12話 パフェを持ってくるは優しき青年
あれから時間は流れるように過ぎて行き、今は3時丁度、現在玄関からちょっと出たところに4人の姿が見えた。
1人は肩掛けバックをかけたフェミア、そしてそのすぐ目の前に何ひとつとして持ち物を持ってない3人の少女、春、美希、ミシェリーの姿があった。
「みんな忘れ物はないわね〜」
「大丈夫でーす」
「おなじくー、」
「何も持ってないような……」
見れば簡単に分かるが一応聞いてみようとフェミアの言ったことに対し、しっかりと返してくれた3人は道案内の係を務めるため早速出発した。
「私もお店の場所は調べたんだけど、折角なら案内してもらおうかしら〜」
勝手に突き進んでいく3人の背中を追いながら、フェミアはなにやら微笑ましそうに目の前の光景を見ながらついて行った。
数十分もしないうちについたその店は、買い出しにはあまり向いていないニルン邸からもまだ近い方の場所にあり、その近さに感動?したフェミアも、毎週通おうかと思いつつ、そのままお店の中へ入っていった。
「4名様でよろしいでしょうか?」
入るや否や従業員は人数確認をし、4人座れるテーブルへと案内、それから春と美希はメニュー表を見ることなく注文する品を決めていた。
「そんなに美味しいのなら私も食べてみようかしら〜」
フェミアは春の言ってたパフェをメニューで見つけると、見てるだけでヨダレが垂れそうな程美味しい見た目をしたそのパフェを見ながら言い、その隣のミシェリーは、スタンダードにチョコレートパフェを頼むことにした。
「よし、私も決まったわ〜」
「それじゃあ店員さん呼びますねー」
フェミアがメニュー表をパタッと閉じると同時に、1番近くで前客の使っていたテーブルを綺麗にしていた従業員が、すぐにやってきた。
「えっと〜イチゴと練乳の特盛パフェを2つと〜」
「スーパーデリシャスまっちゃパフェとだんごー、」
「えっと、イチゴパフェを……」
結局フェミアは春とおなじパフェを、美希はこの前頼んだものと追加でだんご(このパフェ限定で注文可)を、ミシェリーはスタンダードのイチゴをそれぞれ注文した。
「パフェが待ち遠しくてトイレに行きたくなってきたわね〜」
注文を承った店員が、スマホ型のコンパクトな機械にポチポチ打ち込みそのまま隣のテーブル掃除の続きをし始めた時、突然フェミアが言い始めた。
「私達は三四素瀬荘の方で済ませてましたので、トイレは大丈夫です」
「私も出発する前にしてきたよー」
言って一緒に来てくれる誰かを遠回しに誘ってみたものの、フェミア以外の3人は既に用を済ませており、しょうがなく?パフェが到着する間にフェミアは1人でトイレに行くことになった。
「お待たせしました」
フェミアがトイレへと姿を消した直後、言っちゃ悪いがこの店にはあまり似つかないような背の高い髭の生えた男がパフェを4つ、お盆に乗せて持ってきた。
「あ、ありがとうございます……」
「おぉー、ギャップぅ……」
「み、美希ちゃん失礼になるよ!」
春はあまり首を突っ込まないように感謝の言葉だけを伝えたが、何かと自分の制御があまり上手くない美希は、思ったことをサラッといってしまい、それに対してミシェリーが小声で注意した。
普通なら表には出さずとも不機嫌になるはずなのだが、その言われた男は、裏でも笑顔なんじゃないかと思ってしまうぐらいなんとも気にしてない表情で最後のパフェをテーブルにそっと置いた。
「確かに、ギャップありすぎだと、自分でも思ってます」
そして優しい言葉で返してあげた。
言われた3人は、改めてその男の姿を凝視、確かにギャップこそあるものの、そこまで大柄というわけでもなく、そこら辺を歩いてる青年より少しだけ大きいだけ、それも髭なんてものも生えているから尚更いかつく感じてしまったのだろうか、別にこんな人が働いたって、なにもおかしい所が見つかりやしなかった。
「ほら、美希も謝る」
「んー、さっしは無神経なこと言って悪かったー、」
「いえいえ、こちらもいつもは作る側で表に出ることはあまりないので、出てくるたんびに少し驚かれますので」
美希の誤りに対しても、笑顔を忘れずに言い返してきたその男…いや、少し大きな青年は、来た時より一層笑顔が強くなりながらも裏の方へと姿をくらまし、タイミングよくフェミアも帰ってきた。
「あら〜私がいない間に来ちゃってたのね〜」
「はい!優しい男性の方が持ってきてくれましたよ!」
「うちが大人だったら惚れてたぞー、」
「そ、そうかな…?」
「それにしてもその人、何か見覚えがある気がするわ〜」
「あー、たまにありますよね!その人は昔私を助けてくれた優しい少年だった〜とか!」
「恋愛小説の読みすぎだぞー、」
「ちょっと憧れるかも……」
「あら〜このパフェ美味しいわね〜」
「あぁっ!フライングはダメですよぉ!」
「こんなのが目の前にあって我慢なんてできないわ〜」
「お母さんは我慢が出来ない人なんですかぁぁっ!」
「そんな春も食べながら喋るのは行儀が悪いぞー、」
午後3時のおやつの時間なのにもかかわらず、店にはこの騒ぎ立ててる4人以外誰もいなかったのは良かったものの、もしお客さんが他に沢山いたら、とても迷惑がられてただろう。
そんな姿を、お客が来なくて手元がすっからかんになってる少し大きめの青年は、微笑ましそうに眺めていた。
「明後日が日曜日……どんなことを聞かされるのか、だいたい予想はつくなぁ」
そして独り言を呟いていた。
これにて第4章は終わりとなるのですが……
章タイトルにもある「ゲーム」関連の話が最初の方にしかないってどうなんでしょう……(笑)




