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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
5章 神願の塔
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12話 忘れてた待ち合わせ

 その青年は待っていた、スマイルスイーツというパフェを中心に提供しているスイーツ店内の角の方の机にて。


「…………待ち合わせの時間から既に20分……アイツは何してるんだ?」


 この少し大柄な青年は普段からこのスマイルスイーツという店で働いており、スイーツ店には似つかぬ姿で働いていると極一部では有名であり、その青年はとある人と待ち合わせをしていた。

 ……のだが


「もう10分待って来なかったらこっちから会いに行くか……」


 それから10分経ってもその待ち合わせ相手が来ることは無かった、なのでその大柄な青年はその店を後にし、待ち合わせ相手が住んでいる場所へと足を運び始めた。






「お母さんあっち行ってみよ!!」


「そんなにはしゃがないで」


 少し大きめの公園を経由して歩いていると、今日が日曜日の休日なだけあるのか親子連れの家族が少し多めに見られる。


「お母さん見て見て!…………あっ」


「あら……!」


 ある少女が何かを見つけたのか手に持っていたヘリウムの入った風船を手放し、すこし悲しそうな顔をしていた。

 その風船は何か木に引っかかることもなくずんずん空高く舞い上がっていく。


「大丈夫、また新しいのを貰えばいいのよ」


「あの風船がいいの!」


「あれと同じ風船ならたくさんあるわよ」


「それでもあの風船がいいの!」


 親がどうにか少女を説得しているようだが、その少女には少女なりの風船へのこだわりがあるのか今空をさまよっている風船出なきゃ嫌だと駄々をこねている。


「…………しょうがない…か」


 そんな親子のやり取りを目撃した大柄な青年は、誰にも聞こえない大きさで一言呟き、空を見あげた。

 見上げると最初に太陽の眩しい光が目に入りこみ、思わず手で視界の一部を隠してから黄色の風船を発見した。


 その大柄な青年はごく普通の人間ではなかった、だからその風船の位置を確認するや否や、上空で風によって揺られてた黄色の風船はその場でピタッと止まり、やがてゆっくりと地面に向けて落ちているように見えた。


「お母さんお母さん!!」


「……?!」


 だんだんと降りてくる黄色い風船を見て少女は大はしゃぎ、そして母親のほうは一瞬何が起きているのか分からずただ驚いていた。

 親が驚いている間にも風船は降りて行き、黄色い風船の挙動がおかしくなってからものの数十秒でその風船は少女の手の元に帰ってきた。


「やったぁっっ!きっと魔法が使える人が助けてくれたんだよ!」


「えっ、えぇそうね」


 その少女はその場でジャンプし大喜びしていたが、親は少し眉をひそめていた。

 なぜ母親が納得してなさそうな顔をしていたかと言うと、簡単に説明すれば普通、魔法を発動するとその発動した人とした場所に魔法陣が現れるのだ、しかし今回は魔法陣なるものを見られることがなかったからである


 その嬉しそうに喜ぶ少女の姿を優しく見届けた大柄な青年は再び足を動かし始めた。

 この公園から出て真っ直ぐ行けばもう目的他へと辿り着くのだ。


「それにしても、歩いてる途中でも見かけないとなると、完全に忘れてるんじゃないか?」


 もう諦め半分のため息と一緒にその青年はまた一言呟いた。





「どうしよう………」


 同時刻、ニルン邸にてルチーナはか細い声で呟いた。

 先程ノルアから嫌な情報を聞いてそれから怖くなって大泣き、今は自室のベッドで横になっている。


(大丈夫…じゃないよな……うん)


『どうすればいいと思う…?』


(いくつか考えはある、だから俺に任せろ)


『わかった』


 俺は妹を安心させるために言った。

 嘘ではない、実際に考えはある、まぁ多分今の時点で俺の考えはルチーナに覗かれてバレバレなんだろうけど、何かを考えることが苦手なルチーナに代わって少しでも助かる方法があるということさえルチーナが分かってくれれば安心は出来ると思う。


(まぁまず1つ目の考えとしては超高速で『神願の塔』に行って女神に助けを求めることだな)


『りっきーが本気を出したら数十分んで着きそうだけど……』


(その数十分の間にニルン邸に何が起こるか分からない、現に今だって何かをされる寸前かもしれないしな)


 ここキルカイア都市から『神願の塔』への距離は数十キロ程度ではない、外の世界に合わせて馬車で行こうものならば険しい山や馬や車輪が沈んでしまう砂漠だってある、休憩も兼ねて一週間以上はかかってしまう。だが清水が本気を出そうものならばその長い道のりだって楽々と行けてしまう。険しい山々や砂漠などがあったとしても。

 清水力弥の能力は『物体操者』物体であるものなら大抵のものならばいくらでも動かすことが出来る、動かすスピードに限界値はほぼ無い、だから数千数万kmのスピードで動かすことも可能なのである。


(まぁりっきー本人は疲れると思うけど)


『最近疲れてる感じがあるしね』


(まぁそのりっきーの力を借りてやるのが1つ目の考え、2つ目の考えは直接対決だ)


『直接対決って……力橋(りきばし) (わたる)と?』


(まあ俺的にもあまりオススメはしないが最終手段としてはこれも手かな)


『でもアイツは今じゃどんな化け物になってるか分からないしな〜私の能力だって打ち破ってきたし……』


(だな……。……ん?待てよ……?!)


『何かあった?』


(いや、最近魔法学園の生徒が問題になった記事あったろ)


『あぁうん、突然消えたっていうあれでしょ』


(俺たちはいままでその犯人をテレポート系の魔法が使えるキリガミレイヤに限定してたけど)


 そこまでいってルチーナはようやく気づく


『力橋渉の可能性もある…ってこと?』


(可能性ってよりかは、もう確実にそうだろ)


 力橋渉はルチーナの細工されていた自分の記憶を取り戻した、ルチーナの能力によって改ざんされた記憶を取り戻す事は頭をぶつけたりしても絶対に無理である。

 ではなぜその改竄された記憶を取り戻すことが出来たのか、それは自ら能力を発現できるような薬を使って己に精神系の能力を付与したのか、はたまた誰かを実験台にその薬を使ったのか、普通に考えて完璧に安全であるか定かではない薬を自分に使うなど狂人である以外無いに等しい、なので可能性としては後者。

 だれかを実験台として使用する……力橋渉は共に実験をしてきた仲間を実験台として扱うのは情があったせいかすることは無かった?いや、技術者が消えてしまうと今までの努力し続けてきた能力に関する実験が進まなくなる。では誰を実験台にしたのか……


(んぬぬぬぬ……)


『なんかお兄ちゃん色々考察してるみたいだけど、なんだか色んな辻褄が合っててその考察が本当何じゃないかって思えてきたよ……』


(まぁ一応考察な、んでも誰を実験台にして能力を得たんだぁ?)


 1匹のクロネコが長い考察のうえまた更に悩んでいるところにルチーナは不思議そうに聞いてきた。


『ねぇお兄ちゃん、ひとつ気になったから聞いていい?』


(いいぞ)


『今の話が考察であるとはいえもし当たっていたのならば力橋勢力には今の時点で複数人の能力者がいるってこと……?』


 それを聴いた瞬間全身から汗が吹き出してきた。


(……うぁ複数人かぁ……いやでもあの力橋のことだ、あんな狂った人間が1人ひと能力に抑えることを出来るとは思えないしなぁ)


 さらに汗が出てきた気がする。


『実際ノルアだって複数の能力を持ててるし、2つ以上持てないことはないって感じかな』


(うーーーん……何も展開が読めない……)


 と、いろいろと行き詰まっているルチーナと俺の耳にひとつインターホンの音が聞こえた、俺たちが部屋を出て玄関に行く間もなくどうやらフェミアが玄関のドアを開けた様で……


「あら〜久しぶりね〜どうぞあがってらっしゃ〜い」


 フェミアの声だけが聞こえてくる。


「ルチーナ〜クロネコちゃ〜ん降りてきて〜」


 そしてお呼び出しコールを掛けられた。べつにここで籠るようなことは無いので素直に階段をおりてリビングに顔を出す、するとフェミアに招かれたその人はリビングのソファにドスッと座っていた。


「……?お、よっ、久しぶりだな、結望(ゆうみ)、それに(けん)も、な」


 そこのソファには結望と俺がよく知っている人間が座っていた。


「あだだばだばばだば……」

「にゃにゃにゃぁぁにゃ……」


「?」


「忘れてたァァァァァっっ!!!」

「にゃぁぁぁっっっ」

(俺もぉぉぉっっ!!!)


 そこに座っていたのは少し前からスマイルスイーツというスイーツ店にて待ち合わせをしていた男、『空間操者』の久城(くじょう) 雄久(たけひさ)であった。

これにて第5章終わりです

さて……ここからの展開がどうなっていくのか(←何も考えてない)

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