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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
6章 変わりゆく真実
71/73

10話 目的

文字数(空白・改行含まない):4207字

 人間とはとても不思議で面白い生き物だ……ある日を境に突然、ルチーナはそう思った。


 どうやら私は何かしらの実験体となって普通の人間が持つことの出来ない力を得たらしい、そしてそれによって私とは別の私が生まれた。

 意味がわからない?説明しろ?……そんな事言われても私にも何が何だか分からないね。


 私が生まれた目的は特にない、ならこの私の体を自由に使って私なりにこの世界を楽しんでやろう。この生物の精神を操れる力があればなんだって出来る。

 今、目の前にいる人間が何を考えているのか、過去の記憶がどんなものか、そして記憶どころかその生物の体だって動かすことができるし、今は出来ないけど頑張れば幻覚だって見させることもできそう、これは一生物の宝だ。


 私の名前は瀬宮(せみや) 瑠那(るな)と言うらしい、どうやら相手の記憶から読み取ることは出来ても、自分の過去の記憶を読み取ることが出来ないらしく、私は突然この世界に生まれた存在だからこれまでの自分の記憶、瑠那の記憶が引き継がれてないと推測していいのだろうか、とりあえずこの研究所らしき場所から出てみるか。


 瀬宮 瑠那は自信の持つ能力を使い研究所を易々と抜け出しやがて外に出た。


(ここは……町?いや、村か)


 その景色は研究所とは真逆の技術によって築かれた村であった。

 字面は土や小石、建物はほとんどが木組みのもので、たまにレンガ造りの建物も見つけられた。


(しかし言語やら体の動かし方も分からない筈なのに簡単にこなせるのはこの体の持ち主の感覚か……?)


 よく分からない瑠那はとりあえずこの村のことについて調べるためそこら辺の人の頭の中を覗いてみる。


(ルア村……この世界の中でも1位2位を争う田舎の村、人口は20人にも満たない田舎か……)


 しかしこの情報が100%合っているというわけではない、今記憶を読んだ人の持ちえている情報が間違っている可能性だってある。


「おや、ここらでは見かけない髪色だね、迷子かい?」


 小さな考え事をしていると、紙袋いっぱいに食材を持っているおばさんに声をかけられた。


(誰だこの人……メルニラ・ルイニヤス、この村に住んでる一般人か)


 迷子じゃないといえば嘘になり兼ねるが、別に本当に迷っている訳では無いので、瑠那は目の前にいるメルニラというおばさんをちょいと弄り、自分を素通りするという記憶に置き換えておいた。


(私のこの金髪は目立つのか……フードでも被りたいけど店なんてあるのだろうか)


 一応の情報からするとこの村はド田舎らしい、フードなんてものが売ってる店なんてあるのだろうか、再び瑠那は能力をつかい調べる。


 こんなことを続けていった瑠那は現在、再び研究所へと戻ってきていた。


「おお瑠那!どこいってたんだよ、探したぞ〜!」


(久城 雄久……転生者?日本人?意味がわからない……)


「ってかなんだよそのフード、どこで手に入れたんだ?」


(説明するのが面倒臭い、さっさと通してもらおう)


 すると久城 雄久は突然、無言になり瑠那に道を譲った。


(このフードについては最初からみにつけていることにしときましょう)


 息をするかのように他人の記憶を改ざんする。

 この研究所にいる大人の頭の中を覗いて分かったが、どうやら私含め他にも3人の日本人という少年が『能力』というこの世界にある魔法とはまた違った力の研究の被検体になっているらしい。

 それのお陰で私は人の精神に関わる能力を得たわけだが、やはり私が生まれた理由の正解が分からない。


 瑠那は自分の部屋に戻り、そして部屋全体を眺めてみた。


(壁全面本棚で埋まってる……この体の持ち主は読書が趣味だった……やることも無いから私も軽く1冊だけ目を通してみようかな)


 そう思ってから一体何日経っただろうか、朝昼晩どんな時でも眠ることなく、睡魔に襲われることも無く黙々とその部屋にある本を読破していった。

 文章を読むスピードが早く感じるのもこの体の持ち主のおかげなのか、睡魔が来ない理由だけが分からないがひたすらに読むことが出来た。

 読んでる途中にドアがノックされ呼び出しされるものの、それがある度にその呼び出しに来た人物の記憶から瑠那という存在を消していき、時折"2人の少年"から声をかけられることもあったし、中には人間と言っていいのか分からない瑠那のクローン実験体が聞きに来ることもあったが、それも同様に記憶から瑠那の存在を消した。

 やがて人が誰も来なくなってから半年が過ぎ、瑠那はその部屋にある本を読破してしまった。

 今思い返してみると半年という長い時間の間目を瞑って睡眠を撮ったのは50時間程度、お腹だって空いてないし、飢えるようなこともなかった。


 瑠那は1度不思議に思ったが、前に研究員の頭を覗いたときに寿命に関する研究もしていたことを思い出し、適当に納得し、それ以上考えることをやめた。

 寿命について考えることをやめた瑠那は、たくさんの本を読んだ事から、自分なりの物語を創造するのにハマりだした。


 久しぶりに部屋からでた瑠那は、適当にぶらついて紙とペンを探しに行った。

 途中何人かとすれ違うことがあったが、皆自分を無視しているのか見えていないのか、なんの反応もなかった。

 大量の紙とペンを部屋に持ち帰った瑠那は、早速自分の世界へとのめり込んだ。

 そして、主人公の名前をルチーナとして様々な物語を創り上げた、冒険物や恋愛ものなど、どんなジャンルでも書き上げることが出来たが、そこで瑠那は思った。


(自分で創るだけじゃ物足りない……)


 そしてひとつの考えにたどり着いた。


 人間という、いつも何を考えてどう行動するのか分からない生物を、何か一つの出来事を起こして混乱させてそれを物語にする。

 考えるだけで胸のワクワクが止まらなかった。


 思い至れば直ぐに行動へと移す、今のこの村の中で大きな出来事を起こしてそれを観察するのも面白いが、折角ならもっと大きなことをしてみたい。

 そう思った瑠那は、今まで読んできた本の中にいくつか種類のあった『技術の発展した都市』を作り上げるべく、研究所にいる人間全員を総動員させた。


 貧乏すぎるド田舎村の地下にどうしてこんな訳の分からない物が沢山詰まっている場所があるのか、全くわからなかったが、その理由を探ることなく今は自分のしたいこと目指して知識のある研究員を働かせた。


 本で読んだ。学んだ。

 どうやらこれは機械といって電気を使ってコンピュータを動かして色んなことをするものらしい。

 時には人間より何百倍ものスピードで物事を考えたり計算したり、とても頼れる面もある反面、何か一つの回路が抜けてたりするとバランスを崩し全てがおかしくなったり、水に弱かったりと脆い面もあったりする、そう学んだ。


 その本で学んだ知識と研究員の記憶、そして研究所にある膨大な資料を元に地上にあるルア村を大改造していく。

 村人全員は瑠那の能力により、パニックになることなく仮住居にて全員過ごしてもらっている。

 20人にも満たない人数であればでかい家を建てることも無い、そこら辺の建物2件を無理やり合体させれば余裕で暮らすことが出来る。


 瑠那の都市化計画はどんどん進んでいく、資材がなければ地下に潜って鉱石を掘る、人がピッケルを使って掘るなんて途方の暮れるやり方ではなく、瑠那と同じ被検体にされて能力を得た少年2人の能力を駆使し、資材はどんどん集まっていった。


 都市化計画とは関係ないが、この元、村にいるいつ現れた分からない1匹のクロネコが、とても不思議で面白い。

 そもそもここら周辺にネコが現れることすら珍しいし、その現れたクロネコがオスでもメスでもない性別のないネコときたら本当に不思議で面白い。

 エサは食べるには食べるけど出すものを出さない、体のどこかが膨れる訳でもないので食べたものがずっと溜まっているという訳でもなさそうで、本当に不思議な生物だった。もしかしてこの世界では当たり前なのだろうか、いつまでも不思議に思いつつ都市化計画は進んでいく。


 やがて今までの村の原型がほとんど無くなるまで建設が終わったその"都市"は、色んなものが電気によって動く機械で埋め尽くされており、村が都市になる数百年の間で人口だって爆発的に増えた。


 完成間近になって瑠那は都市の名前をつけ忘れていることに気がついた。

 と言っても、別に深く考える必要も無いので、村の名前である『ルア』と、この都市中にある『機械』を適当に合わせて『キルカイア都市』とでも名付けることにした。


 キルカイア都市を作っていく中で、瑠那本人も少しずつ成長はしていき、仲のいい人物だってできていった。

 住む場所は都市の中心ではなく、都市化計画の時に建物同士を合体させて村人全員が住んでいた1番大きな家をリフォームした1人で住むには少し大きめの家。

 数日住んでてやはり寂しいとおもった瑠那は仲のいい人物とやらをその豪邸へと招き入れて同居することにした。


 今まで頑張ってきて数百年、自分(ルチーナ)を視点とした物語の1頁目をもう少しで記すことが出来る……!!

 あとはこの都市にいる全員の精神を私から開放すれば物語は始まる……


 実は瑠那は、自分の思わぬタイミングで物語がスタートしてしまわないように、そのスタートの原因ともなる争い事や悪い事を一切起こさせないように、都市にいる人口数十万人の精神状態をコントロールしていたのだ。

 悪いことをしようとしたらその記憶を書き換え他のことをさせ、ストレスが溜まっている人がいればそのストレスの元となるものを無くし、なにか悲しいことがあっても無理やり笑顔にさせたりと、数十万人相手だと適当になることも多かったがそのおかげでここ数十年治安のいい都市を保っていた。


 その治安の良い状態を作り上げている瑠那がそのコントロールをやめれば、すぐにでも犯罪や事故が多発し、テロだって起きて面白いことになる。

 今すぐにでも開放させようとした瑠那は開放する1歩手前で踏みとどまった、そして新たな考えを生み出した。


(この都市だけじゃただの犯罪がおおいだけの物語になっていつかは飽きちゃう……だったら世界全体を物語として王国が都市に攻め込む……そっちの方がおもしろいことになるかも……!!)


 そう思ってからまた数年が経ち、瑠那は能力を発現させる薬を世界各地に旅行ついでに7つだけばらまいた。


 これで予想不可能な物語を作り上げることができる、今度こそ瑠那(ルチーナ)の物語が始まる……



 はずだった。

 力橋 渡という邪魔が入らなければ……



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