28.冒険者の注意事項
「さて、ジャック、ここからは我が国の冒険者として
注意事項の説明だ。しっかり覚えていくように。」
「はい!ゴレーヌさん!」
依然として父上はそっぽを向いているので、勝手に話を進める。
1.全て自己責任。
生きるも死ぬも自由だが、ちゃんと決まりを守れば死ぬことはない。
2.自分のランク以上の依頼は受けられない。
逆に自分のランク以下の依頼は一つまでなら落として受けることはできる。
3.パーティを組む場合は全員同じランクでなければならない。
後々トラブルになる可能性が高いから。
4.依頼を受けた後に、他の者や高ランクの者に代行させてはならない。
手を抜いてランクだけを上げようとする奴が必ずいるから。
5.不慮の事故で依頼がダメになった場合、当事者から調書を取りこちらが判断する。
もめごとは、強制的にギルドが介入する。これも余計なトラブルを減らすため。
6.命の危機が迫っている状況と判断された場合は手助け可能とする。
命は大事だから。ただし、必ず報告はすること。
7.責任者の判断は絶対。
冒険者ギルドで言えばゴレーヌさんの事だ。
「他にも細かいことはあるが、大体の決まり事はこんなもんだ。何か質問は?」
「ん~、不慮の事故で調書を取る際に、当事者が嘘をついたり、
間違った事を話す可能性があると思うのですが、これはどう判断するのですか?」
「それはもちろん、俺が嘘を見破るスキルを持っているし、
我が国のダンジョン限定ではあるがダンジョン内の過去を
見ることが出来るスキルを持っている奴もいる。」
「すごい!だから判断を誤ることがないんですね!」
「その通りだ。だから、良し悪しはともかく、嘘をつかない。
これが我が国では大事だ。嘘をついた時点で冒険者のプレートには
嘘つきの烙印が押される仕組みになっている。
最悪は出入り禁止だ。気をつけろ。」
「はい!わかりました!」
「ちなみに、言い間違いや、誤解は嘘つきとは違うから安心しな。
我が国はそういった間違いを正す教育もしっかり行う。
早く一人前の冒険者になれば、本人の為にもなるし、
その分国も栄えるし、魔物からの脅威に怯えなくてすむ。
いいことづくしだからな。」
「はい!わかりました!
頑張って早く一人前の冒険者になります!」
「よく言った!さすがロックの息子だ!
素直でいい子に育っているじゃないか!!」
「そうだろー!!なんたって自慢の息子だからな!!!!」
大いに胸を張る父上。いや、あなたはいつから復活してたん?
「ちなみに、手を出してはいけないが、口を出すのは大丈夫だ。
ロックはこんなんでも、世界に名の知れた冒険者だ。
アドバイスはしっかり受け取れ。」
「はい!わかりました!重々承知しております!」
「こんなんは余計だわ!そしてジャックよ!
何か誤解してない!?俺って結構凄いんだからね!?」
「もちろん!重々承知しております!」
「ハハハ!こりゃー、いいや!ジャックの成長が楽しみだな!」
しばらくの間、壊れた人形のように
「重々承知しております」を繰り返すジャックと、
なぜか焦った弁明を繰り返すロックと、
ゴレーヌさんの笑い声が冒険者ギルドで響き渡るのであった。




