10.賑やかな朝食
僕は父に付き添いながら、屋敷の1階にある食堂へ向かう。歩ける事を知らないメイド達へサプライズだ。
そういうサプライズは父も大好きである。
恐らく何も知らないメイド達は料理を運ぶ準備をしている事であろう。ぐへへ、腰を抜かすがいい。
父と目が合う。ニヤリと笑った。
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寝室のある3階から2階は順調に歩みを進める。
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2階から1階へ。
あれ?だんだん静かになってきたような。
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1階から廊下を歩き食堂へ進む。
誰とも合わない。おかしいなぁ。1人ぐらいすれ違ってもいいはずなのに。
…
食堂へ到着。何やら話し声が聞こえるので、そーっとドアを開ける。
「ここは譲るべきではありませんか?」
「いえいえ、メアリー様こそ、可愛い後輩の為に譲ってください!」
「独占はずるいです!」
「皆で一つずつ運べばいいじゃん?」
「では、私はこのベーコンエッグを」
「あっ!?ずるいです!それは、旦那様が1番好きな料理ですよね!?」
何やら話を聞いてると、誰が配膳するかで揉めているようだ。ドアは全開で開いているが、誰一人気付いていない。
「うぉほん。ご飯の準備は出来たのかな?」
見かねた父が声をかけるが、口論は止まらない。
「えーと、聞こえているかな?!」
さらに声の大きさを上げる父。
「「「「「旦那様は黙ってください!」」」」」
父の肩がビクリと上がる。
「えーーー。そんなぁ。」
何とも情けない言葉が聞こえてきた。
「父上。とりあえず、座って待ちましょう。」
僕と父は口論が落ち着くまで、ダイニングの椅子に腰掛けるのであった。
…
「「「「「申し訳ございませんでした!」」」」
メイド達の一糸乱れぬ謝罪の言葉に少し感心した。
「もう、許したから、ご飯食べよ?」
サプライズが見事に失敗して涙目になっていた父だが、いざ食事が始まれば、久しぶりに賑やかな朝食になった。
「旦那様、こちらもお召し上がり下さい。」
「メアリー様ばかりずるいです!私もアーンしてあげたいのに!」
「旦那様の隣の席を早く譲って!」
「これ、頂いちゃお!」
「あー!!それは旦那様の為に作ったやつ!」
「旦那様。お飲み物をどうぞ。」
「メアリー様!?話聞いてます!?」
ワイワイ ガヤガヤ
…
実に賑やかである。
旦那様はメイド達にとても愛されているのです。




