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ハンバーグ
その日のガーゴイルは大きなミスを犯してしまい、賞金稼ぎパーティにアジトを木端微塵にされた挙句這う這うの体で魔界に帰還した。直属の上司に中に入るなと言われたわけではないが、何となく建物に戻れず庭の隅で膝を抱えていた。そんなガーゴイルの前に置かれたのはハンバーグ。それもチーズと目玉焼きがのっている豪華仕様だ。
付け合わせはコーンのみだが、食べてから人参などの野菜は全て刻まれてソースやハンバーグの中に練りこまれている事を後で知った。鼻を啜りながら皿を持ち上げると、上司の秘書にとんとんと指で突かれた。
「夕飯は逃げないから甲冑を外してから食べましょうね」
ナイフをいれると肉汁と湯気がじゅわりと溢れ出し、歪んだ視界はその所為だと思う事にした。
翌日上司から任務失敗のペナルティとして踵落としを喰らって肉体的にかなりのダメージを受けたが、精神的には然程負荷は掛からなかった。
「何故俺様には作らなかった……」
「アンタはステーキ五枚も食べてたでしょうが」
即席のメニューだったらしい。