26.我が国の国民事情
話を聞いていて、驚いた事もある。
実は、我が国の国民は全て冒険者か、元冒険者だ。
これは、我が国に移住をする際の絶対条件だそうだ。
ソロで準中級(対外的にはB+級相当)ランク程度。
パーティで中級(対外的にはB級相当)ランク程度の実力が必要だ。
農業、林業、畜産業に従事している国民は元冒険者で、
それ以外は現役バリバリの冒険者である。
なぜそうなったかといえば、この国の特徴にある。
この国は狩場が3カ所。
ダンジョンは確認できるだけで10カ所存在している。
この数は、はっきり言って異常だ。
ダンジョンは、多い国でも1~2カ所しかない。
もちろん、ダンジョンの無い国もある。
その中で、今もダンジョンが増え続けているのが、
異常性に拍車をかけている。
これは、教祖ドング・ドードルの怪しい
魔法実験による後遺症的なものだが、ここでは割愛された。
ダンジョンが多いが故に、魔物も多く発生する。
過去に、スタンビートが起きたこともある。
国民は自衛したほうが、即日対応が出来る上、
被害も最小限で収まるのだ。
なんせ、人口約5万人の即戦力集団だ。
大人は生粋の冒険者。子供も生まれた時から
冒険者の英才教育を受ける。
なんだこの国は。
我が国ながら恐ろしさを感じてしまう。
味方なら頼もしい限りだが、
絶対敵には回したくない国だ。
心底そう思う。
…
そろそろ、冒険者ギルドに到着する。
父上はこの上なく上機嫌だ。
僕は最後に一番の疑問をぶつけてみた。
「父上。失礼は承知で質問しますが、
冒険者ギルドやその他の管理は誰が行っているのですか?
少なくとも父上にはそんな技量はないと思うのですが…。」
「それはもちろん、メイド長のメアリーとその他5人のメイド達だ!」
「えーーーー!そうだったんですか!?」
僕は、今日一番の驚きで演説の辱めは
一瞬にして吹き飛んでしまったのであった。




