12話 別次元のポケットマネー
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「おはようございます〜!」
「おはようだぞー、」
玄関の方からミシェリーの後に2人の少女がリビングの方へ姿を見せた。
いつもなら2人を迎えるかのごとくルチーナはこのリビングにいるはずなのだが、今回はいない、先程理由もなくどこかへ行ってしまったのだ
「ありゃ、ルチーナさんいないのかな……」
「わざと身を隠してるかもしれんぞー、」
いつも姿が見えるルチーナを辺りを見渡しても見つけられない笹木 春と千歳 美希はなにやらしょんぼりとしていた。
するとそこにフェミアの姿が見えた。
「あら〜?もしかして2人ともルチーナに用事があったの〜?」
「あぁはい!そうですそうです」
「今話題のゲームについてお話をー、」
「えぇっ?!2人とも私と遊ぶために来たんじゃなくてっ?!」
「ミシェリーと遊びたいのも山々なんだけど……ちょっとこれ見てよ」
「ずぁ〜〜ん」
まさかのミシェリーと遊びに来たわけじゃないという事実を聞いた当の本人はガックリと肩を落としていた。
まぁいいや、とミシェリーは1度落とした肩をゆっくりとあげて美希が持っているチラシに目を向けた。
「完全仮想空間、未知の世界へご招待?……えっとなになにぃ?王道ファンタジーにスリルを味わいたいホラー、……仮想空間の勉強タイム…今年夏期中発売開始……ん〜ん?」
なぜだか分からないがとりあえずチラシに書いてある大きな文字を全て読んだミシェリーは自分で読んで起きながら全く理解してない様子だった。
「あら〜それって〜!」
ミシェリーと違いしっかりと理解しているようなフェミアは感心しながらさらにそのチラシに欲望が吸い込まれていった。
「んぁー、その様子じゃわかってない感じか〜」
「百聞は一見にしかずーってどこかで聞いた気がするけどこのことかー?」
「そうだな…とりあえずもう発売されてるみたいだし、よければルチーナさんに承諾を得て一緒に電気屋さんに行って見てみたい」
春は確認と一緒にルチーナと電気屋に行ってもいいかをちゃっかりフェミアに聞いた。
「あら〜?電気屋さんにか〜、それなら私もついて行っていいかしら〜」
「私もご一緒しても構いませんでしょうか」
「えぇっ、みんな行くの?じゃ、じゃあ私もついて行く!」
フェミア、ノルア、ミシェリーの順で言った事は、言わずもがなOKとなった。
春や美希にしても断るメリットはない、一緒にお出かけして楽しみたいところだった。
あとはどこかへ身を隠しているルチーナの許可が降りれば6人一緒に電気屋へ行くことになる。
「うふふ〜ルチーナったらそのまま部屋に戻ってる可能性もあるわね〜事情を説明してここに引っ張り出してくるわ〜」
「あ、ありがとうございます!」
「感謝するぞー、」
「待ってる間なにか暇を潰しておいてね〜」
「はーい」
「おー、」
2人から返事が来るのをしっかりと確認しつつフェミアは2階へと階段をあがって行った。それにしてもあのにこにこ笑顔小さい時からずっとなのかな……
俺はどうしようか迷ったけどとりあえずここから動かないようにした、言ってもほとんど意味ないと思うし、あとついでにこのからだで階段登るの結構つらいんだよね……
「私もちょうど見てみたかったから勿論いいぞ」
意外と早く帰ってきたフェミアは相変わらずニコニコしながらルチーナを連れてきた。
しかしさっきの謎の行動は一体なんだったのだろうか……
「やったーっ!」
「おっしゃー、」
「良かったわね〜」
喜ぶふたりの少女を横にしながらルチーナを連れてきたフェミア自信も一緒に喜んできた。それを見たミシェリーとノルアは何やらほっこりとしたものを見る目で外出する為の準備を始めるところだった。
「にしてももうこのゲームも発売の時期かぁ〜、発表されたのがまるまる1年前だっけ、月日が過ぎんのは早いな〜……」
ルチーナは斜め上の明後日の方向を見ながら口にした。
「ルチーナさんだったらソフト何買うんですか?!」
「うちは勿論THE・FANTASY一択だー、」
「おー、美希ちゃんはファンタジー系が好きなのか。まぁまだ発売されたばっかだし種類も少ないわけで、消去法で私も美希ちゃんと同じやつになんのかな〜」
「やっぱりそうですよね!私も色んなソフト見てて1番やって見たいって思っているソフトです!でも私たちはただ想像することしか出来ないんですが……」
「おーかーねーがー、」
「あはは……」
どうやら新作ゲーム機の話で盛り上がっている3人は皆外出用のバッグや服に着替え終わっており、残すはフェミアの準備が終わればすぐにでも外に出られる状態だった。
自分が1番最後のであることに気がつくことも無くフェミアは2人の少女に希望を与えるような女神になったつもりで言った。
「ん〜金額によってはもしかしたら買えるかもしれないわね〜」
「ほんとですかっ?!」
「まじですかっ?!」
フェミアの口から放たれた言葉によって2人の少女の目にはフェミアが女神様にしか見えなくなりつつあった。
いつのまにか合掌までしてどこかの宗教のようになっていた。
「金額的には、だからな」
そんな今できた宗教を今撤去させたルチーナはそのままフェミアに準備をするよう言った。
っていうか買ったは買ったであげる訳にも行かないだろうし、まさか毎日ニルン邸に来訪してゲームしまけるんじゃないだろうな……ってこの近代都市における最新ゲームってそうとうやばい金額なんじゃ……
「まぁ普通に3台ぐらいなら買えそうな"ポケットマネー"あるんだろうけど」
「あれ?ルチーナさん今なにか言いました?」
「んにゃ、何も言ってないよ」
「はるー、興奮しすぎだブハァッ」
「うっさい?」
「喧嘩はやめろよ」
ルチーナがぼそっと言ったその言葉、2人の少女のみならずノルアやミシェリーにも聞こえていなかったようで、その2人はなにか話し合っている様子だった。
ホっとしているルチーナぁっ!だが残念だァ!周りの人が誰一人として聞いていなかったとしても俺は聞こえていたのだよ…3台分買えるってなぁ!
……まぁその事を誰かに伝えることは不可能なんですがね……
しれっと流したけど3台ってなに?!ってかルチーナさん金額知ってるの?!……まあそりゃ事前情報だってあるだろうから知ってるはずか…
なんやかんやで始まりを告げた1日。
朝からの重い話でこの日はどうなるのかと心配してたが、この後いろいろ小さなハプニングを交えつつも、お目当ての電気屋へと到着することが出来たフェミア御一行であった。
おいおい夏休みの宿題は大丈夫なのか──
これにて第3章は終わりになります。
お次の第4章はスタートから新作ゲームの話で始まりますよ!




