顛末それから
その捕まえた霊をどしたかって?
須賀原さんがそのまま自身に取り憑かせ、最終的には飼い慣らしました。
動物霊は祓えないんですよ。
説得を受ける知能も無ければ、神仏を畏れ敬う概念も持ってないですからね。
本能か感情に訴えて立ち去って貰うか、圧倒的な精神力で屈服させるしかありません。
動物霊と言っても様々で、狐や犬のような霊力が強い者は人間じゃ太刀打ち出来ないんです。彼らを鎮めるには、もう祭るしかありません。
ただ、その時に我々に憑いていたのは特殊な霊で、師匠が対抗出来る類いだったのが幸いでした。
元々は海難で亡くなった人間の霊だったようです。
しかし、様々な下等な動物霊に喰われ、その霊も別の霊に喰われたり、取り込まれたり、分裂、結合したりと、もうほとんど原型は無くなっていたと聞きました。
そんな出自だから、人間に取り憑き、水を求める性質があったんだろうと。
不思議ですよね。
海という場所は生命の根元なので、エネルギーが強く、変化が起きやすいのです。
それ故に、海の近くで、あんなシゴキをするもんじゃないと、随分叱られましたよ。
ああいうのは、やる方もやられる方も負の感情で満ちているので、悪いものを呼び寄せやすいそうです。
その後もしばらくは大変でした。やはり、それらは分裂し、色々な人に憑いていたので、関係者を集めて師匠と、当時の弟子達が色々やってくれました。
それでも、あの霊障を聞かなくなるまでには、一年ぐらいかかりましたよ。
サッカー部は一応は存続しましたが、半数以上は退部し、残った方もゆるい部活に変わったようです。
私は退部し、神社に入り浸るようになりましたね。
いえ、霊障はさほど残りませんでした。師匠・・・須賀原さんが道場もしているのを聞いて、そっちに通ったんです。
そこで合気道やら"何やら"色々学びました。サッカーより、それが面白くなっちゃいましてね。
そこから今に至ります。
・・・と、まぁ、だいたい話は以上になります。
いかがでしょう?
いえ、そういうことではなく、別にご依頼があるんじゃないですか?
取材というのは口実。もしくはリサーチですよね?
なんで分かるかって?
だって、あなたにも色々憑いてますから。
完
お読みいただきありがとうございます。
短編のつもりが、気が付いたら随分長くなってしまいました。。。