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010

意識はすぐには戻らなかった。それは毒のように一滴ずつ血液に染み渡り、安らぎではなく、痛みをより鮮明にするだけだった。


 最初は寒気だった。

 乾いた山の夜風ではない。粘り気のある、生きた寒気だ。それは肌を這い、服の下に潜り込み、泥や汗と混じり合って、俺の一部になっていく。俺は横たわり、腐敗とアンモニアの臭いを放つ柔らかく湿った何かに頬を押し付けていた。


 次に痛みが来た。

 右肩はもう炎のように熱くはない。重く、低く唸るような鈍痛の塊に変わり、心臓が鼓動するたびに深くまで響く衝撃となっていた。右足首は腫れ上がり、靴を拷問器具に変えていた。少し動くだけで肉が締め付けられる。

 だが、それらは背景ノイズに過ぎない。真の拷問は「渇き」だった。


 喉が張り付いている。舌は腫れ上がり、やすりのようにザラついて、口の中を異物として占領している。飲み込もうとすると、乾いた窒息しそうな痙攣が起き、紙やすりで喉の奥を擦られるような激痛が走った。

 脱水状態で鈍った脳は、思考を形成することを拒否した。残されたのは、「水」という唯一の絶対的な命令に単純化された本能だけだった。


 癒着したまぶたを無理やりこじ開ける。膿と泥で睫毛がくっついている。


 世界は縞模様に切り取られていた。

 錆びついたような黄色い光が頭上の分厚い格子から差し込み、対面の壁に光と影の囚人服を描き出している。その埃っぽい光の柱の中で、無数の胞子や小さな虫が踊っていた。


 これは夢ではない。

 その認識は閃きではなく、重い石のように意識の底へと沈んでいった。穴。泥。檻。


 頭上には世界があった。俺にはそれが聞こえる。

 ハンマーが金属を叩く、リズミカルで重い音――カーン……カーン……カーン……。鋭く、吠えるような叫び声。意味は分からないが、聞き覚えのある響きだ。「Mov!(動け)」「Ad-Ra!(赤)」「Zan!(切れ)」。下卑た酔っ払いの笑い声。木のきしむ音。

 その世界は活動的で、残酷で、生きていた。


 そして俺はその下にいる。汚物溜まりの中に。


 起き上がろうとした。

 かつての人生なら一秒で済んだ動作が、ここでは苦痛を伴う多段階のプロセスへと変わっていた。まず左肘に体重を預ける。空腹で弱りきった腹筋が痙攣するまで力を込める。体は鋳鉄ちゅうてつのように重い。泥の中に俺を押し付けようとする見えざるプレス機に逆らい、一センチずつ体を持ち上げる。それが勝利だった。ようやく左手で体を支えた瞬間、右肩に痛みが爆発し、押し殺した呻き声が漏れた。


 俺は動きを止め、荒い息をついた。穴の中の空気はスープのように濃厚だ。

 強烈な臭いが鼻を突く。腐った藁、人間の排泄物、洗っていない体の酸っぱい臭い、化膿した傷の悪臭。そしてその底に潜む、昨夜を生き延びられなかった者の甘ったるい死臭。


 肩の痙攣が引くのを待ち、俺は動作を完了させた。

 ぬるぬるしたカビだらけの丸太壁に背中を預け、座り込む。


 そして、観察した。


 この穴は独自の法則で動く小宇宙ミクロコスモスだった。絶望の生態系だ。二十ほどの生き物が、この悪臭漂う地獄を俺と共有している。


 最も乾いた隅、石を積み上げた場所には彼が鎮座していた。紫色の肌を持つ巨人。ボスだ。彼は彫像のように動かず、一点を見つめている。彼の権威は絶対であり、確認する必要すらない。誰も彼の「玉座」に近づこうとはしなかった。


 その周りには、敬意を払った距離を置いて「取り巻き」がいた。灰色の毛並みの獣人が二人と、魚のように青白い鱗肌を持つ亜人が一人。彼らは言葉を交わさない。時折、動物の合図のような短く喉を鳴らす音を交換するだけだ。


 残りは「オメガ」――最下層の負け犬たちだ。

 遠くの隅でうずくまる、ガリガリに痩せた生き物。俺は心の中でこいつを「カニ」と名付けた。彼は常に何かを噛んでいる。自分の服の切れ端か、床の泥か。その目は油断なく動き回り、全員を値踏みしている。弱みを見せた者にいつでも食らいつく準備ができている腐肉あさり(スカベンジャー)だ。


 俺の近くでは、壁にへばりつくようにして女が泣いていた。乱れた髪で顔は見えないが、体全体が音のない嗚咽おえつで震えている。彼女は声を一切出さない。涙が招かざる客の注意を引くことを恐れているかのように。


 そして「書記官」もいた。長い白髭の老人が、骨の破片で壁にひたすら何かを刻み続けている。文字ではない。複雑に絡み合った幾何学模様だ。彼はその謎めいた記号の壁を作り、現実から完全に遮断されていた。狂気か? 祈りか? それとも混沌を整理しようとする最後の試みか?


 俺は彼らを見つめた。俺の脳は、唯一機能している道具として、得意なことを始めた――分類だ。学術的な興味ではない。彼らの一員にならないための手段だ。観察し、分析できる限り、俺は「俺」でいられる。

 だが……「俺」とは誰だ?

 名前は遠く、もはや他人のもののように思える。前世の記憶は色あせた写真のようで、この汚れた悪臭の現実に何の関係もない。


 俺は『Vras(奴隷)』。

 俺は『Ni-Tul(軟弱者)』。


 誘拐者たちに投げつけられた言葉だけが、今や俺の唯一の自己定義となっていた。


 時間が流れる。壁を這う光の帯がそれを告げていた。太陽――あるいはここにある二つの恒星――が空を移動する。光の色合いは朝の黄色から、昼の白、そして夕暮れの血のようなオレンジへと変わっていった。


 一日は呆然としたまま過ぎた。誰も俺に話しかけない。誰も俺の方を見ようとしない。俺はまだシステムに組み込まれていない、調整前の新しい部品に過ぎなかった。


 その時、地面が揺れた。


 足音や衝撃による揺れではない。泥と丸太を抜け、俺の背骨に直接響いてくるような、深く低い周波数の振動だった。


『ウゥゥゥゥゥンンンンンンン……』


 音は海の方角から来た。あまりに低く、耳で聞くというより体全体で感じる音だ。まるで惑星そのものの呻き声のようだった。


 穴の中が凍りついた。

 動きが止まる。女の嗚咽が息を呑む音と共に途切れた。「カニ」は口を開けたまま固まった。「書記官」でさえ壁から離れ、骨を持った手が空中で静止した。

 全員の視線が、まるで地面や壁を透視できるかのように、一斉に頭上の格子の方へ向けられた。


 巨人がゆっくりと立ち上がった。いつも虚ろだった彼の目に、初めて表情が浮かんだ。原初的な、遺伝子レベルの恐怖。夜の森で枝が折れる音を聞いた鹿のような怯えだ。


『ウゥゥゥゥゥンンンンンンンンンンンンン……』


 咆哮が繰り返された。より近く。より強く。

 穴の中の空気が凝縮し、弦のように震えている気がした。頭上のどこかで、陶器が割れる音がした。キャンプの酔っ払った叫び声さえも、一瞬にして消え失せた。


 俺は理解した。昨日の咆哮は偶然ではなかったのだ。

 あの生物は……自分の縄張りを巡回している。そしてこのキャンプ、死んだ巨人の骨で作られたこの砦は、奴の海の岸辺に作られた砂の城に過ぎない。深淵と海賊たちを隔てる、薄っぺらな殻だ。


 突然、この穴の恐怖が……些細なものに思えてきた。俺を苦しめる者たち、あの残酷で強靭な連中でさえ、結局は獲物なのだ。彼らは暗い水の中に潜む何かに、常に怯えて生きている。

 彼らの残酷さは強さの証ではない。それは恐怖の証だった。


 咆哮が消え、耳鳴りのような静寂が残った。振動は地面へと消えた。だが、穴の中の緊張は解けない。誰も動かない。全員が耳を澄まし、待っている。


 そして、その全体を包み込む凍りついた沈黙の中で、俺はこの長い時間の中で初めて、ここの生き物たちと「繋がり」のようなものを感じた。

 奴隷としての地位による連帯ではない。この世界に対する、圧倒的な恐怖による連帯だ。


 この檻の中で、俺たちは等しく無力だった。深海に潜むものに対しても、地上を支配するものに対しても。

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