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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
4章 ゲーム三昧
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4話 空気抵抗も考えてますよ

 その日の夜、春と美希の2人の来客を加えた夕食を終えたルチーナは、なんとなくソファーに座ってスマホをいじることなくなんとなくテレビをつけてみた。

 普段のルチーナなら夕食を食べ終わった後、お風呂待ちの時間にテレビなどつけずにスマホをいじってばかりなのだが、月に2、3度だけスマホではなくテレビをつけることもある。


「……ん?」


 電源が入るやいなやルチーナは【臨時ニュース】という文字列を見て「なんだろ」と若干の危機感を持ち、そのままニュースキャスターの言う言葉をしっかりと聞いた。


 ここキルカイア都市は意外と治安がいい所である。

 都市外の国の夜とは違い、深夜を回って一人の少女が路地裏なんかをほっつき歩いても、ほとんど襲われることは無い、なんならすれ違う通行人が「もう夜だから早く家に帰ろっか〜」とかなんとか、優しい言葉で接してくれる。

 勿論盗難や事故などもまったく起きる気配がないぐらい平和な都市、1部の区域では魔法を扱う学校などもあるが、そこでも喧嘩など起こることはあまりなく、外の国と比べれば天と地の差というものだろう。

 そんなキルカイア都市で臨時ニュースやら緊急ニュースなど、政治関連か災害関連しかない、それもここは言ってしまえば機械都市、災害もゼロに等しい程度しか起こっていない。


 それを踏まえて出された臨時ニュース、これは見逃すまいとルチーナはテレビを凝視。

 ルチーナの視線の先、テレビの液晶に映っている映像を見てルチーナは驚きの声もあがらず唖然とした。


 そこにはひとつの公演が映っており、その公園内で様々な所から大きな爆発が何発も起きてきた。


 キルカイア都市がいくら治安がいいとはいえ、誰一人として悪者がいないとは限らない、その証拠が今テレビに映っている"ライブ中継"だ。

 その爆発に規則性はなく、仕掛けているようにも見えない爆破をしていた。

 まるで誰かが好きなところで好きなように爆発できる力を持っているみたいに……


「まさか…っ?!」


 考えることも無く答えを出すことができたルチーナは、クロネコのミリーにリビングに来るよう脳内に伝え、そして来る間を惜しんでスマホを手に取った。

 ルチーナがスマホを手に取りすぐさま立ち上げたサイトは以前見た「ウワサイト」というどこの誰が作っているのか分からない、とにかく噂マニアが作ったサイト、その中で【能力】の噂についてのページを開いてみた。すると目に入ってきた文章と自動再生されている動画を見て思わず手から携帯を落としてしまいそうになった。


「う…そ、、?」


 そこには、『これは正真正銘魔法なんかじゃない別のなにかだぜ!』という言葉と共に、小さな空き缶をなんの仕掛けもなく爆破させて粉々にしている動画が貼られていた。


(どうしたんだよ?!)


「おにいちゃ……」

『お兄ちゃん見てこれ!!』


 俺はネコの目線に合わせるように降ろされたスマホの画面を見て、固まった。


(………これって…)


『うん、間違いない、「能力(スキル)」を使える人が遂に生まれちゃった』


(だっ、だけどこれもあの薬で戻るんだよな?!)


 結望は俺の質問に少しの時間を起きながら恐る恐る答えた。


『一応、でも効果は少し耐性がついで効きにくいこともあると思う』


(そうか、今からでもあの計画を決行したい所なんだけど…冷静に計画通り金曜の夏祭りの日にやるべきか)


『いや、もうその計画は今出来なくなった』


(は?)


 たんたんと告げた結望の言葉に、俺は思わず首を傾げてしまった。


(なんでできなくなったんだ?)


『その夏祭りの会場、いまさっきのニュースで流れてたけど、滅茶苦茶に爆破されてる』


(………)


 俺は思わずテレビの方を見てしまった。

 先程から爆発爆発と何度も言ってうっと惜しいと思っていたテレビ、だがそのテレビに映し出されていたのは画面いっぱいに広がる綺麗なようで薄暗く濁ったオレンジの炎と舞い上がる黒煙。


『どうする、お兄ちゃん?』


(おい、今すぐお前の部屋に行くぞ!計画を改める)


『りょうかい』


 結望は心の中でいい返事をすると今から走ろうとしている俺の体をひょいと持ち上げそのまま結望の自室へと小走りで向かっていった。


(さんきゅ)


『あたりまえでしょ』


 短く言葉を交わしながらも結望の部屋に到着すると、俺はパソコンの置いてある卓上に座らされ、結望は今日の昼に書いた計画表とペンをささっと持ってきた。


(ゆみ、たまにはお前の案を採用するのも有りだと思う)


 結望が椅子に座ると同時に俺は語った。


『急に何?私案なんて出した覚えな──』


(強行突破だ!)


『っ?!』


(もう細かい計画なんざ必要ない、俺も一緒に連れてってその都度司令をだす、お前はそれに従うだけでいい)


『わ、分かったけど時間はいつにするの?』


(今から能力者がどれだけ増えるのか分からない、今すぐにでも実行したいんだろ?)


『それは…そうだけど』


 "何百年も一緒にいる"妹の思っていることなど、もう大体分かるようになってきた俺は、結望の今やりたい事を考えて言い当て、そのまま話を続けた。


(だから、今からだ)


『……え?』


(聞こえなかったか?)


『いやあ…聞こえてたけど…』


(じゃあ行くか。ゆみ、今だけこのニルン邸にいる人全員の記憶を弄れ、この際守りごとなんて気にすんな!)


『えっ?あ、うん! りっきーも連れてくからね』


(おう)


 結望は少しだけ集中する為数秒目を閉じたあと、再びまぶたを開けて必要最低限の物を小さなカバンに入れると、そのままフェミアやノルアの目を気にせず玄関から出ていった。ちなみに後ろからおなじ能力者である清水力弥も、さきほど結望が数秒まぶたを閉じた瞬間に今の状況を無理やり脳内に叩き込まれ、これはいけないとなんの準備もなく結望の後に着いてきている。


「それでお兄さん、これからどうするんですか!」


(な、おに…っあぁもう後でぶん殴る!)


「お兄ちゃんはやく指示を!」


 清水の「お兄さん」発言で何か嫌な過去を思いだした俺は若干の苛立ちを覚えながらも、いま怒ってても関係ないとすぐさまその感情を取り消し、結望指示を出すことにする。


(とりあえず初めに一宮(いちのみや)中央公園に行くぞ、爆発の犯人とその集団を捉える)


「りっきーお願い出来る?」


「もちろん」


 俺が指示を出すやいなや、清水力弥は自分の能力(スキル)、「物体操物」を利用し、その場にいる2人と1匹の体を、近くにあったベンチに乗せて空へ浮かび、そのまま目的の現場へと急いだ。


(ゆみ、お前は少し疲れると思うがその周辺にいる人で、怪しいやつらを全員目立たない所、1箇所に集めるよう誘導してくれ)


「りょうかい」


(そんでりっきー、お前はその怪しいヤツらを何かしらで拘束して俺らと一緒に運べ)


「えっ、そんな都合のいいように紐とか持ってませ──」


(よし、それじゃあ2人とも気を抜くなよ、ちゃんとこの強行突破計画が成功したら、何かしら奢ってやる。人間に戻れたらな)


「やったーっ!」


「そ、それなら仕方ないですね!」


 こうして、2人と1匹の体を乗っけたベンチは、夜の空を車の数倍の速度で移動していた。






 一方その頃ニルン邸では─


「あー、お母さんやられちゃいましたね〜」


「おー、友達第1号はまだ頑張ってるなー、」


 今度はフェミアとミシェリーが新しいゲームを体験することになり、それを実況しながら春と美希の2人の少女と、さらにその後ろでノルアが椅子に座ってそれを眺めていた。


「それにしてもルチーナさん、なんでこんな時にお買い物なんですかね〜…」


「1人で買い物なんてなー、」


「まあ、たまには1人で買い物というものもわるくなないもともいますよ」


「そうかなー?」


 途中で入ってきたノルアの意見に理解半分の春は自分1人で買い物をしている様子を想像した。


「うちもいいと思うぞー、」


「えぇ〜、美希はいいの〜?」


「そうだぞー、」


 2人はフェミアとミシェリーの映っている画面を見ながら短く言葉をかわしていた。

 するとそこで急にノルアが立ち上がり


「すみません、少しお手洗いの方に行かせてもらいます」


「はーい」


 その言葉に春だけが返事をして美希は2人が協力して敵を倒している場面に釘付けで返事を忘れていた。


「それでは」


 そんなことは気にせずにノルアはトイレに……は行かず、自分の部屋へ足を運んだ。

 そして小さな声で独り言を呟いた。


「 ………やれるだけ、協力しますよ」


 だがその独り言は誰かのお願いに受け答えるような言い方のような気がした……

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