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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
6章 変わりゆく真実
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4話 引き分け

文字数(空白・改行含まない):3493字

そこはいかにも研究所みたいなところで、ビルが入り組んでいる路地裏に小さな扉があり、それをあけると地下へと続く少し不気味な階段駕あった。

階段を下り進むと、重そうな金属の扉とその横にパスコード入力式の解錠装置があった。


普通ならばそこで必要となるパスコードを入力して扉がしっかりと解錠され、そこからやっと入れる訳だが……


「じゃありっきー、お願い」


「わかりました」


清水は自分の脳力を使い、かたく固定されている女性の力だけじゃドライバーがあっても回りそうにない六角ボルトを、ただ見ているだけで易々と回していき、何十個ととにかく頑丈にした重い扉を固定したボルトを全て外し、固定するものがが無くなったことによりその扉が落ちるわけでもなく、ただ静かに宙を浮き清水から見て右側の壁へと立てかけた。


「ありがと」


ルチーナは軽く清水に例を言い、扉の向こう側を伺った。


1つ目の扉が厳重で更にもうひとつ扉があるかと思いきや、以外にも出入りする扉は一つだけで、そこから先はもう謎の装置やら試験管やらがたくさんある研究所そのものだった。


「……中に人がいない…?」


「どうゆうことですか……」


小さく呟いたルチーナの言葉に久城は首を傾げた。


「ルチーナさんの能力が妨害されてるとかじゃないんですか?」


「いや、そんな感覚はない」


清水からの質問もサラリと答える。


「このまま突撃します?」


答えを返された清水は「なんだ」と小さく呟いてからそう言った、しかしそれを久城がとめた。


「いや、そんな簡単に入ることが出来ると思うか?」


「…と、言いますと…?」


久城に言われるがあまり理解している様子じゃない清水は、久城に聞き返したつもりだったが、代わりにルチーナが答えた。


「狂ったアイツの事だ、誰もいないから容易に入らせるって企みぐらいするだろ」


「じゃ、じゃぁどうすれば…」


「清水、お前行ってこいよ」


「えっ、僕ですか?!」


「おうお前だ」


ルチーナは清水の背中を軽く叩いて1歩前進させる。


「別に殺傷能力のあるレーザー光線なんて使うわけないし、もし何かに身を拘束されたとしてもお前の力があれば簡単に抜け出せるだろ?」


「殺傷能力って…あれ?このまえノルアさんがなんか殺気があるとか何とか〜って言ってたような……」


「そんな話してたんですか?」


首を傾げて聞く清水に続き、それが気になったのか久城も追求した。

聞かれた本人、ルチーナは数秒のラグがあってから…


「くっそめんどくぇな…!」


切れた口調で言葉を吐き捨てた。

その直後、ルチーナの目の前にいる2人は、先程まで考えていたことをパッとやめ、向いている方向を180度変え、そしてそのまま研究所の中へ入っていった。

ルチーナが記憶を改竄したのだ、この計画の遂行のため、厄介になる記憶を消し去るために。


「なんでここに……?あっ、ルチーナさん誰もいませんよ〜」


「怪しいものもないですね」


今の一瞬の出来事を綺麗さっぱり忘れた2人は、記憶を消されたということも知らずに報告をした。

その報告を聞き、ルチーナは恐れることなく入り込んできた。


「……本当に誰もいないのか…?おい2人とも、ちょっとロッカーとか人が隠れられそうなところ手当り次第漁り出してくれ」


「了解しました!」


「分かった」


「まさか逃げたなんてないだろうな…」


ルチーナは男ふたりがせっせと色んなところを探してる間に、机の上の散らかった資料やらモニターに電源を入れたりなどして、何かしらの手がかりがないか調べることにした。






そしてその様子を隠し監視カメラで確認していたのが炭酸ジュースを飲んでいた力橋 渉と風呂上がりでまだ若干髪が湿っている久城 雄久の2人だった。


「どうしてこんなタイミングであっちが動いてるんですかぁ!」


「んなもん知るかよ」


どうやら久城は、失敗の許されないミッションのある日をドキドキしながらプレッシャーに耐え、万全な状態でその日を迎えたのにも関わらず、丁度その日が相手側も動くタイミングであり、せっかくの万全な状態がほとんど無意味になったことに対し、若干不機嫌になっていた。


「俺たちの姿を探してる2人は置いといて問題はルチーナだな…一体何を探してるのやら…」


隠し監視カメラとは別に、一応マイクも取り付けてあったため、その場の音声も少し音質は汚いもののある程度聞こえていた。

力橋は元々モニター越しにある研究所にルチーナが来ることを見越して研究所を移動させ、更に監視カメラやマイクまで取り付けていたのだ。


「脳力についての資料とか探してるんじゃないんですか?」


「それもあるが…アイツがやりたいのは俺を抹殺することだろ」


「ですけど…あれ、モニターも電源つけましたね」


「安心しろ、あの研究所には今、脳力どころか何ひとつとして重要な情報は残してない。あったとしてもネットで検索すりゃいくらでも出てくるような情報しか残してねぇよ」


力橋はモニター内の女を凝視して言った。


「コンピューターの情報の消し忘れとかは?」


「この俺がそれをやり忘れるとでも思ってるのか?残ってるデータの根元から全て消し去ったわ」


「じゃあ安心して見てろと?」


「まぁ今俺たちが手出しすることは出来ないからな、見てることしか出来んが…」


力橋は何か疑問に思っているのか目線をちょこちょこ移動して旧研究所の隅々を確認する。


「どうかしたんですか?」


それが気になって仕方がない久城はなんの躊躇いもなく聞く。


「お前さんあの豪邸に侵入した時、クロネコは見なかったと言っていたな?」


「えっ、えぇまぁ…」


風呂上がりの久城は若干の冷や汗を書きながら恐る恐る力橋に聞き返した。


「そ、それがどうかしたんですか…?」


「旧研究所の方にもそのネコの姿が見当たらないんだよなぁ…?」


「はっ、はぁ。つまり…俺はクロネコを見逃してたと…?」


「そうなるな」


「すっ、すんませんでしたぁぁぁっっ!!」


久城は地面と額を擦り合わせてとても綺麗なフォームで土下座をした。


「べつに怒ってるわけじゃないし、今回に関してはそれで良かったんだよ」


「えっ?!」


それを聞いた瞬間、久城の頭はグインと猛スピードであがり、その瞳にはキラキラとした希望の光が映り込んでいた。


「もしお前がクロネコを連れて帰ってきてそのままルチーナの方も家に帰ったとしたら、色々あってめんどくさい事になるだろ?」


「帰ってくるのを待ち伏せして捕まえればいいのでは…?」


「アホか!待ち伏せしてルチーナに見つかった時点でアウトだ!」


「いって!!」


力橋は久城の頭をペシっと軽く叩いたつもりだったが…どうやら殴られた久城本人は相当痛かったようで、殴られたところを両手で抑えてこらえていた。


「まぁ、今夜の計画はひとまず引き分けってところだな、俺達もアイツらもなんの進捗もなかった」


「また近いうちにこの計画を再実行するんですよね」


「そりゃあそうだけど、いつにすっかなぁ…」


力橋はモニターで必死に探し物をしている3人に興味はなく、もう既に次の計画をいつにするのか頭を回転させていた。


「いきなり明日…今日?どっちでもいいや、次の夜なんてダメなんですか?」


久城はなんの根拠もなくただ適当に言ってみる。

それを聞いた力橋もジュースを人のみしてから「そうだなぁ」と呟き、少しの間沈黙が流れた。

時間にして3分、力橋は「うっし!」と声を上げながら立ち上がり、久城の方を向いた。


「どうせアイツの計画の1番の敵は俺だ、俺の存在が消えなければアイツも何もすることが出来ない、だから俺があいつからずっと逃げ続ければいい訳だが…」


「それは力橋さんが辛くないですか?!一生誰かから逃げ続ける生活なんて、俺は絶対無理ですよ!」


「俺も同じだよ、だから逃げ続ける訳には行かない、でも、だからといってそんなすぐにアイツを無力化しなければいけない訳でもない」


「つまり…?」


久城は生唾を飲み込む。

力橋も残ったジュースを全て飲み込んでから…


「2ヶ月後、それまで様子を伺って、そんでもう少し日が経ったらこの計画を再実行する」


「2ヶ月後と数日……ってクリスマスじゃないですか!」


「じゃ、俺も風呂はいって寝るわ、お前も先に寝といていいぞ」


久城の言うことになんの返しもなく、力橋は研究所に似つかぬ棚を漁り、変えの服とタオルを持って浴室へと歩いていった。


「あ、電気はつけといてくれ」


最後に一言いってから「シャーーーー」というシャワーの音が聞こえてきた。


「クリスマスかぁ……まぁたまたま、本当ににたまたま、予定が無さそうだからいいけど…はぁ……寝よ」


なにやら久城はブツブツと誰にも聞かれぬ声で言ってからでん気をつけたままぐっすり夢の世界へと入り込むのであった。

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