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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
6章 変わりゆく真実
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3話 知らぬ間の犯罪

文字数(空白・改行含まない):3073字

(………)


 目が覚めた。

 今夜はたしかルチーナが作戦とやらの決行をしていた夜だった気がする。

 そう思いながらも俺は横を見てみるとそこにはミシェリーの寝顔があった。

 もう10月に入り気温も8月の蒸し暑い夏休みに比べればだいぶ涼しくなり、それでもまだ凍えるほど寒いとも言えないこれこそちょうどいい気温であった。

 なのでミシェリーは毛布1枚だけを被って気持ちよさそうにすやすやと眠っている。

 ずっと見てても飽きないような寝顔から目を離し卓上にあるデジタル時計を見てみると、そこには《01:15》と表示されており、寝始めたのがミシェリーと同じ10時ととても健康的な生活リズムを送っているので普段からこんな時間に突然起きるということはないのだが、もう一度目を瞑り寝ようとしても一向に眠れず、完全に目が覚めてしまった。


(どうしよう…することがないのに眠れないとなると…)


 本当にやることがない、例えゲームやら読書やらあったとしても今の姿はネコなので人のようにものを器用に扱うことが出来ないのでお手上げ。


(んーーー…気分転換に外…っていっても窓は全部締め切ってたはずだし、気分転換に夜中のリビングにでも行くとするか、暇だし)


 そう軽く決めると早速俺はミシェリーの部屋の入口のちょっとだけ空いていたドアの隙間から軽々と抜け出してリビングへと向かった。


(いつもドア閉まってるはずなんだけど…まぁこんなこともたまにはあるか)


 小さいことは気にせずひたすらにリビングへと足を運ぶ、別に急用とかそもそも用事もある訳では無いので、急ぐ必要も無いし、なんならリビングに向かわずに他のところへ行ったっていいのだ。


 基本的にリビングへの引戸は冷房や暖房をつけてる時以外は全開にしており、ネコである俺でも易々と入ることが出来る。

 他の部屋には行かずリビングに来たのもこれが理由の一つだったりするが…


(?)


 俺はリビングに入るや否や庭につながっている窓の方を見て不思議に思った。


(開いてね…?)


 そう、毎日フェミアやノルアがしっかりと閉めるのを忘れるはずのない窓が半分ほど開いていたのだ。

 少し風が吹きカーテンがふわっとふくらんで元に戻る


 不思議に思いながら俺は怯えもせずに窓から頭を出し周りを見渡した。

 べつに誰かいる訳でもなく、いつもフェミアとノルアが選択を干す物干し竿があり、月に照らされた綺麗な緑があり…


(……?)


 何も無いじゃないか、と俺が振り返った瞬間、いつのまにか背後に近づいていた何者かに体を持ち上げられ、俺は必死に抵抗するが所詮はネコなので相手を撃退することができなかった。


「にゃっ」

( ?!)


 一瞬心臓がとまりかけた気がしたが、持ち上げた本人の顔を見てから安心した。


「こら!ダメでしょ?!」


 俺は分かりやすく抵抗するのをやめて、それからミシェリーと一緒に部屋へと戻った。


(それにしてもなんで窓なんかが空いていたんだ…?)


 ミシェリーは寝ぼけていたのか空きっぱなしの窓を閉めることがなかった。





 目的地であるニルン邸の屋根に軽々と着地した久城は、力橋からの応答を待っていた。


『とりあえず、ケンと清水だけでもササッとコチラに持ってきて欲しい、それさえ出来ればルチーナの力じゃ干渉できないはずだからな』


「(了解です)」


 久城は小さな声で言い、そしてニルン邸の2話へと降りてきた。


 一応力橋が見張っているが自分でも周りを確認しながらリビングの窓であろうガラス板の目の前に立ち、鍵を見てみると、その種類はクレセント錠という、窓に使われる一般的なもので、久城はその持ち手の部分だけを重くするよう質量を大きくし、逆に下側の湾曲した部分の質量を小さくすると、少しだけ傾いたが、摩擦もあり解錠されることは無かった。


 摩擦を無くすために外側にある窓を手前に、リビング側にある窓を内側に押すと、摩擦がほぼ無くなり解錠することが出来た。


(まずは第一関門突破…)


 久城は第一関門突破という事や帰る時のことも考えて、開けた窓をそのままにしてニルン邸へ侵入した。


 まずはリビングを出て1階部分の廊下をつたいささーっと見て回ったがこのニルン邸の1階はどうやらキッチンやトイレ、お風呂や客室間など、個人の部屋などがあまりなく、久城はさっさと目的を達するため2階へと繋がる階段を登って2階へやってきた。


(それじゃあ近い方から…)


 早速階段を昇って右の方にある部屋のドアノブに手をかけ、ゆっくりと右へまわし、そしてまたゆっくりと奥へと押していくが…


 キィィィ……


(うるせぇぇ…)


 立て付けが悪いのかなんなのか分からないが滅茶苦茶響くような音が鳴り、これ以上やると寝ている人を起こしそうなため10cmほどの隙間から頑張って部屋を覗いてみる。


(…女の子の部屋か…ベッドの上には…)


 やっている事が完全に犯罪で警察に見られたら1発アウトだが、そんなことは気にしてない久城はベット上に寝ている女の子を見て、この部屋に目的の人間が居ないことを確認して覗きをやめた。


(……扉を戻しておくのはやめておくか)


 もうこれ以上大きな音は出したくないので久城は10cmあいた扉をそのまま放置し、次の部屋を確認しに行った。


 しかし2、3部屋見てみたがクロネコや清水が居るような気配はなく、ルチーナの姿も見えなかった。


(この家めちゃくちゃでかい割に住人少ないな… )


 グチグチ思いながら久城は向かい側の部屋を覗き込む。

 その部屋だけは無音で扉を開くことができ、慣れた手つきで部屋の中を覗き込む。


(やっぱり誰もいない…ん?あの本棚…)


 部屋の中に誰もいないことが確認できたが、久城の目線にはひとつの本棚があり、久城は吸い込まれるようにその部屋に入ってしまった。


(やっぱり…!『あの恋』最終巻でてるじゃん!)


 どうやら本棚の1部の最終巻に目がいきすっかり読む方に脳が働いてしまい目的のことは完全に忘れていた。


(はっ…いけないいけない…)


 読むこと10分、何とか区切りのいいところで本来の目的であることを思い出しその本を棚に戻し廊下に出た。


(っていってもなぁ…あとの部屋もいなそうだなぁ…)


『おい久城』


「っっ?! 」


『まだ家の中に入ってるんなら外に出ろ、話がしたい』


 久城はいきなり話しかけてきた力橋の声に体全身をビクッとさせ、ギリギリ声を出すのを抑えてバクバクなってる心臓を擦りながら素早く庭に出て再び屋根の上へと軽々と戻ってきた。


「なんですか急に!心臓止まるかと思いましたよ?!」


『俺たちが今探している人間が他のところにいることが分かった』


「無視ですか!」


『とりあえずさっさとこっちに戻ってきて欲しい』


「へいへい分かりましたよ…ふん」


 そのあとちょっとした通信越しの痴話喧嘩になりかけたが、久城は高速で力橋の元へ戻り、力橋の話を聞くことにした。


「それで急に呼び戻してなんですか?」


「いや、清水とルチーナ、それにダミー久城の3人が旧研究室に突撃していたんだよ」


「旧研究室に?!」


「あぁ、引越ししてて助かったぜ」


「これからどうするんですか?」


「そう言われてもな…また考え直すしかないかもだな」


「はぁ……ってあれ?その3人組の中にクロネコいなかったんですか?」


「んぁ?そういえば見てねぇな…お前ちゃんとあの家の中見てきたか?」


「ちゃんと見てきましたよ!でもクロネコなんていなかったですよ!」


「ふん、途中で漫画読んでたくせによ」


「うぐ……」


 久城は10月という涼しい季節なのにも関わらず汗が止まらなくなっていた。


「し、シャワー浴びてきま〜す…」


 そしてその場から逃げるようにして着替えとタオルを持って風呂場へ直行したのだった。


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