10話 忘れさられた能力者
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いつの間にか眠っていたらしい、俺は目が覚めるとミシェリーのベッドの上にいることに気づいた。よくも寝床がコロコロ変わるもんだなと謎の関心を抱いた。
アレから何分何時間、もしかしたら何日経ったのかも分からない状態だが、あの一瞬の間に失っていた記憶が一気に戻ってしまうとこうなるのも当たり前なのか、俺は何やら考えながらも意外と立てる状態らしいのでムクっと立ち上がって時計を確認してみた。
(3時…真っ暗だから深夜か……)
辛うじて見えた時計の針は丁度3時を指しており、時計とは真反対の方向である方に首を180度回転させると、そこにはミシェリーの気持ちよく眠っている姿が見えた。
このままもう一度寝て朝か昼になるのを待とうと戻ったが、その考えは直ぐに取り消し、ルチーナが起きている可能性があるので、音をたてぬようそっとベッドから飛び降り、部屋を抜け出した。
警戒心がないからなのか扉は半開け状態だったのですぐに抜け出すことが出来た。
ルチーナの部屋はミシェリーの部屋のすぐ隣だ、そしてさらにその奥がルチーナの研究室的な所、俺はもちろんルチーナの部屋の前へと足を運んだ。
ルチーナの方は完全に警戒心がないおかげか扉は全開になってさらに覗いてみると窓も開きっぱなしだった。
そんな中俺はささっと部屋の中に入り周囲を見渡す、大体ルチーナはノーパソが置いてある机の椅子に座っているかベッドの上でぐーたらしていることが多い、そして今回は後者の方だった。
「おはよう」
この暗闇の中こちらの気配に気づいのかルチーナは小さな声に出して言ってきた。
「で、どう?」
いきなり聞いてきた。
「にゃー」
(どうとは?)
無論よく理解してない俺は聞き返す。
「あなたにとって重要な記憶、思い出した?」
俺にとって何がとう重要な記憶だったかはまだわかりきったことではないが、ひとつだけ仲間のことについて思い出していた、
俺は1部取り戻した記憶上に存在をする2人の人物を思い浮かべる。
俺がりっきーと呼んでいた少年は物体操者の清水力弥、今現在このニルン邸にて生活をしている1人の少年。
そしてもう1人、空間操者の久城 雄久と言う人物である。
「それ以外になにかないの?」
ルチーナは興味ありげに聞いてくるが、別に聞かなくてもルチーナは人の考えていることを容易に読むことが出来るのだ、答える必要はあまり無いだろう。
そう思いつつ俺は元いたミシェリーの部屋に戻り、そのままベッドに飛び乗り再び眠りについたのであった………
眠りについている中、時間は恐ろしく早いスピードで時を刻み、あっとゆう間に時計の針はぴったり8時をさしていた。
朝起きる時間帯について、普通にしてみれば少し遅めの時間だが今の期間は夏休み、当然学校のないミシェリーは生活リズムがあっとゆう間に崩れてしまい、まだ気持ちよく眠っていた。毎日が休日のようなニート生活を送っているルチーナは言わずもがな。
やはり朝の目覚めというのは何時であっても鳥の鳴き声や照りつける陽の光で気持ちいい目覚めをしたいものだ。
「おはよ〜〜っ!もうお日様は空高く昇ってますよ〜〜!」
「ひやぁぁっっ?!」
「にゃぁぁっ?!」
(なんだぁっ?!)
だが、ニルン邸にてその願いは1ミリとして通用しない。
現在時刻朝の8時、ミシェリーと俺(ついでに壁を挟んで隣のルチーナも)はけたたましい声とともに飛び跳ねて起床することになった。
朝から大音量で奇声を上げた張本人はまさかのフェミア、頭が真っ白になるのを1歩踏み止めた俺はよくよく考えてみると、「そういえばフェミアは朝起こすとき無駄に布団をバンバンする」ということを思い出した。
「朝ごはんの支度はできてるから早く降りてくるのよ〜」
ほんとに陽気だ、朝からお酒飲んでるんじゃないかと言うぐらいテンションが高すぎる。
ニルン邸の朝はほとんど毎日ノルアが部屋を回って皆を起こす当番になっていた (自然と)
朝一番に起きるノルアは、少ない時間でできることを朝のうちに済ませ、6時にフェミアを起こしに行く。
起床したフェミアは朝ごはんを作るためパジャマ姿でキッチンへ直行、ノルアはそのままお風呂場へと足を運び一風呂あびる。
服を着替えつつノルアはフェミアと共に朝食の盛りつけをして、だいたい7時にはミシェリーを起こすために今度はミシェリーの部屋へと足を運ぶ。起きたミシェリーをつれて食堂まで行けばあとはいただきますをしてその1日が始まる、ルチーナの事は起こしても起きないが故にほとんど放置であることが多い。
それじゃあどうして今日はノルアではなくフェミアが起こしに来たのかと言うと、ノルアだって"普通の人間と同じ所はある"。なので月に一日程度であるが寝坊することがあり、その時はフェミアがセットしていた目覚まし時計が6:20分に音を発し、そのまま1人でいつもより簡単な朝食作り、ミシェリーを起こしに行く。そしてそのままルチーナの方も起こしに行くのだ。そして意味もなく最後にノルアを起こしに行って食堂へ行き、その1日が始まる。
おおよそニルン邸の朝のルーティーンはこんな感じだ。
今回ミシェリーを起こす時間が朝8時だったのは偶然に偶然が重なっただけであり、大して日常に支障はない。夏休み真っ只中なのである。
「み、ミーちゃんも朝ごはんに行こうか……」
「にゃ」
(おう)
いきなり大声で起こされたのがまだ響いているのかミシェリーはまだしっかりと覚醒した状態ではなかったが、少なからずまともな思考があるみたいなので安心?した。
「それにしてもミーちゃんったら急に倒れたって聞くからびっくりしたじゃん!」
(え?)
おそらく昨日の出来事であろうことを言っているミシェリーはクロネコを肩に乗せながら怒った感じで言った。
多分あの記憶が一気に甦った時にぶっ倒れたのだろう、俺は心の中でしっかりと謝りながら朝ごはんの匂いでヨダレが垂れるのを我慢していた。
朝ごはんを食べ終えると、それと同時にルチーナが起き、周りとは少し遅めの朝ごはんを取っているルチーナを置いて周りは各々好きな行動を取り始めていた。ミシェリーもお風呂に入りたかったらしいのだが、先にフェミアに取られたので今は退屈している。
すると突然ピーンポーンと、お屋敷には似つかぬインターホンの音が鳴り響いた。
「向かいます」とだけ言って玄関の方へと急いで行ったノルアを「はーい」と口だけで見送りながらミシェリーは俺を凝視している。
そんな凝視してなにかついてますかね。
お風呂を先に入られてからずっとこれである、俺をソファの背もたれの先の方にバランスよく起き、ミシェリーもソファを逆向きに座り俺を凝視、さらにその様子を口をもぐもぐと動かしながらルチーナも凝視していた。
え、何この状況。ちょ、誰でもいいからなにかありませんか?!ってかこれなに?!
「あっそびっにきったよーーっっ!!」
「おーー、昔のゲームはそろそろ飽きたぞー、」
クロネコが凝視されていることにひやひや汗を流していると、玄関の方から聞きなれた声が聞こえてきた。
「あぁっ!春ちゃんに美希ちゃんっ!こんな朝から遊びに……」
やはり友達と身内が同じ空間にいるとどうしても上手くテンションを上げられないミシェリーはルチーナの様子を目で伺いながら玄関の方へとトコトコ歩いて行ってしまった。
それでもこちら側を凝視しているルチーナはやっぱり俺を見ているんだろうか……
『もっかいぶっ倒れねえかなぁ…』
「にゃぁぁっ!!」
(アホか!!)
そしてその日2回目の叫びとともにニルン邸の一日は幕を開けたのだった。




