12話 始まる物語
文字数(空白・改行含まない):1216字
現在の時刻は23時50分、あと10分で日付が変わろうとしている時刻。
ニルン邸ではとフェミアとノルアがミシェリーの心配をしつつ就寝につき、三四素瀬荘ではルチーナという者の存在を既に消されている少女3人が、川の字になってすやすやと眠りについており、都市の明かりも停電が原因で中心のみ真っ暗になっているままであった。
そんな中研究所でにいる力橋は、目の前にいる異常者相手に呆然としており、それを何も言えることなくただ見ているだけの2人と1匹の姿もあった。
「ふふっ、そろそろいいかな?」
「…………」
ルチーナは独り言のような口調で力橋に聞いてみるが、反応はない。
力橋自身も決して操られているわけではなかったが、ここで何を言おうが結果は変わらない。
「能力に関するデータやら資料は全部消しといたし、やる事はあと1つ」
「…………っ!!」
「君たちの記憶を整理整頓しないと──」
「クッそがあぁぁぁ!!!!」
ルチーナが言い終わるのを待たずして、力橋は右拳を思いっきり目の前にいるルチーナの顔面へと殴り込んだ。
もう何をやっても無駄、そんなことは分かってはいるが、それならば最後に、この記憶があるうちに目の前の怪物の顔面を1発殴っておきたい、そんな単純すぎる思いで振り上げられた拳は、寸前で止められることも無くどんどんとルチーナの顔へと吸い込まれて行った。
が、明らかに顔面へとあてに行ったはずなのにその場を音を残して空を殴るだけの結果となった。
「…………は?」
「そういえばさあ」
確かに殴れていたはずなのに空を殴って状況が理解できない力橋に、ルチーナは言った。
その声の方向は力橋が殴った方からではなく、全く別の方向から聞こえてきた。
「つい最近ようやく使いこなせるようになってきたけど、相手に幻覚見せることもできるようになったんだよねえ」
「……なん………?!」
「ま、言っても意味ない情報提供はここまでにして、そろそろこの世界諸共新しくなってもらいますか!」
最後に1発殴ってやろうと思ったらその前に幻想を見せられるという、軽い練習相手にならされていた、力橋はもう一度殴りかかろうとした、しかしその体は動きたくても、その脳みそは一切動かすことを許さなかった。
そんな力橋とルチーナのやり取りをただただ呆然としている2人の少年と1匹のクロネコも、ルチーナに操られている訳でもないのに体どころか何を考えればいいかすら、思考放棄していた。
「別に今がどうなってるのか知った所で今からその記憶は消される、だから変に考えるより潔く諦めた方がいいよ」
ルチーナがただ独り言を言ってるかのようなその場の静寂、激しい動きをした訳でもないのにバクバクとなる心臓。
そしてその心臓の音が相手に聞こえそうなほど、静まったその研究所の中心に経つ異常者によって、たまたまタイミングが合ったのかそれとも本人が狙ったタイミングなのか。
日付が変わると同時に
ルチーナが作りあげた盤上で、物語が始まりを告げた……
一応これにてひと段落ということで、どのくらいの期間になるかわかりませんが1章1話から改稿していきたいと思いますm(*_ _)m




