9.それでも僕は
なぜ?呪詛返しは中途半端な結果なのだろうか?
僕のギフトである結界師のスキルについて考えてみる。
まず、一回の使用でMPを5消費する。
現状付与できる項目は10種類。
攻撃UP、防御UP、魔法攻撃UP、魔法防御UP、素早さUP
HP回復、状態異常回復、呪詛返し、浄化、王の領域
この内(王の領域)以外は末尾にLV1と記載されている事から、単純にLVが足りていないから呪詛返しも中途半端なのか?
付与に対するレベルも、上がるかどうかわからない。
普通、スキルはスキルを使えば上がっていくのだが、果たしてどうだろうか。
王の領域についても効果は不明だ。よく分からない付与を使うには少し勇気がいる。
父に付与したスキルも消える事なく付与され続けているが、なぜだろう?しかも、父には見えていないらしい。
分からない事だらけだ。なぜ?どうして?
疑問の問い掛けが止まらない…。
ガシッ
ふと頭に物理的な衝撃が走る。
「よーし!まずは飯だ!飯!父はお腹が空いたぞ!」
いつのまにか、父が近付いていて、頭を鷲掴みにし、ワシワシと撫でてくる。僕は難しい顔をしていたのであろう。
「メアリー!!飯にするぞー!」
さらに声の音量が上がる。
「わかりましたー!今、準備中なので、少々お待ちください!!」
下の方からメアリーの元気な声が響いてきた。
バタバタと屋敷中から忙しい音が聞こえてくる。
僕はそのやりとりに自然と笑みが込み上げる。
分からない事だらけで不安だけども…
それでも僕は…
父の元気な姿を見れたこの幸せなひとときを…
今は心の奥底から噛み締めていたいと思った。