表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/77

4 久しぶりの前衛

 宿を引き払い、食事を済ませた俺達はちょうどいい乗合馬車に乗ることが出来た。これで今日中に隣の村まで行ける筈だ。


 森を切り開いた街道を馬車は進む。ガタガタと振動を体に感じながら、外を眺める。相変わらず天気はいい。季節は春、新緑が美しい。


「パーティーはクビにされちゃいましたけど、なんか気が楽になって良かった気がします」


 隣に座るスティナが言った。俺も同意見だ。


「そうだな。あの勇者パーティー居心地イマイチだったし。でも俺がクビにされるのは分かるけど、なんでスティナを外したんだろうな?」


 勇者が外見重視でパーティーメンバーを選んでいたのは分かるので、俺が排除されるのは順当だ。しかし、スティナは……

 視線を横にしてスティナの顔を見る。大きな青い瞳に、形の良い鼻、薄い唇、どう見ても美人だ。肩にかかるぐらいの長さの髪型も似合っている。


「あーあの、うん。私が全く勇者になびく様子がないからでしょうね。他の子は何というか、でしたから」


 歯切れの悪いスティナ。


「うへぇ。いや女騎士とかはそんな感じだと気付いていたけど、他もか?」


「ええ。たぶんあの勇者、私以外の5人は全員……この話は止めましょうか」


 酷いパーティーだな。クビになって良かった。なんか居心地悪かったのはその所為か。




 と、そのとき急に馬車が大きく揺れた。足に力を入れて体を背もたれに押し付けるように固定し、スティナの肩を掴む。


 馬車が止まった。


「も、モンスターです!!」


 御者の叫び声。乗合馬車に護衛などはいない。この街道は比較的安全なのだ。とはいえ運が悪ければこういうことも起き得る。


 馬車の車内を見回す。戦えそうなのは俺とスティナだけか。


「降りるぞ」


「ええ」


 スティナと二人、馬車を降り、馬の前へ。

 その20メートル程先に赤い体の蜥蜴系モンスターが3体見えた。


「うそっ!レッドリザードマン!!」


 スティナの叫び声。確かにレッドリザードマンは普通は街道で出会うようなモンスターではない。


 巨大な曲剣を手にしたそのモンスターは近接戦に優れ、高い膂力を持つ。


 ま、3体なら楽勝だが。


 前衛に戻った俺を倒したければゼロが一つか二つ足りない。


「どうします?牽制して馬車が逃げる時間を稼ぐか、いっそ正面からぶつかるか」


 スティナの深刻な声。ん?何でそんなに怖がっているんだろう。


 ああ、そうか。スティナは前衛としての俺を全く知らない。そりゃ慎重になる。


 俺だって自分が後衛の状態で、普段魔法使ってるスティナが「私前衛できます」って槍構えてたら警戒する。


「えと、大丈夫だよ。一人で倒せるからスティナは馬車守ってて」


「へ?レッドリザードマンですよ!?」


 と、敵は話が終わるまで待ってはくれない。レッドリザードマン3体が剣を振り上げ突っ込んでくる。


 さて、久々の前衛だ。


 俺は剣を抜き、構えつつ呪文の心裡詠唱を始める。

 まずは自分の全身に筋力強化。


 リザードマン達は横一列に突っ込んで来る。距離が迫り、敵が同時に斬りかかるべく最後の踏み込みをする直前


 俺は両側のリザードマンの右足に筋力増強のバフ、左足に筋力減退のデバフの魔法を発動した。2体のリザードマンは右足の筋力増強で強く地面を蹴り過ぎ、弱体化した左足で踏みとどまれずに、思い切り転ぶ。


 倒れる2体を横目に見つつ、正面のリザードマンが降り下ろす曲剣を長剣で弾き、返す刀で首を刎ねる。

 そのままの勢いで左で倒れているリザードマンに剣を突き立て背骨を断つ。

 右のリザードマンは身を転がして距離を取り、立ち上がろうとするが、身を起こした瞬間を狙い中級魔法『石槍』を叩き込む。物理属性攻撃魔法の『石槍』はリザードマンの胸を綺麗に貫いた。


 5秒かそこらの戦い。三体のレッドリザードマンは全員致命傷を負い倒れている。


 よし。腕はそんなに落ちてない。


「え?へ?ほ?」


 後ろでスティナが混乱していた。

 評価や感想いただけたら、凄く嬉しいです。

 ブックマークされたら小躍りします。


 執筆初心者ですが、頑張ってみますので、よろしくお願いします。


 今日中にもう一つぐらい投稿したいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 確かに考えてみればバフとデバフが掛かったら二足歩行なんて無理ですよねー しかし女ばかりのPTだと筋力が足りないって妙にリアルな設定持ってきましたね。 魔力とかレベル云々でその辺はカバー出来…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ