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1話

「アイラ、君とは婚約破棄させてもらうよ。なぜなら僕はローレンと婚約することにしたんだ」


 静かなお城の、西側の石段で。


 私はビクトルに思いっきり婚約破棄された。


 ああ、ローレンっていうのは私の妹ね。


 小さいころからずーっと、私よりも容姿に優れ、あらゆることが私よりも上だった。


 だからこうなる気がしていたし、そこまでショックではなかったんだけど。


 次の一言が予想できてなかったのよね。


「ほんと、ローレンが僕を好きになってくれて助かった。悪いけど、その刺繍のカエルみたいに醜い君と婚約はしたくなかったからね~」


「刺繍って……これのこと?」


 私は胸元のカエルのバッジを指した。


「ああ、それのことだよ。いっつもつけてるじゃないか。意味もなくね」


「…そうね。意味はあるんだけど、あなたには教えるつもりもない」


 ビクトルは私が人生で出会った中で一番見栄っ張りな人だ。


 だから色々な都合で政略結婚するってなった時も嫌がっていたはず。とにかく、誰かに利用されるのも、容姿に優れていない女性と婚約するのもごめんだね! そんな感じを醸し出している。


 そんなビクトルでも、ローレンとなら喜んで結婚するって言うから、ローレンはすごいよね。


 正直姉妹だと感覚がおかしくなって、ローレンがどのくらい美しいのかはわからない。


 私より美しいってことはわかっても、見栄っ張りでやたら自信満々のビクトルが自信満々に婚約するほどだなんて。


 結局、うちの家系と結婚すれば政略的にもそこまで支障はないから、結局ビクトルは利用されてるっちゃされてるのかもしれないけど、ビクトル的には自分が素晴らしいからこそ、ローレンが俺に恋に落ちたぜって思ってるから全然気にしてなさそう。


 そして二人の婚約はものすごく話題となった。

 まあ、それはいいんだけど、私がフラれた時のセリフまで広まってるのは本当に心外だ。


「その刺繍のカエルみたいに醜い君と婚約はしたくなかったからね」


 面白がって笑う人がたくさん。あらあら。うちのお城って性格悪い人多いのね。

お読みいただきありがとうございます。

短め完結予定のお話です。ぜひ最後まで読んでくださったらうれしいです。

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