10話 神願の塔に再出発するきっかけ
「そういえばミシェリーちゃん」
「?」
「魔法学園の交流会ってのがもうすぐあるけど、一緒の班にならない?」
「魔法学園って、C級のシルニア魔法学園との?」
「そうだぞー、私にも魔法が使えたら人助けしてやったのになー、」
「あんたは遊んでるだけでしょ」
「あはは……」
ミシェリーの入学した一宮普通学校中等部の1年生は夏休み明けに魔法学園なる普通学校とはまた違う人達が通う学園との交流会を3日間に渡って行うのだ。
魔法学園とは名前の通りこのキルカイア都市の全体人口数百万人のうち数十万人ほどが発動できる「魔法」を扱える者が通う学園、普通学校とは違い学園そのものの数も6つととても少ないがその分敷地面積が以上に広い。
キルカイア都市のような超発展都市の景色に似つかぬ建築様式でそびえ立つその魔法学園との交流会で何をするかと言うと、特に複雑なことは教えあったりせず、ただ単に魔法という存在が身近にあることでそれに伴う便利さ、そして危険を学園の方で直接的に教わってもらうだけであり、3日間のうち後半の2日はただただその学生の生徒と仲良く戯れたりするだけでそれほど緊張や恐怖を感じるようなイベントではない。
「で、どう?!私達3人グループで行動しようよ!」
「どうせひとりぼっちな友1号にグループ作るなんてこ──」
「ちょっと黙ってて!」
「いて」
ミシェリーは春に叩かれる美希を見て苦笑いしながら考えた。
いつか魔法学園との交流会をするというのは知っていた、二属性の魔法を扱えるフェミアからも話は聞いていた、話を聞く限り学校と学園の交流会というより、周りの地域の人も学園内に招いて普通学校の生徒と一緒に魔法の便利さや危険を学ぶらしいしその期間も3日間、後半のこり2日はちょっとした文化祭的な感じになるらしい。
「わかった、私も誰かいないか探してたところだから」
フェミアに聞かされたことを軽く思い出したミシェリーはもちろんのこと承諾した
「んも〜そんなこと言ってほんとは探してなんか居なくてずっと私たち狙ってたんでしょ〜」
そんなミシェリーに春は少しいじるような感じで言い、それに対してミシェリーも「バレちゃった」ととても嬉しそうな顔をしていた。
そんなミシェリーが笑顔になっていることも知らずにもくもくとパソコンの画面とにらめっこをしていたルチーナはとある記事を発見する。
(A級魔法学園のエリアスタ魔法学園がランクダウン……?)
その画面に映し出されていたのは6つある魔法学園のうちA級魔法学園という6つの魔法学園のなかでも階級2位の学園であった。
どうして魔法学園に大きな関係の無いルチーナがこんな記事を見つけて読んでいるのかと言うと、
魔法学園の階級が上がることは多々あっても、階級が下がるような事はあまり事例のないことであったからだ。
(だれか犯罪でも起こしたのかな……)
ルチーナは更にその記事を読み進めていく、するととある文章に目を取られた。
【複数の一般人が魔法による攻撃でケガ、エリアスタ魔法学園の生徒の犯行か】
さらに不可解なことにその攻撃されてケガを負った複数の一般人は現在行方不明になっているとの事だった。
襲われた瞬間は防犯カメラに捉えられていたが、その後魔法を発動させたエリアスタ魔法学園の制服を着た生徒と襲われた一般人はその場で姿を消したのだ、走ったりすることなく、まるで瞬間移動を使ったかのように……
(瞬間移動……そんな魔法はこの都市で使えるやつはいないし外の世界でも古代魔法として伝説物になってる……でもその瞬間移動を使える人間を私は2人知ってる……)
キリガミレイヤとノルアである。
しかしノルアの可能性は極めて低いどころが完璧にない、それは何故かと言うとノルアという物が生まれた瞬間に結ばれたルチーナとの関係から分かる。
残るはキリガミレイヤであるが、こちらもこちらで女神さまによって記憶や魔力量、それに発動できる魔法も制限されていて瞬間移動なんて絶対に使えるはずがない。
だったら一体誰があの一瞬で姿を消すような行動ができたのか…
色んな予想ができた。
そもそもこのような記事そのものがもっぱらの嘘である。
防犯カメラの映像をフェイクの情報動画に差し替えた。
そしてキリガミレイヤ本人から瞬間移動という魔法を教えてもらった弟子的存在の人間。
ルチーナ的には一番最初の全てが嘘である、に賭けたいところではあるが、実際、その襲われた一般人や魔法を発動させたエリアスタ魔法学園の生徒だって行方不明となっている。
そしてこれを機にルチーナはあることを思い出した。
「そういえばキリガミレイヤの奴隷の古代魔法の問題は解決しても、そのキリガミ本人に関わって古代魔法教わった人のこと言うの忘れてたな……こりゃまた『神願の塔』に行かないとだなぁ」
ルチーナの頭からは既にエリアスタ魔法学園のランクダウンのことなんてすっぽり抜けており、明後日にでもまた清水を連れて出発しようか計画を考えるところだった。




