表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

夢/魔王と星の子

 ルートヴィッヒは夢を見た。自分は子供の狼になってしまって、城に帰れずに困っていた。星のでない夜の空は雨を落とすので、ルートヴィッヒは慌てて複数の岩が連なる影に隠れた。


「――あ、こんなところにいらしたのですね」


 ところがルートヴィッヒの隠れた岩からシュテルンの声がした。ルートヴィッヒは狼なので言葉は喋れない。けれど彼女はルートヴィッヒだと気付いてくれた。


「ああよかった! でも、困りました。今の私は岩なので、貴方をお城に連れ帰る事が出来ません」


 なんて事だろう! シュテルンは岩だったのだ。しょうがないのでルートヴィッヒは岩に寄り添って聞いた。


「いつの間に岩になったんだ?」

「さっきまで木でしたよ」

「何故、木になった?」

「その前は川でした」

「どこから来たんだ?」

「山の上です。川の前は私は山だったから」

「山で何ををしていた?」

「山の前では星になって空にいました」

「あの雨雲の向こうにいたのか」

「はい、でも今は見えませんね。夕暮れの時には見えていました。ちょうどいいなって」

「何のために?」

「ルーイ様を探すのにです」

「俺を探して山や川、岩になったのか?」

「そうです。見つけられたので結果オーライですね」


 シュテルンは嬉しそうな声でルートヴィッヒを腕に抱えた。


「星の子、岩をやめたのか?」

「今のルーイ様を持ち上げるにはこの姿が一番良いと思って」

「そうか。では俺も星の子に合わせよう」

「あら? ルーイ様、狼はやめたのですか?」

「お前に持ち上げられるならこの姿が一番良いと思った」


 ルートヴィッヒも狼をやめる事が出来た。強くなろうと思ってなったが、もうやめた。ルートヴィッヒは爪の無い手で彼女の服を掴み、牙の無い顔を胸に埋めた。シュテルンがそっと立ち上がる。


「さあ、お城へ帰りましょう。魔王様」

「そうだな」


 帰り道、ルートヴィッヒはいつの間にか出てきた月明かりに照らされたシュテルンをずっと見つめていた。目が覚めるまで、じっと見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ