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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
3章 嵐の前の静けさ
33/73

8話 ウワサイト

文字数(空白・改行含まない):2745字

「……ふぁ〜…」


 太陽の位置が空高く登った頃、ルチーナは気持ちいい眠りから目を覚ました。

 カーテンの隙間から刺してくる一筋の光ですら目をやきつけてしまいそうなほど、日が照っている。まだ視界はハッキリしておらず、なんとなくもう一度目を瞑ることにした。


「………」


 そんな様子のルチーナをすぐ隣で座ってた見ていたのは真っ黒な毛に身を包んだクロネコ、ミリーだった。

 様々な情報が脳内で行き渡っているルチーナは、真横にいるクロネコにすら気づくことなく目を瞑ってしまった。「どうだった?」と一瞬ルチーナに聞こうか迷った俺は、1度軽く考えてから聞くのをやめて置いた。そもそもこちら側からどう聞くのかよく分からない。

 今のこのルチーナの状態が能力使用によって引き起こされたものならば、それは勿論俺と脳内で会話をすることは当たり前だが無理なはずだ。

 なのでもう少し落ち着くまでそっとしておくことにし、表面上のことしか知らない俺はその部屋をそっとでた。


「…ぉぃ………」


 瞬間に小さく掠れきった声で誰かに呼び止められた。


「?」


 振り返るとそこは先程と変わらぬルチーナの部屋があり、ひとつベッドの上で薄目ではあるがこちらを見つめているルチーナの姿があった。


 ルチーナは喋ることなく腕を上げてこちらに手招きする。

 その指の動きに促されるまま俺は先程と同じルチーナの真横へと素早く移動した。


「にゃー」


 直接脳内話しかけるような仕草はせずに、ただ声を上げて鳴いてみた。なんとなくである。

 するとルチーナの口角が少しではあるが上がり、小さく口を開いた。


「久しぶりにしっかり寝れたわ……」


(それはなにより)


「ルチーナ〜、起きたかしら〜?」


 するとそこで、今のルチーナの状態をひとつも知らないフェミアが呑気にノック無しでやってきた。


「やっぱり寝てたわね〜…ん?」


 入るなりなんなりルチーナのいつもの習慣に謎の関心をしつつ、フェミアはルチーナの顔を覗き込む。そこでいつもとは違う異変に気づいた。

 さすが何年も一緒にいるお母さん、すぐ気づくな……。


「っ?!ルチーナの寝る向きが枕とは真反対……」


 言われるまで気づかなかった。そういえばルチーナさん枕とは真反対の方向に頭がある。


「今日は曇りだから〜、明日にでもお布団洗濯しましょうかね〜」


 そう言いながらフェミアはそそくさと部屋を出ていった。

 え、洗濯?お母さんルチーナさんがめちゃくちゃしっかり寝れたことに関してじゃなかったのか……

 まあ毎日のように来て見てるなら一番最初に寝る向きが逆であることに目がいくってことなのかな……?


「…ふっ………」


「にゃぁっ?!」

(ルチーナさんっ?!)


「……あと5分」


「にゃ?」

(5分?)


 なんとなく顔をのぞきこんでみると相変わらず気持ちの良さそうな顔をしていた。

 とりあえず5分後、午後0:40分まで待ってみるか………





 5分間は短いようでとても長く感じた。

 なにか他のことをしながらの5分や、自分の好きなことをしている時の5分は、とても短く感じるものだが、何もしていない時の5分や、授業残り5分など、何かをしているしていないの差で時間の進み方や感じ方が全く違ってくることを、改めて思い知ったこの頃、隣ではルチーナさんがベッドの上で足を組んで座っていた。

 さっきとは全くの別人みたいにピンピンし始めてる。

 この人の生命力すごい………


「ってな訳で!結構やばいかもしれない!」


「にゃぁ……」

(おっ、おう)


「とりあえずコレ見といてくれ」


 ほんとに別にんなのかもしれないルチーナがベッドの向かい側にあるデスク上のノートパソコンを起動してとあるサイトを開いた。

 何このパソコン……めっちゃヌルヌル動く…スペックが気になるところだけど今はこんなところに集中してる訳には行かない。


「ほらこれ、怪しそうなサイトだろ?」


 ルチーナとノーパソに挟まれる形で座っている俺、そこに映っているディスプレイを見上げた。

 そこにうつっていたのは、背景が黒に文字が赤やら紫などなんとも禍々しいサイトが映し出されていた。

 さらに画面上部を見てみるとそこにあったタイトルが…


「にゃ…?」

(ウワサイト?)


「これ、普通じゃ普通じゃ見つけられない"裏サイト"ってやつだ、このキルカイア都市で(もっぱ)ら噂な情報が隅から隅まで載ってるんだよ」


 疑問を持った俺に対して丁寧に教えてくれるルチーナ。


(これが?)


「えーっと確か……お。あったあった、ほらこれ」


(これって……)


「あぁ、記憶覗いたヤツん中にこのサイトを見てるやつがいてな、それで見つけた」


 そこに映し出されていたのは普通の人じゃ見てはいけない、増してはこのキルカイア都市で2桁すら知ってる人が居ない情報……


「魔法とは違う能力を発現させる薬が発見……これはもう手遅れかもしれない」


(でも、これは噂なんでしょ?しかもまだ表面上には出てない裏サイトの─)


「それでも、だ」


 ルチーナはミリーの思っていることを遮ってその説を無くす。


「確かに噂なだけあって本当に信じているやつは少ないんだけど、もうその能力発現剤を使ったやつがいるんだよ」


(!!)


 ルチーナのあっさりとした証言に言葉どころか思考さえ奪われたミリーは、何かを考えているようで頭が真っ白のまま一点だけを見つめていた。

 そしてミリーの事を置いてけぼりにしてさらに口を開く。


「ちなみに言っとくが、その能力発現剤を使うと遅くてまる2日、早くて半日でその効果が現れ始める」


(つ、つまり、?)


「時間的に、早ければその使ったやつの体に何かしらの変化が起きているはずだ。それで1人だけなら良かったんだがな……」


 ルチーナは意味ありげに話を止めた。

 概ねこれから言うことは大体分かってしまう、"複数人"はいるのだろう、能力発現剤を投与した人間が。


「ま、どうせこの先は言わなくても分かるだろ」


(なんとなく、だけど……)


 ルチーナは卓上にあるノートパソコンを見つめながら言った。

 するとそこで部屋の外から1人の声が聞こえた。


「ルチーナ〜もう起きてるんでしょ〜お昼ご飯あるわよ〜……入るわね〜」


「ちょ、ってか!お前さっきも返事なしに入ってきただろ?!」


「あら、ルチーナ起きてたの〜?起きてたら目くらい開けたらどーお〜?」


「うるせぇっ、この部屋は長居禁止!今から下いくから早くでてってくれ」


「は〜〜い、あ、この前掃除したらなくしてたって言ってたゲームのコントローラー見つかったわよ〜」


「あっ?!今なんて!!!!」


 しかしフェミアは振り返ることも無くルンルンと部屋を出ていった。


(どうしてこのニルン邸の朝はこうも騒がしい日ばかりなんだろうか……)


「(早く計画実行してもっと騒がしくて楽しい日常を……)」


 ルチーナはクロネコにも聞こえないような小声でボソボソと考え事を口に出しつつそのまま部屋を出ていった。

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