も一つ。つまり、何かが忍び寄ってくる死角が少ないということだ。


幸運だったとは言えないが、それでも嬉しかった。壁から水が染み出している様子はなく、地面は乾いているように見えた。煤の跡も、骨の破片も、最近まで誰かが住んでいた気配もない。


そこにあるのは、灰色の脆い葉と、乾いた小枝の小さな山、そして亀裂の間を忙しなく動き回る、この見捨てられた場所の小さな番人のような虫の微かな痕跡だけだった。


かつては、小さな草食動物か夜行性の生き物が一時的な巣として使っていたのかもしれない。だが今は、ここは俺の場所だ。俺だけの。


マントを脱ぎ、埃を払って丁寧に地面に広げ、寝床のようなものを作った。汚れてはいるが、それでも体温を保ち、たとえ幻想であっても、我が家のような感覚を与えてくれる。


それから、素早く、しかし念入りに、葉をかき集めて入り口の隙間を埋め、外の様子を窺うための細いスリットだけを残した。小枝は脇に積み上げ、遮蔽物のようなものを作る。カモフラージュにはならないが、風や、ふとした視線から身を守るくらいの役には立つだろう。


作業を終える頃には、隠れ家の外の空は濃い、ビロードのような紫色に染まっていた。太陽の役割を果たしていたあの生々しく、無慈悲な恒星たちはほとんど姿を消し、水面に広がる燻るような残光のように、木々の梢に最後の光を滲ませているだけだった。


空気が変わった。より濃く、より静かに。まるで森そのものが、長い息を吸い込んだまま、夜の到来と、それがもたらすすべてに備えて身構えているかのようだ。


俺は横になった。


すぐには眠れない。まず、冷たい石に背を預けて座り込み、膝を抱え、雷から隠れる子供が無意識にとるような姿勢で固まった。


平静を保とうと、鼻から規則正しく呼吸する。もしかしたら、そうすることで暗闇に潜む何かを遠ざけられるかもしれない。あるいは、ただ呼吸に意識を集中させて、余計なことを考えないようにしていただけかもしれない。


だが、一分、また一分と経つうちに、裂け目の外の世界はより濃密に、より生々しくなっていく。


虫たちが発する、軋むような、ざわめくような、振動するような音が、徐々に大きくなっていく。まるで誰かが合図でもしたかのように、茂みという茂み、洞という洞で、生命が活動を開始したのだ。昼間ほど恐ろしくはなかったが、増していくそのどよめきには、何か異質で、調子の狂ったものがあった。


葉擦れの音はあまりに律動的で、軋みはあまりに均一に響く。そして、その音の一つ――長く、ねっとりとした、ほとんど触れられそうなほどの音は、爪が樹皮を……あるいは、石を引っ掻く音に似ていた。


俺は肩をすくめ、顎を食いしばり、唾を飲み込もうとした。――無駄だった。喉は細かな灰をまぶされたかのように乾ききって、完全に張り付いていた。木の楔のように重くなった舌が、歯に当たってごつりと音を立てる。


「俺には関係ない。俺の知ったことか」


足の指先から冷えてきた。渇きほどの激しさで体に襲いかかってくるわけではないが、冷気はもっと狡猾だった。忍び寄り、関節に沈着し、皮膚の下に這い込んでくる。


再びマントにくるまり、膝を胸に引き寄せ、体を丸めた。狭い空間は暖かく、空気の薄ささえもが守られているような感覚をもたらした。――空白が少なければ、恐怖が入り込む隙も少なくなる。


森の奥深く、どこか遠くで、叫び声が響いた。


長く、甲高い声。それは痛みというより、むしろ何か別のもの――呻きと祈りの境界線上にあるような何か――に満ちていた。呼び声でも、警告でも、唸り声でも、敵意でもない。何か違うものだ。


郷愁? 苦痛? それとも、抉られた傷口のように剥き出しにされた、真摯な孤独だろうか。


俺は目を閉じた。


「……ただの夜だ」


ほとんど音にならない声で、そう吐き出した。


だが、世界は応えない。沈黙している。耳を澄ましている。呼吸をしている。


そして、ゆっくりと、抗いがたく、その真の顔を露わにしていく。


俺は身じろぎもせず横たわっていた。どんな些細な動き――皮膚の微かな震えでさえも――が、この裂け目の中にいる俺の存在を外に知らせてしまうような気がしたからだ。


血管を流れる血の音さえ、あまりに大きく響くように思えた。古い建物の配管を水が流れるように、あらゆる音が壁に反響する。一度息を吸えば、それで終わりだ。一度息を吐けば、外にいる何かが、必ず聞きつける。


最初はただ心臓の鼓動を数えていた。一、二……二十……やがて、数百。その行為には何か機械的で、救いになるものがあった。たとえ途切れ途切れの、絶望的なリズムであっても、心臓が鼓動を続ける限り、俺はまだ存在している。それは暗闇の中の錨だった。


やがて震えが来た。最初はほとんど感じられない、内的な筋肉の痙攣だったが、体が残りの熱を失い、生存モードに移行するにつれて、それはどんどん強くなっていった。気温による寒さではない。過労による冷えだ。生命維持に不要な部分を、体が自らシャットダウンし、力を再配分しているのだ。


ふくらはぎが引きつり、指先や足先に力を回すのを惜しむかのように、血が手足から引いていくのを感じる。乾ききった粘膜のせいで歯茎がひりつき、長く眩しい一日の間にまぶたに染み込んだ埃で目がちくちくと痛んだ。


ある瞬間、俺は意識を失いかけた。眠りではない。意識が何の支えも意志も持たない、忘却の中へ。記憶が、短く、断片的なイメージを表面に投げ出す。


バス。窓ガラスについた雨粒……大きな叫び声……奇妙な男の顔……そして、すぐ側で何かが爆発したかのような轟音……。


それらはすべて、すぐに跡形もなく闇の中へと沈んでいった。


時折、理由もなく勝手に目が開いた。――まだここにいるか?まだ生きているか?――と、体が確認しているかのようだ。だがその度に、外の景色が何も変わっていないことに驚きながら気づかされた。ただ、影が重い帳のように濃くなっているだけだった。


時々、鞭のように鋭い音が静寂を破った。どこかで枝が折れる音。どこかで、風にしては重すぎる何かが、葉の間を滑っていく気配。


俺は凍りついた。息が止まる。冷凍庫の中で瞬時に氷の膜を張る水滴のように、体が固まった。思考も、感情もない。ただ、弓のように張り詰めた体が、待っていた。


だが、何も来なかった。攻撃も、噛みつきもない。その代わりに、濃密で、すべてを飲み込むような虚無が戻ってくるだけだった。


それから、声が聞こえ始めた。


最初は、自分自身の声だった。パニックの残響。怯え、震える内なる声が、まるで他人の声のように響く。「動くな。息をするな。朝が来るまで、ただ待て」。それはマントラのように、何度も何度も繰り返された。


そして、他の声も現れた。


それらは明確な形を持たず、男でも女でもなく、いかなる言語も話さなかった。ただ、壁の向こうで誰かがぐるぐると歩き回っているかのような、囁き声だけが聞こえてくる。言葉と言葉の間が、あまりに長い。まるで話し手が遠すぎるか……あるいは、そもそも生きていないかのようだ。


俺は固まり、下の寝床――湿って柔らかく、死んだ獣の毛皮か、固まった羊毛のようにべとつく苔――にしがみついた。指が震えていた。


時々、短く、熱に浮かされたような眠りに落ちた。ほんの数分間。そしてその度に、それは休息ではなく、落下だった。夢ではなく、感覚。俺は溺れている。水はない。動きもない。ただ、沼に投げ込まれた重い石のように、ゆっくりと、抗いがたく下へ下へと沈んでいく。


そして、目がばっと開く。俺は痙攣するように空気を掴んだ。


「胸の中の蜘蛛」、昔の知人の誰かがそう呼んでいた。理由のないパニック。叫び出したくなるような。


そして、ほとんど聴覚の限界に近い遠くで、新たな音が届いた。今度は単なるクリック音や軋みではない。地面の揺れのように、捉えどころのない振動。音ではなく、感覚。


――誰かが歩いている。


重く。ゆっくりと。地面の下の根さえもが、それに呼応するほどに。


俺はさらに深く身を潜め、呼吸を数え始めた。吸って四秒、吐いて四秒。繰り返す。もう一度。そして、もう一度。


訓練でそう教わった。リズムを保て。理性を保て。たとえ周りの夜が生きていて、恐ろしいものであっても。


やがて、時間の感覚が曖昧になっていった。もう光が戻ってきてもいい頃合いだと思えた。せめて闇の端だけでも切り裂いてくれてもいいはずなのに、隠れ家の外の空は変わらず――無数の星がちりばめられた、暗いままだった。月は見えない。おそらく、反対側にあるのだろう……あるいは、どこか真上に。


どれだけの時間が経ったのか分からなかった。二時間か? 八時間か? 十時間か?


ただ一つの感覚だけがあった。


――この夜は、決して明けることはない。


そして、無気力が訪れた。


心の中のすべてが燃え尽きた。ある瞬間、俺は聞くのをやめた。待つのをやめた。もっと固く体を丸め、目を閉じた。たとえ今、誰かが――あるいは何かが――この裂け目に這い込んできて、中に押し入ってきたとしても、俺は逃げないだろう。叫びもしないだろう。


ただ、受け入れるだけだ。


だが、誰も入ってこなかった。


再び目を開けた時、世界は少しだけ変わっていた。


光が増したわけでも、夜明けの兆しが見えたわけでもない。だが、空気が浄化されたようだった。どこか遠くで、ごく僅かに、途切れ途切れの、自信なさげな草のざわめきが聞こえた。枝がかすかに揺れる。


音が、戻ってきていた。


大きくはない。鋭くもない。だが俺にとって、それは生命の音だった。


その時、悟った。


夜は、やはり去っていくのだ。


体を伸ばそうとした。――苦痛と困難を伴って。まるで、すべての関節が裏切るように抵抗する。指は他人のもののように感覚がない。体に再び電気が通されたかのように、全身がじんじんと唸っていた。首を回すと、ごきりと音が鳴った。顔は火傷のように痛む。汗は乾いていたが、体にはべとつく感触が残っていた。


そして、そのすべての下に、一つの思考があった。

どうやってか、分からない。何のためか、分からない。


だが、俺は夜を生き延びたのだ。


お読みいただきありがとうございます。


もし物語が少しでも気に入っていただけたら、

ブックマークや評価をしていただけると励みになります。


次の章では、主人公が初めて「この世界の夜明け」を目にします。

それが救いになるのか、それとも――。


続きも読んでいただければ嬉しいです。

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