11 三人で狩りに行きます
うひょーっ!楽しぃいいいいい。
サイコー気持ちいいいいい!!
俺はちょこっと暴走していた。モンスターの攻撃を軽々と掻い潜り、斬って、魔法で撃って、また斬って。
青い空、一面の緑の上に小さな花が彩を添える草原、美しい景色の中思い切り暴れる。
例え魔物とは言え命を奪うことを楽しむのは好ましくない。だが、解放感があった。大量の蜘蛛型モンスターが集まっていて、獲物には困らない。大きさも牛ぐらいで斬り応えがある。
「はぁーい、スティナ先輩あーんして下さい。これ自信作なんです」
後ろの方でトレニアが手作りのお菓子をスティナに食べさせようとしている。ピクニック気分だ。
しかし、実はここはダンジョンだ。ダンジョンは一般的に洞窟や遺跡のイメージだが、定義は『大量の瘴気が継続的に発生する場所』である。その瘴気がモンスターを生むので、ダンジョンにはモンスターが溢れる。
美しい草原でも瘴気さえ湧き出るなら、ダンジョンなのだ。
ああ、俺ストレス貯めていたんだなぁ。しみじみ思う。常時全ての敵にデバフを維持して、攻撃魔法も織り交ぜ、とにかくパーティーメンバーに気を配る日々。
サポートそのものは良いが、あのバランス悪いパーティーである。自分が突っ込めば楽勝の敵相手に、神経をすり減らす緻密な支援が必要となる。解放されて初めて気付く、滅茶苦茶ストレスだったのだと。
「ああ、羽が生えた気分だー」
思わず声に出す。
「へー美味しいね、この焼き菓子。ライノさんの方は楽しそうだなぁ」
蜘蛛モンスターは徐々に数が減っていく。
実力の確認と、トレニアの店で在庫が少なくなっている蜘蛛モンスターの体液入手のため、俺達はダンジョンに指定されたこの場所に来ていた。
都市クーシュタが接する巨大な湖、ノキアル湖にある島の一つだ。
「ライノさーん、私も魔法撃ちたい」
スティナの声、そうだ。俺ばっか楽しんでいてはよくない。大きく飛び退き、モンスター達から距離を取る。
すぐに赤い光弾が、モンスターの密集した場所に飛んでいき、着弾と同時に膨大な熱をまき散らす。上級魔法フレアバースト、流石はスティナ、心裡詠唱で1.5秒ぐらいか。高熱に曝された蜘蛛モンスターは次々に燃え上がる。
「ああっ、スティナ先輩焼いたら体液っ」
「あーごめん、トレニアつい。久しぶりで得意なの撃ちたくなっちゃった。許して」
「はい。スティナ先輩の気持ち良さの方が大切です!」
余裕だった。この蜘蛛の群れ、勇者パーティーで戦っていた頃なら苦戦するレベルの敵だ。ほんと、今まで何やってたのだろう。馬鹿だった。俺は馬鹿だった。反省しよう。猛省しよう。今夜は麦酒片手に自己批判だ。
「しかし、あれですね。こんなに狩ると体液回収大変ですね。よし、スティナ先輩!さっきはごめんなさい。もうちょい焼きましょう」
「ほいきた!!」
次々放たれる赤い光弾。うーん、草原を焼くのはどうだろう。雑草だしすぐに生えるか。
ちなみに、トレニアはスティナの口にお菓子を詰めつつも、万が一モンスターの攻撃が直撃したときのために、全員に防御魔法を維持している。スティナの言葉通り、実力者だ。
「おっ!大物出た!やったー」
俺は叫ぶ。崖の下から今までより遥かに大きな蜘蛛型モンスターが現れた。
高さ3メートルぐらい。アラクネモドキというモンスターだ。
女性の上半身的な物は付いていないのでモドキですらない気がするが、遠くから後ろ姿を見て『アラクネだー』と思って近寄ると違って、ガッカリとかそんな理由でついたらしい。
大事な点は一つ、牙がとても高く売れる。
「スティナ、あれ儲かるから火炎なしね」
「分ってますよ。ザコは私が全部押さえます」
「じゃあ、私はスティナ先輩の匂い嗅いでますね」
大事な点だけ確認して、突っ込む。
自分にフルバフ、剣を構えて、風を切る。
アラクネモドキが次々毒液弾を放つが、そんなものは当たらない。左右に躱しつつ、一気に間合いを詰める。
近づくと前足による攻撃が来る。体を反らして躱し、斬り落とす。
アラクネモドキは『ギビィイィ』と、悲鳴を上げつつも、毒液を噴射してくる。
俺は斜め前に体を投げ出して、敵の体の下を抜けて側面に回ると、水平に剣を振るい足を二本斬り落とす。
と、アラクネモドキが残った足を曲げる。飛び上がって向き直るつもりだろう、その瞬間を狙いバフとデバフを同時使用、各足の筋力バランスを滅茶苦茶にする。
アラクネモドキは転ぶ。如何に蜘蛛とて三本足を失った状態で筋力バランスを崩されてはこうなる。
上に飛び乗って滅多斬り。それでアラクネモドキは息絶える。
良い汗かいた。
振り返ると、トレニアが本当にスティナの匂いを嗅いでいる。上級の防御魔法を三人分維持しているとは思えない。
ザコも一匹残らず殲滅済み。
さて、残るは素材の回収……めんどいなぁ。
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執筆初心者ですが、頑張ってみますので、よろしくお願いします。




