まさかの悪役令嬢
これキーワードに悪役令嬢とか入れといた方がいいですかね?
そして一週間が経った。
「その程度でわたくしに楯突こうなど烏滸がましいですわ!」
俺は授業参観をしている。「まだ表情に僅かな罪悪感と恥ずかしさが残っています。もっと思い切ってください。」今はお姉様(呼び方は決定している)が専属メイドのアレイダ先生「今度は表情が硬いです。もっと自然に当たり前のように相手を蔑んだ表情を。」から授業を受けている。何故メイドが授業を?と思うだろう。「いい顔です。」理由は簡単で教えられる人が極端に少ないからである。なんの教科かというと悪役令嬢である。
「扇子が完全に口を隠しています。あたかも隠しきれなかったかのように相手に少しだけ見えるようにして嗤ってください。」
ヤバいです。どうやらこのお花家(名前が花由来なのがほとんどなのでそう呼んでる)は可愛い名前のくせして代々悪役令嬢・令息を育てているとか。
今回は丁度いい年に子供がいなかったので従兄妹のお姉様がやるらしい。目的は周りの生徒の成長を促すことらしい。また、王族に苦手意識を植えつけて将来暴走しないようにする為のストッパーになる為でもあるため他の貴族も子供にそのことを教えず、見守る所存らしい。この国が平和だからできることだとか。
因みに取り巻きA、B、Cの家系もあるらしい。すごい徹底ぶりである。
そのせいか精神的に大人になるのが早く、擦れている人が多いらしい。そして友達が少ない。悲しき一族である。
俺は同級生と比べると小さすぎて威圧感がなさ過ぎるだろうからしなくていいだろうけど、やらなくていいってなったらそれはそれでなんか寂しい。怖いもの見たさ?とは少し違うか。皆と同じことに憧れているのかな。
来月から学校が始まるらしくアレイダも指導に精をだしている。
学校は日本でいう高校と一緒のタイミングで始まるらしく、それまでは基本家庭教師に教えてもらうらしい。金のある貴族ならではの習慣だ。
俺は屋敷が従兄妹の所と隣接している為こうやって授業を見に来られる。一週間色んな所を見せられてここで俺が目を輝かせていたのを見て(他の場所に移動しようとするときに泣いて泣いてごねまくった。)毎日ここに連れてきてもらえるようになったのだ。代わりに成人としての威厳を失った気がするが。他の人は知らないのであまり問題ない。はず。
まぁなぜそこまでしてこの授業をみているかというとまず本当にメランが嬉しそうなのだ。なんともう自我があるっぽい。精神が幼いだけで俺の記憶も持っているから成長がはやいっぽい。嬉しいのはいいけど変な方向に進むなよ?
次の理由としてなんとすごく為になるのだこの授業が。この一週間だけでも色んな授業を見た。
悪役令嬢になりたいわけじゃないが応用が効きそうな技術も多いので聞いていると楽しいのだ。例えば何処までが犯罪で何処までが悪戯か、相手を怪我させずに痛めつける方法、話術、護身術…etc.なんか両声類の練習みたいなのもしてた。そしてなんとこの部屋には魔法の本があるのだ。
「うっ」
そう言えばペラっとページを捲ってくれる。(この一週間それを伝える為めっちゃ頑張ってた。)
俺も人を使わせる貴族になってきたのかもしれない、って思えたら良かったが、隣で微笑えましいものを見るような目をしたメイドが居るためそれは難しい。
そういえば彼女は俺の専属らしい。トレニアって言ってた。おそらく名前で決まったのだろう。(メランポジウムとのセットが綺麗なので)
「あ〜う〜」
こう言えばちゃんとお腹が空いたのだと母上の所に連れて行ってくれる。動物に芸を仕込んでいるみたいだ。どっちが仕込まれているように見えるかは考えないでおこう。《若返り》っと。
『ユニークスキル《若返り》により累計1分若返りました』
悪役令嬢がもとから正当化されているってなんか嬉しいです。
最後忘れてた。即修正です。




